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第83話 原物への報告

 「アバトよりも強いやつが2人もいるのかよ!!」


 原物の部屋に入った俺たちはまず先程の説明から始まった。

 だが、原物も驚きからか大声になり、発言した後に口元を隠していた……



 「それに、そいつが図書館にいるってことは、もしかしたらその弱点を危惧してやってきたのかもしれないな。今回のようなことが起きてしまえばしばらくは来ないだろうが、武蔵の考えてる通り神を殺したところで俺たちは終わりだ。それにベガもこんな状況だし、そろそろ切り上げるか……。」


 「すみません。俺のせいで……。」


 「お前のせいじゃねぇ!! あいつの仲間のせいだろ!! はぁ……。とりあえず、ベガが落ち着くまではここにいるつもりだ。お前もゆっくりしろ。」


 「はい……。」


 「それと、何かあれば逐一報告な。俺たち人間に考えることなんて神にはお見通しだが、人数いればいい案が浮かぶかもしれねぇ。いいな!!」


 「はい…。」


 その後俺は原物さんの部屋を出て自室に戻るのだが、何事に対してもやる気が出ない。

 寝たら少しでもリフレッシュ出来るかと思ったが、夢はイミがベガを殺す夢。


 異世界に来ればあの頃より幸せな暮らしができるなどと思っていたが、事実あの時よりも苦しい。

 今回のベガだけじゃない。

 俺がこの世に転移された時に襲われたゴブリン。

 色々な事件に巻き込まれ何度も死を直接的に味わった……。


 こんなことなら、来なかった方が良かった

 俺はそう思いながら布団をぎゅっと握る。

 だが、そんな俺に思いもしない声が聞こえ、驚きのあまり一瞬体に力が入ってしまう。


 「そんなこと思わないでください。 」


 「キリ!!」


 布団をどかすと、キリは俺の事を見下ろしながら悲しそうな顔をしていた。

 俺は、キリの顔を見るとこの間の光景が目に浮かび体が拒否反応として咄嗟に距離を取る。

 そして、その後部屋の角っ子に移るこだが、以前と違い直視できないでいた。


 「すみません。今回は謝罪に来ました……。」


 「……。」


 俺からの返答はしなかったものの、キリは話し始める。


 「あなた様……。今回は本当にすみません……。あなた様の大事なパーティーメンバーにあなようなことを起こした上にあそこまで悲しそうな顔をさせてしまう。本当にこんなことはあってはならないこと……。申し訳ございません。その……。宜しかったら、私たちが探していた本の内容をお教えしましょうか? あの本のせいで今回のような事件が起きてしまいましたし……。」


 キリはすごく申し訳なさそうに小さな声でこれにそう言ってきたので小さく頷いた。

 すると、キリは何かを決めたような顔を一瞬した後話し始める。


 「あれは私達神々の世界から落ちた者の殺し方が多分載っていました。実は私たちが初めてということではないのです。私が天界にいた時、信託した内容が文献として残っていた可能性がある。として私たちが探しておりました。それは、この世界にあると言われている真実の水を飲んだ者しか神々を殺すことができないということです。いくら修行したところで殺すことは不可能。剣が当たったとしても一瞬で魔力もなしに元通りです。治癒魔法があるのであまり意味が無いかもしれませんが、私たちにとっては良くない事実。そして、それは全知全能である私であっても生存場所は知りません。 」


 「……。」


 今までにない新たなキリを殺す方法。

 キリが必死になって探す理由もこれでうなずける。

 だが、キリの言う通りどこに存在しているかも分からない物に対しそこまで過敏になる必要性はあるのか?

 そもそも、俺は鑑識が使えない。

 それなら、どの水を飲んだところで正解が分からないのでは意味が無い。


 聞く限りただのおとぎ話にしか聞こえない。


 「仮に場所を知っている者がいてもそれは創造主のみ。話自体は聞いたことありますが、実在する。ということは聞いたことがありません。ですが、念には念を。ということで私たちはその文献を探し破棄しようとしていたまでです。」


 「……。結局は存在を知ったところで何も変わらないけどね……。」


 「そうですね。でも、私たちは人間の負けない気持ち、信じる気持ちが1番怖いのです。何をしでかすのか理解できない人物を相手にする訳ですからね。ですので、そういう人間を作らないため。ということも含まれてます。あなた様、このようなことがないようにいたします。本当に申し訳ございませんでした。 」


 そう言い終わるとキリは消えていた。

 とりあえず、原物にこの街を出る趣旨を伝えてこの街を早く出よう。

 キリだけじゃなくて、情報が丸見え、そしてベガの様態のことを考えてもここに留まる理由がない。


 「はぁ。なんでキリなんかを崇拝してる街に来ちゃったんだろ……。」


 ?

 ため息と共に言葉を発し終わると何故か近くからドンドンドンと逃げるような足音が聞こえた……。

 俺はドアを開けるがそこには誰もいない。


 まっ。気のせいか。

 とりあえず、原物さんのところに行って報告しないと。


 俺はまた原物の部屋に行き、ベガには申し訳ないが、先程の話をする。


 「そんな話に惑わされてたってことだな……。とりあえず、こんな街に長いしてたらこっちがおかしくなる。さっさと出るぞ!! 今すぐにだ!!」


 「はい!! みんなも呼んできます!!」


 「おう。ロビーに集合な!!」


 そこで原物と別れ、みんなの部屋に行って趣旨を伝えたあとロビーにみんなで行くのだが、なんだかベガを背負ってる原物と店主とその他の住民が揉めてる?!


 「どっ。どうしたんですか!!」


 「お前だな!!」


 「ああ。間違いない。部屋の前で聞いたんだ。しかもこの声だった。」


 「ってことは、許せねぇ、キリ様を侮辱する奴は絶対に許さない。」


 「「許さない!!」」


 「「……えっ。」」


 なになになになに?!

 俺がキリの悪口を?!

 そんなこと……。そんなこと……。


 もっ。もしかして、「なんでこんな街に来たんだろ?」みたいなこと言ってた時のこと?!

 どこから持ってきたのか分からない農具を持ってる住民5人に俺たちパーティー……。

 この街はあっという間に噂が広まってしまうデメリットの街だ……。

 無事に脱出できるのか?!


 てか、馬置いていかないと無理だろこれ!!

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