第84話 キリを崇拝する四天王?!
「どこいった!!」
「こっち見てくる。」
「私はこっち見てきます!!」
「見つけたらすぐに報告だ!! あいつらは冒険者何やるか分からねぇ。俺たちは力がなくてもキリ様が授けてくれた知識がある!! 絶対にこの街から出すな!!」
「「はい!!」」
その声を俺たちは裏路地から聞いていた。
現在この街の住民からおわれているので、原物さんが持っていたコートを着て目元が隠れるまでフードを被っている。
ただの怪しい集団だから、直ぐにバレるのでは? と思ったのだが、何人かすれ違ったがこれがバレないんだ。
顔が見られないのが1番有効的らしいが、このまま素直に街の外に出られるとは思えないんだよね……。
ほんと、なんでこんなことになったんだよ……。
てか、俺のせいか……。
申し訳なさを感じながら、俺たちはベガを背負っいる原物さんに着いていく。
「それにしても、たった一言でこんなことになるとはな……。武蔵の言うことが本当ならそんなに悪口でもねぇ。それなのにこの騒ぎよう。崇拝してるからなのか、はたまた寄ってたかって誰かを叩きたいだけなのか? 本当にこの街の連中は分からねぇな。」
「すみません。俺のせいでこんなことになっちゃいまして……。」
「気にすんな。そもそも、あのおかしな女神の眷属だろ? 期待する方がおかしいって話だ。とりあえず、今はこの街を出ることだけを考えるぞ!!」
「はい!!」
少し遠くに街を囲っている壁が見えてくるが、高さ30mほど。
原物さんだけならあそこから脱出できるが、俺たちがいるのでそれは不可能。
しかも、時間が経てば経つほど俺たちを捕まえる人々は増えていき余計脱出できる可能性も減っていく。
本当に憂鬱な時間だ。
小道を通っていると必ず大通りに出てしまうので、こっそりとその様子を何度か伺ったが、住民があっちに行ったりこっちに行ったりしながら、「キリ様をなんだと思っている」と激怒しているご様子……。
捕まったら本当に何されるか分からない。
そもそも、崇拝している神が精神狂ってる奴だからな……。
この調子が続きますうにって願うしかないか。
神頼みでもしようかと思いながら後ろに振り返ると小さな少年が視界に入る。
「?! 怪しい奴がいたぞ!!」
「「?!」」
少年は近くにいる人に聞こえるような大きな声でいい、その場を後にする。
小さい子供だからこそ、俺たちの顔に気づいたのかもしれないが、子供から睨みつけられるなんて想像もしなかった。
俺たちはその場から逃げようとするのだが、片方は大通り、もう片方は小道だがもう住民がこちらに向かっていた。
さすがに早すぎる!!
ここで、対処するしかないのか?
もう無理なのか?
「チッ。子供まで密告するのかよ。武蔵、キリに連絡取ってどうにか収めてもらうとかは無理か?」
「連絡取ったところで、メール自体見れないし、本人登場しても多分偽物扱いされて終わり!!」
「チッ。中途半端な野郎がよ!! 仕方ねぇ。武蔵、ベガを背負ってくれ。前は俺が対処する。後ろは頼むぞ!!」
「対処するってどうするんですか? 殺すんですか? そうなったら人殺しでギルドから指名手配が来ますよ!!」
「そんなことは分かってる!! 怪我はさせるが殺しはしねぇ。それに、俺はコネが多い。それを使ってどうにかする!! いいか、お前らも殺すなよ。あくまで怪我をさせるだけだ!! 冒険者がやってきたらもっとめんどくさい事になる!!」
「「はい!!」」
住民達は剣を持ってはいないが、包丁や農具などを俺たちに向けている。
その手は震えたりすることなく、しっかりと握り、俺たちのことを睨みつけてくる。
これは何言っても聞いてくれる雰囲気じゃないし、捕まったら殺される未来しか見えない……。
住民だからって油断出来ないな。
そんな時、とある声か聞こえる。
「あなた達は下がってなさい!!」
大通りからやってきたそいつらは冒険者に見えない少しいい服装に体つきがひょろひょろで弱そう。
立派なのは剣のみというどこかの貴族みたいな格好だ。
だが、住民達はそんな彼らに声援を送っている。
「シンラーミ様お願いします!!」
「あの冒険者は原物、S級冒険者らしいです。」
「お前ら、シンラーミ様に罰を与えてもらえ!!」
「ありがとう。みんなは部屋に戻りキリ様にお祈りをしていてくれたまえ。」
「「はい!!」」
そうして、住民達は消えていき、俺達は後ろから逃げられるようになるのだが原物が動かない……。
せっかくのチャンスだ。
誰も殺すことなく逃げられるんだから!! と思っているのだが何故か動かない……。
「原物さん!!」
「この街の連中はお前の正体に知らねぇみたいだな……。そっちも人間じゃねぇな。」
「さすがと言って褒めるべきですか?」
「「……えっ?」」
どういうこと?
人間じゃない……?
それに、今気づいたが原物さんさっきの連中より何倍も緊張してるし……。
こいつら何もんなんだ……。
「おい、お前たちはこの場から離れるな。離れた瞬間が命が消える瞬間だと思え。それと、殺す気でいけ。そうじゃないとこっちが死ぬぞ!!」
「殺せるものならいいですけどね!!」
リーダー格の男は原物に向かって武器も構えずに走ってくる。
原物さんは両手剣を出す暇もなく、拳で対抗だ。
その拳も顔面にあたるが肉片が飛び散ることもなければ、そのまま原物さんの首をつかもうとする。
ギリギリのところで後ろに下がれたからいいけど、本当になにもんだ……。
「さすが、勇者の次に強いと言われる人間なだけはありますね。」
「シンラーミ様、俺たちもそろそろ動いてもよろしいでしょうか。」
「もちろん。殺せ。殺したあと実験に使うからしっかりと形は残すように。」
「「はい!!」」
「お前らいいか!! こいつはシンラーミ。魔王軍四天王の1人で死人を操ることに長けている。死んだらお前らは一生道具にされて終わりだ!! 油断なんてするな!!」
少し距離を保ち何とか俺たちの助言、そして両手剣を構える原物さん。
だが、ベガを庇いながら俺たちが四天王の部下に勝てわけがない……。
てか、ベガ無しでも負けるに決まっているかま、抗わずに死ぬなんてありえない!!
やれる所までやってやる!!
俺達は各自武器を抜き戦闘態勢を取る。




