【25】「お前のコレか?」
神官さまを殺してから一週間ほどが経った。この日は殺しがない日だった。仲間たちと一緒に、イノシシを数匹狩る。できるだけ狩りは控える時期だが、羽振りの良い依頼主が出てくれたのでね。受けることにしたのだ。報酬は皆で山分けしてもまあまあになる。
今の時期は藪蚊がすごい。しっかり防護しないと刺されまくる。とにかく暑い。狩ったらすぐに退散。獲物は割とでかいやつだ。皆でぐいぐい引っ張って、作業場まで運んできた。早速処理を開始する。血抜きをしながら近状報告をする。
「どうだろ。やっぱり魔物の影響ってある?」
「想像していたよりはマシだな。だが臆病なやつは奥に逃げ込んだだろう」
「見回りしていても去年ほど子連れを見ないしね」
フェレティガー、だっけ? あの魔物がクロの森に放棄された正確な日数は不明だ。まあせいぜい二、三日だとは思う。それでも随分森を荒らしてくれたようだ。あのあとの調査で、もっと奥地で無惨な食い荒らしが見つかりもしたしね。ぶつくさ文句を言いつつ、誰も参ったりはしていない様子。力を合わせて頑張ろう。洗浄の終わり掛けにフェリックスさまの話題になった。
「あの場に騎士さまが来てくれたのは幸いだったよな」
「本当にそれ。フェリックスさまがいなかったら死人が出てたよね」
「お前のコレか?」
馬鹿じゃないのか。そんなわけないだろ。随分必死な様子だったからな、とあの時迂回組だった一人が言う。責任感がすごくある人だからね。目の前で被害が出そうになったらそりゃ必死にもなるでしょ。騎士さま精神だ。友人関係っていうとこも大きいとは思うけど。
「あの人は話が通じそうだよな、感知石の件も聞いたぞ」
「いかにも堅物じゃねえか。融通利かせられるかね?」
「色々考えてくれてるよ。堅物だからこそ、理屈さえ通ればやってくれるはず」
堅物な部分は否定しない。実際そうだし。もう少し気楽になった方がいいと思うよ、フェリックスさまは。内臓の処理は他の奴がやると言うので、場所を変わる。ロビンに声をかけた。
「鶏はどう?」
「一先ず順調かな。たまごも生むしね。けど、豚を失ったのはきついな」
ロビンは新しい鶏を飼いだした。畜産を諦める気はない様子。継続的な収入は心の安寧に繋がるよね。彼は慎重派なのだ。猟師としてはちょっと甘い部分があるけど、罠の作成がとても上手な奴である。器用型だ。
「余裕ができたら、またたまごを分けるよ」
「無理しないでね。彼女さんと結婚するための資金が最優先だよ」
ロビンが照れたようにそばかすのある頬を掻いた。そう、仲良しな彼女さんがいるのだ。もう数年付き合っている。結婚も考え出していたころに今回の事件だから、そりゃ辛い。彼女さんは、ロビンが被害に遭ったときは経済的にも支えていた様子。うーん、愛の力。恋人、結婚か。別世界の話だな、私には。私もいつか結婚する日が来るのかなあ。




