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第80話 地獄の図書館

4件目

 おめでとうございます。私を信仰している街でめでたく10万人目になるとはさすがの私でも想像できませんでした!! と書いたところで、あなた様なら疑うでしょうね……。

 その通りなのですが、私はあなた様に少しでも良い気分でこの街にいて欲しいと思いこのようなことを致しました。私の眷属達が色々と素晴らしい体験をさせてくれると思います。是非楽しんでくださいね。



 やっぱり、キリの仕業だったのか……。

 そもそも、俺はこの世界に来てから運が超絶悪い。

 そんな俺が10万人目などという珍しい体験になるはずがない!!

 そんなことを思っていると、段々虚しくなってきて、なんとも言えない感情になる。


 ああ、やめやめ!!

 とりあえず、この街でさっさと図書館に行って調べ物を……。


 ちょっと待てよ……。

 この宿屋でもそうだったが、俺たちの情報は各店舗に行っているらしい。

 ということは、俺たちの目的地である図書館でも俺たちの存在はバレる。


 10万人目という節のある人物がどのような物を読むのか? 勉強しているのか? など気になっていたら俺たちの行動がすぐにバレる。

 いや、この街の歴史を知りたいと言えば問題ないか。

 ただ、口を滑らして「キリを殺す」などと言った瞬間終わりだがな……。


 はぁ。

 とりあえず、原物さんにメールの件とか色々伝えて、気をつけることとかまとめるか。


 俺は部屋を出て、原物さんとベガが泊まっている部屋の前に来きてノックをする。

 すぐにドアが少しだけ空くのだが、そこにはベガの姿が。


 「ベガ、原物さんを?」


 べがは何故かドアから出てくるとそのまま閉めてしまう。

 原物さんがいないのなら別にベガには用事は無い。

 だが、部屋を確認していない以上なんとも言えないところだし……。

 本当に何考えてるんだ?


 「原物に用事? 要件は?」


 「それは原物さんに伝えるから。で、原物さんはいる?」


 「もちろん!!」


 少し威張って言うベガ……。

 本当に何がしたいんだ、こいつ?


 「だったら早く入れて。色々と話さないと行けないことがあるから。」


 「どうせ大変なことでしょ? 武蔵は原物のことを頼りすぎ。だから、こないだだってあんな怪我をしたんでしょ? 少しは考えてあげなよ!!」


 「それはそうだけど……。今回は原物さんに言われてることだから……。」


 「はぁ。わかった、わかった。」


 そういいながら部屋に案内するベガ。

 そこには、地図と睨めっこしている原物さんがいた。

 その姿は何やら真剣な目で見ていて、話しかけてはいけない感じがするが、話せと言われてる内容だからしょうがないはず……。

 てか、本当にみんなに頼りっぱなしだよね……。


 少し憂鬱になりながら原物さんを呼ぶとすぐに地図から目を離し俺たちのことを見てくれる。


 「ああ、武蔵か。もしかして、メールか?」


 「はい。実は……。」


 俺はメールの内容、そして考えを告げる。

 原物は顎に手を当てながら考え、話を聞き終わるとその後再度地図と睨めっこしだした。


 「まるで鳥かごだな……。」


 「鳥かご? ……。!!」


 「ああ、お前もわかっただろ? 俺たちはどこに行こうがこの住民に見られてるってことだ。街の噂は早い。俺たちの顔、名前が店などを経営してない連中にもすぐに行き渡るだろう。この街は、お前のことを見てる神以外に住民という監視者がいる。下手な行動は何一つできない。いや、それらしい事をした瞬間すぐに捕まり最悪あの世行きだ。信仰の強いやつは信仰の為ならば殺すのだって当たり前だと考えるやつがいるからな……。」


 「それでも怪我はさせないって!!」


 「それは神自信がってことだろ? ここの住民には適用しない。それに、怪我はということは精神的ダメージなど与えてくる可能性もある。色々考えないとな……。」


 「そんな……。」


 原物さんは椅子に座り、ため息を着いた。

 それにしても、この街に長期期間いることは危険だ。

 だが、もしも文献が見つからなかったら、俺が死ぬしかないのか……。


 世界が救えるなら命を。みたいな勇者みたいな考えは俺にはない。

 死ぬのは怖い。1回死んでるからなんて関係ない。


 あああああ!!

 本当に何かないのか?!


 俺は軽く頭を掻きながら色々と考えるが全くいい案が浮かばない。

 そんな俺の様子を見た原物さんは再度ため息を着いた。


 「そんなに考えるな。どうにかなるだろ。とにかく、さっさと図書館に行くぞ!! 時間をかけたら俺たちの首が縛るだけだ。みんなを呼んでくれ。俺は1階のホールで待ってる。」


 「はい!!」


 俺はパーティーメンバーに声をかけ、そのまま図書館に向かう。

 行き方は原物さんが地図と睨めっこして決めたルートで、裏道などを通っているのだがコソコソと「10万人目の!!」などを言っていた……。


 ということは、表を歩けば……。

 恐怖心を抱えながらやっと図書館に着くと、入口に立っている従業員は嬉しそうな笑顔を浮かべなら話しかけてくる。


 「10万人目の方々が図書館に起こしいただくなんて!! この街の歴史が気になっているのですか? それとも、キリ様のことにご興味が!! 是非とも協力させてください。」


 目をキラキラさせながらなんとも断りにくい雰囲気を出している。


 「……。そういうのは大丈夫です。」


 「何を言っているんですか、知識というのは本当に素晴らしいことなんですよ。我々が拝んでいるキリ様も全知全能。それほど美しい知識という訳です!!」


 キリのことがでるとヒートアップして前のめりになりながら俺と話すのだが、「うんうん。分かりますよ」という意味わからないことまで言っている……。

 でも、さすがに断らないと俺たちの行動がバレる可能性もある。

 俺は一呼吸置いてから再度言う。


 「だから、大丈夫ですって。」


 「さっ左様ですか……。部類ごとに別れておりますので何かわからないことがあればすぐに声をかけてください。」


 俺も少し強めで言ったのでわかってくれたのか、悲しそうな顔をしながら定位置まで戻って行った。

 だが、俺たちがそこから移動してチラッと後ろを見たのだが、前や入口を見ることなく俺たちのことを見ていた。

 どこかのホラーゲームか? と思う程の人間だ……。

 やっぱりキリの眷属は異常だ……。


 俺達はどこにどの本があるか分からないので、1階班と二階班に別れ移動する。

 俺は二階の右奥側になったのでそこら辺から見ていくなるのだが……。


 「あの方って10万人目の!!」


 「図書館では静かにしないとだけど、気になるよね!!」


 などという声がいやでも聞こえてくる。

 その声を聞き、余計原物さんが言っていた内容が頭に思い浮かぶ。

 本当に逃げ場がないな……。


 俺はその住民から逃げるように場所を変えるのだが、そこにちょうどお目当てのものが!!

  大大的に「キリ様とこの街の歴史!!」と書かれており、コーナーにされていたのだ。

 それに、次の列もその次の列も同じコーナーだ!!


 とりあえず、知らせて徹底的に調べないと!!

 俺がその場から立ち去ろうと振り返ったとき、なにかにぶつかって尻もちを着いてしまう。


 「すっ。すみません!! だっ。大丈夫でしたでしょうか?」


 俺は見上げるとそこには黒髪で目を隠している女性の姿が手を差し出していた。


 「あっ。大丈夫です。こちらこそすみません……。あっ。あなたは!! 門番のところにいた!!」


 「あっ。そうです。イミと申します。」


 「あっ。俺は武蔵です。すみません、手を貸してもらっちゃって。男なのにこんなに弱くて……。」


 「気にしないでください。そういう所も素敵だと思いますっ!! あっ。私何を言って……。すみません!!」


 早歩きでいなくなる女性……。

 本当なら、これは恋の予感?!?!?! とかなるかもしれないが、ここはキリを拝んでる街。

 怪しいとしか思えない……。


 とりあえず、関わらないようにしよう。

 その後みんなに伝え、俺が見つけたコーナーに移動する。


 「「……。」」


 「さすがにこれ全部はきついけど、やるしかないよね……。」


 「ああ、そうだな。多分この様子もバレてると思うが、やるぞ!! いいな。それで、少しでも情報が手に入ったらすぐにこの街を出る。いいな? 無理そうなら馬車は置いていけ。また買ってやる。」


 「さすがにそこまでは……。」


 「武蔵、お前がいちばんの被害者なのにな何故のほほん。としてるんだ? あいつは監視者を大量に送り込んだ上に、何かあれば捕まるんだぞ?! そうなれば俺たちはもう終わり。観光客なんぞ、カモにしかみえねえ。何がなんでも神が1番って考え方だろうからな。お前たちもいいか?」


 「「ウンウン」」


 「よし、探すぞ!!」


 そこから俺たちは何冊も本をだしてペラペラめくりなにかキリに関することがないか探していく。

 次の日も、その次の日も、探すが一向にキリの知らない情報は出てこなかった。

 いや、出てきたがこの街の成り立ちなどで役に立たない情報だ。

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