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第77話 神アルト

 そして、俺は邪魔させることなく静穏な睡眠時間を過ごした。

 起床後は、恒例の日光浴で清々しい気分になっていたのだが、そんな時不穏な音が頭に響く……。


 ピロン!!


 ピロン!!


 この間キリとあんなことがあったので恐怖しかない。

 だが、2回目ということはどちらかは違うはず……。

 いや、あえて2回ともキリという可能性も……。


 そんなことを考えていたのだが、見なくては先に進めないので意を決してメール画面を開いてみることに。

 そこには、アルト、アカラ。と二通メールが届いていた。


 良かった、キリじゃない!!


 だが、キリじゃない安心感と共にアルトの事を思い出してしまう……。

 それは俺に近づいてきた理由の不純さ。俺はその事実をしり一時期軽蔑しそうになっていた。


 だからこそ、今連絡が欲しくなかったのだ……。


 その後は頭が勝手にアルトのことを考え始めるのだが、その時に俺はアルトに助けてもらった事を思い出す。

 あれはアルトが俺にスキル譲渡してくれた生き延びることができたあの日……。


 感情がぐちゃぐちゃになりながら俺はメールに手をかざし内容分に触れた。


 14件目

 2人が語ったことは真実です。私は大和の生まれ変わりであるあなただから近づきました。スキル譲渡の時でさえ、大和には死んで欲しくない。という理由から譲渡してしまいました。今までま私はあなたのことを見ておらず、大和としてしか見てませんでした。あなた本人からすると嫌な気持ちになるのは重々承知してます。本当にすみません……。

 これ以上あなたが苦しまないためにも私は金輪際メールは送りません。スキルはそのまま贈呈します。本当にごめんなさい……。



 そこでメールは終わった……。

 俺は最後に出てきた金輪際メールを送らない。という文字が頭から離れなくなっていた。

 まるで今まで当たり前にあったものが突如消えたような喪失感……。


 これはアルトだけが悪い訳では無い。

 もちろん俺も悪いと今では判断出来る。


 だが、言葉が浮かばない……。

 返信という言葉のキャッチボールが手に入った今なのに何も出てこない……。

 このままでは終わらせたくない、でもどうやって書けば……。


 悩んでいると、もう一通メールが来ていたことを思い出しそちらを見てみることにした。


 48件目

 やはり暴走しましたか……。

 あなたのためと禁忌を何個も犯した彼女はもはや誰にも止められません!!

 いや、止められるのは原物も言ってましたが、あなただけかもしれません。いいですか、次に目指す街はもしかしたら何かいいものが眠っているかもしれません。一時期神キリが住んでいたこともあるような街です。その時はすぐにお知らせ下さい。私たち神も力になります!!

 それと、魔王倒した後あのような願いをするのは禁止ですからね!!


 ps:アルトのことは気にしないでください。これは彼女自身が招いた種です。ですが、ほんの少し、微々たる気持ち揺らいだのであれば少しだけ返信をいただくとありがたいです。神キリがくれた返信は私たちにも適応されるみたいですので……。では、また。


 俺はアルトから送られてきたメール画面に遷移し、そして上の方にある返信ボタンをつかさず押した。


 神アルト。

 いつもお世話になってる武蔵です。金輪際メールしないなんて言わないでください!! 確かに俺はあなたを軽蔑しました。何故今の俺を見ずに過去俺だったものを見て判断するのか? そして構うのか? そんな思想が頭に蔓延り、あなたに対し不信感を抱いてました。ですが、あなたから貰ったものは不信感だけではありません。あの時救ってくれた恩。こんなにも大切なことを忘れていました。話がいいことは分かりますが、これからもメールを送ってくれると嬉しいです。

 初めて返信したので長くなりましたが、いつでも大歓迎です!!


 送信……。


 この文章を読んでアルトがメールを返してくれるだろうか? という不安が襲いかかる。

 メールでも書いたが話がいいことは理解している。

 軽蔑しました。でも、救ってくれたこと思い出しました。やっぱり無しです。だ……。


 やっぱり俺は人間として成長しないとな……。


 ピロン!!


 ?!


 もっ。もしかしてアルトから?!


 俺は閉じてしまったメールを急いで開けるとそこに通知1となっているのでメール画面を押す。


 すると送ってくれた神が見えたのだが、そこにはあの名前が……。


 15件目


 ありがとうございます!! ありがとうございます!! 

 話がいいなんて思わないでください!! 私の方が何倍も酷いことをしてあなたを傷つけてしまいましたので……。これから私は、あなたのことを大和では無くしっかりと武蔵として見て、一から好きになってみようと思います。なんだか、そういうことを考えると心が暖かくなると言いますか、なんて言うか言葉にできない感情が襲ってきてます……。

 本当は武蔵のことが……。


 なっ。なんでもありません。本当にありがとうございました。これからもいっぱいメール送ります!!



 良かった〜。


 安心したのか、お腹がすいてきたので俺は顔を洗った後近くのお店でご飯を食べた。


 帰ってからは昨日のことを原物さんに伝えるべく部屋をノックする。


 「武蔵だけど、いま大丈夫ですか? 怪我の方は大丈夫ですか?」


 そして、中から少し音がしてからドアが開かれる。


 「だいぶ良くはなったが完全とまでは行かねえな。魔力はまだまだ回復しねえし、てかその前に崩した家々を直さねぇとな……。? あのガキはどうした?」


 そんなことを言う原物だが、体に包帯のひとつも巻かず見た目的には元気という感じだった。

 いや、よく見ると顔が疲れてるように見えるぐらいか。


 でも、元気そうで良かった……。

 安心しながら、俺は原物に返答する。


 「それなら、シア達と一緒です。」


 「それならいい。それで、何の用だ? お前のことだ。俺の体調だけ見に来たわけじゃねえだろ?」


 「あっ……。大事なお知らせがあるんだった……。実は!!」


 「ちょっと待て、おまえ顔近ぇな。わかった、聞くから離れろ。 」


 「すみません。それで、次に行く街なんですが、キリアーナはどうでしょう? どうも、街がキリのことを祀ってる上に、一時的にキリが住んでいたらしいんです。 次はこの街で調べ物をして弱点とか見つければと思ってるんですけど……。」


 「マジか……。あそこか……。あんまり行きたくねぇんだよな……。」


 「それは何か? 」


 「他の神を信仰してるやつにうるさいらしいんだよ。信仰してないやつにはなんにもないんだがよ、俺たち呼ばれた身だろ? 何かの拍子にバレたりでもしたら面倒だろ? でも、そこに行かねぇとないんだろ?」


 「そうらしいです……。」


 「ああ、分かった、分かった。次はそこに行くぞ!! 俺の怪我、破壊された建物直したあとだけどな!! それと、少しでもあいつの事が分かれば俺に教えろよ!!」


 「あ!!」


 「?」


 俺はその時キリから強制的につけられたスキルのことを思い出した。

 俺が「あ」なんて言ってしまうから、原物はさっさと言えみたいなオーラを出しているので俺は慌ててスキルのことを伝える。


 「そして、その名前が私のフィアンセです……。」


 「は? ふざけてるのか?」


 「いえ、本当なんです!!」


 「だが、希望が見えたじゃねぇか!!」


 「希望……。」


 原物は俺のことを見ながらニヤニヤしている。

 だが、可愛い女性ではなくただのごついおじさん? がそんな事やっても嬉しくないぞ?


 「おい、失礼なこと考えてねぇだろうな?」


 「いっ。いえ!!」


 「まあ、いい。それで、そのスキルを消すとあいつが死ぬんだろ? それを聞いただけで十分だ。まっ。多少の犠牲は必要みたいだがな!! 」


 「ちょっと待ってください!! その犠牲って俺じゃないですか!! 」


 「1人の犠牲で大勢が助かるんだ。安いもんだろ」


 「本人目の前にしてそれいいます?」


 「冗談だ、冗談!! だが、何かしらの手がかりはあるはず。人は必ず間違いを犯す生き物。神でさえ完璧とは行かないだろ。何かしらほんと小さいことかもしれないが何かしら失敗はする。それを探せば必ず解決策はでてくる。そんな顔するな。お前はいつもみたいに胸張って生きてればいいんだよ!!」


 「あっ。ありがとうございます!!」


 「あと1週間はくれ。それでだいぶ魔力が回復するはずだ。」


 「はい!!」


 「俺は少し出るから、お前はそれまでにイメージトレーニングでもしとけ!!」


 そう言って原物さんはどこかに行ってしまった。

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