第81話 イミの正体
「本日もお越し頂きまして大変感謝しております!! そこまでこの街に興味を持ってもらえるなんて……。もし、改宗するのならどうぞお声がけ下さい!!」
「「……。」」
俺たちはあれから何日も何日も通っているが全く成果が出ず、日だけがただただ過ぎていった。
朝から晩までほんと睨めっこしているもんだから、こんな感じで間違えられる始末。
昨日なんて、この街の方に「毎日毎日偉いわね
」なんて話しかけられ、最後に応援してるわ。まで言われた。
なんだか、この街が信仰している神様を殺すためと心で知っているからか心苦しく思いながら苦笑いするしか無かったが、しょうがない……。
はぁ。さっさと見つけてこの街を去りたいな……。
そんな気持ちを胸に俺は今日も本を漁っている。
本当に終わりは来るのだろうか……。
俺の不運パワーでまだ裏にあります。とかならないよね……。
「はぁ。」
「あっ。あの……。お久しぶりです……。」
「あ……。お久しぶりです……。」
俺が次の本に手をかざした時に隣から話しかけられ振り向くとそこには、イミがいた。
イミは本を持ちながら少しだけにこやかに笑顔を振りまいてくれるが、相変わらずオドオドしている。
イミに関しては、この街に来た時にお祝いもしてくれたぐらいの人物なので要注意人物として認定している。
最低限話したくもないんだよね……。
そんなことは知らないイミは前髪を触り少し恥ずかしそうにした後、意を決したみたいな顔をしながら話しかけてきた。
「あっ。あの……。先程からなにか本を探しているのですか? もしあれなら、お手伝いしましょうか? わっ。私は子供の頃からこの図書館に通っているので武蔵さんよりは詳しいと思います!!」
緊張を誤魔化すように「えへへ。」と最後に付け加えて話してくれたイミ。
だが、答える訳にはいかない。
いや、黙っていると余計怪しまれるか……。
でも、これ。というものが一切出てこない……。どうする、なにかないか?
「あっ。あの……。どうしましたか?」
不安そうに胸の前で手を繋ぐイミ。
そろそろ答えないと怪しまれる。
でも、言い訳がまだ……。
ちょっと待てよ……。
逆手に取れば、チャンスになるのでは……。
一か八かの掛けたが俺は勇気を振り絞って聞いてみることにする。
「じっ実は、キリ様のことを調べているんですよ。ここまで大きな街の方々が愛するお方のことが知りたくなるのは当然ではありませんか!!」
「……。」
レスポンスが無くなり急に静かな時間がすぎていく。
俺はやってしまったと冷や汗をかくが、頭が回らずただただそこにいるしかなかった。
今回こそ、本当にやらかした。と思い、口を開こうおした瞬間……。
「それは、そうですよね!! キリ様は本当にすごいのですよ。この街がまだキリ様を信仰していない頃、1度魔物に襲われた時があったのです。その時に現れたのがキリ様。魔法を使い私たちの祖先を無条件で守ってくれました。それだけでは治まらず、私たちに知恵や、技術も与えてくれましたし、本当に感謝しかありません。それに、その美しさも有名でして、見ただけで瞳を奪われ、心も奪われ全てを捧げたくなると言われています!! あっ。すみません……。私つい、夢中になりすぎまして……。」
「……。あっ。それで、そういう書物を探してるんだけど、詳しいものはどこにあるかな?」
「そうですね……。もちろんこのコーナーもそうなのですが、詳しい話は伝承しかないですね……。私も何故かは知りませんが昔からそのようにしているらしいです……。」
「そっか……。ありがとうございます。」
「いっ。いえ、こちらこそ……。そっ。それとなんですけど……。もし良かったら、この後時間ありませんか? その……。キリ様のことを少しお話出来たらと思いまして……。」
そういいながらモジモジするイミだが、正直迷いどころだ。
決して可愛い女性だから、という理由は一切ない。
キリの欲しい情報が全く手に入らないのでここらで1度住民から聞くという手が有効な気もする……。
だが、この街で俺たちのことを知らない人間はいない……。
どこにいてもすぐに知れ渡ってしまう……。
「だっ。ダメですか……。」
若干涙目で訴えるイミについ反射で「うん」と頷いてしまい、彼女は花が咲いたような嬉しそうな顔をした。
「でっ。では、私のおすすめのカフェに行きましょう。そこで、詳しいお話を」
「イミ。そんなこと許しましたっけ?」
「キリ様……。」
「?!?!」
今までイミの後ろには誰もいなかったはず……。
それなのに、何故か、いや、急にキリが現れた……。
しかもキリはイミを背後から抱きつき首元に手を置いているが、肝心の俺はキリがいることにパニック状態。
どうして……。
どこから……。
「イミ。少し過ぎるのではないですか? 仕事ついでにからかうならと言いましたけど、2人っきりで食事は範疇を超えています。」
そういうキリだが、意味でに見た事のないぐらいどす黒いオーラが出ているのが分かる。
そのオーラの影響で体が震えるほどに……。
「キリ様……。お待ちを。わっ。私は……。」
「では、私と武蔵様。どちらを取りますか? もちろん1つだけですけど……。」
「そっ。それは……。」
口をつまんでしまうイミ……。
イミは俺とキリのことをチラチラと見て考えている様子を見て、俺の意識も徐々に戻ってきた。
確か、キリはイミのことを呼び捨てにした上に知り合いみたいな肝心を出している。
そして、それにしっかりと応答しているイミも一体何者なのか?
この街の住民ではないことは明らかだが、一体……。
「あなた様、もう少ししたら説明致しますのでお待ちください。それでイミ。そこまで答えが出ないのは主人として悲しいところでもありますが、仮に即答するものでしたら殺しておりました。それほど武蔵様の魅力を感じていないことになりますからね。」
「そっ。それは良かったです……。」
「ですが、武蔵様は私のもの。それはお忘れなく……。あなた様。申し訳ございません。そんなに構えないでください。あなた様達が探している文献はこの世に存在致しませんのでご安心を。そうですね……。あなた様が私の本当のフィアンセになるというのなら教えてもよろしいですよ? その代わり一生私と一緒。ほかの女なんて会えないように致しますが……。」
唯一笑っているのは口元で何故か背中がゾクゾクっとする感覚に陥る。
だが、俺の答えはもう決まっている。
俺は拳を握りしめ勇気を出す。
「もちろんお断りだ。」
「でも、あなた様。ここは敵陣。そのことまで考えておりますよね? 私が信託を出せばあなた様以外の者はすぐさま殺される。いや、その前にイミが殺すでしょう。それでも考えはお変わりありませんか?」
「……。」
「むっ。武蔵さん……。じっ実は私、ずっと殺したかったです……。武蔵さんと仲良くするのは私とキリ様だけ。それ以外と仲良くしてるご様子見るのが耐えきれませんでした。ですので、命令がくだされればすぐに取り切ります。」
そういながらイミは謎の空間から刀を取り出すが、キリと違い本気という感じも見えなければ、イミはオドオドしているので弱く見える。
「そこは、私だけと言って欲しいところだけど、しょうがないわね。そういえば、イミ。ちゃんとした自己紹介はしましたか?」
「?! すっ。すみません。わっ。忘れてました!! きっ。キリ様の寵愛を2番目に受けているイミです。1番は武蔵さんなので2番になりました。よろしくお願いします!!」
そういいながら頭を下げたイミ。
だが、ちょっと待て……。
俺が1番だとして、イミが2番?
アバトは?




