↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
76/84

第76話 きりから解放……

 チュ


 俺は原物を助けるためキリのほっぺにキスをする。

 キリは声もあげず、ただただその場で静かにいるだけだった……。


 「きっ。キリ……?」


 「ああああああああ!! 幸せ!!!!!!」


 キリは空を見上げながら、極上とでも言うべき笑顔をしている。

 蕩けた顔で、少し口が空いておりそこからヨダレのようなものが若干垂れてきている。

 そんな顔をしていると思っていたのだが、キリはずっと俺のことを見ていた。


 その目は喜びというよりか、全て奪うという強欲な目……。

 ただただ恐怖でしかない……。


 「あっ。あなた様すみません。すっかり自分の世界に入り込んでしまいました。あなた様にあのような素敵なことをしてくれるなんて現実ではありえないと思っておりましたので、生きてきた中で1本嬉しいです。それにしても、本当に地上人は素晴らしいことを考えますね。我々神にはそのようなことをする意味が分かりませんでしたが、実際されてみてあの心地良さを理解しました。本当に感謝です。それとあなた様、本日をほっぺキス記念日に致しませんか? あなた様も本日という日を思い出すだけで笑みがこぼれ幸せになれるでしょう。あなた様もそうですよね? ね?」


 俺は反射的に「うん」と頷いてしまうのだが、それを見たキリは喜び、そして唇をペロリと舐めていた。

 だが、その姿を見た俺は背中に虫酸が走るというか、ゾクゾクっとした感じが体全身に回る。


 少し逃げようとしたのだが、キリは俺の手を掴み「あなた様、あなた様!!」と言い出したので逃げられない……。

 

 やばい……。

 これ以上いいように進めると、絶対に暴走する。

 ここらで本来の目的を思い出してもらわないと!!


 「キリ、約束。原物を助けて欲しいんだけど!!」


 「もちろん分かっております。あなた様にどうやって譲渡しようか考えていたところです。そこで、いいアイデアを思いついたのでやってもよろしいでしょうか? いえ、いやでもやらせていただきます!!」


 キリはそう言ったあと、俺の頬に手を添えて逆の頬にキスをしてきた?!

 しかもただのキスでは無く、軽くキスをした後にほっぺを少し舐めるような感触があった。


 反射的に逃げようとしたのだが、気づかないうちにキリは俺のことを抱きしめていて逃げることができない。


 ただやらされただけだった……。


 「ぷは。あなた様、これで回復魔法の譲渡は完了です。でも、こちらの魔法は1回きりですので気をつけてくださいね。私はそろそろ我慢の限界になってきましたので帰られせていただきます。あなた様、次回は唇を期待しておりますね。」


 「……。」


 俺はただ呆然とするだけだったが、キリが俺から離れたあと謎の空間を出現させそこからどこかに行ってしまった……。


 って原物さん!!


 俺はすぐに原物さんに手を当てて、スキル欄を見てみる。

 だが、先程譲渡された回復魔法の説明欄は全て文字化けされており意味がわからない。


 なので、若干怖い気もするが、使わないと原物の命に関わる。

 何かあったら責任取るから!!


 そんな強い意志を抱きながらスキル欄を指で押す。

 すると原物は、暖かな光に包み込まれ、そしてぽたぽたと垂れていた血が徐々に止まってきた。

 そして、折れて縮こまっていた体も徐々に元の体に戻ってるし、大丈夫だよね?


 「生きて終わったか……。」


 「げっ。原物さん!! 大丈夫ですか、どこも怪我とかないですか!!」


 「そういうこと言いながら抱きつくな!! 鬱陶しい!! でも、まぁ。ありがとな。」


 「はい!!」


 良かった。

 本当に良かった!!


 原物は俺を引き離すと自分の体をぺたぺたと触り、状態を確認したあと立ち上がる。


 「武蔵、あいつは何もんだ? お前が以前言っていたが、本当に元神なのか?」


 「そのはずですが……。」


 「あんなんが神だとするならば、魔王はなんだ? 神って言うもんはうじゃうじゃいるんだろ? そんな連中が何故俺たちをこの世界に連れてきてわざわざ魔王を倒そうとする? 何か知ってることねぇか?」


 「俺は、さっき教えたこと以外全く知らないです……。」


 「そうか……。チッしょうがねぇ、わかり次第逐一連絡な!! 行くぞ!!」


 「どっ。どこに!!」


 「宿屋に決まってるだろ!! あんなに血を出せばさすがの俺でも疲れるわ。少しは俺を休ませろ!!」


 「はい!!」


 原物は普通に歩いて宿屋に向かおうとしたのだが、フラフラだったため俺は肩を貸して何とかふたりで移動している。


 「それにしても、あの気持ちわりぃ女神。前世じゃなくていまのおまえに惚れまくりじゃねぇか。考えてたんだけどよ、あの女神を止められるのは俺じゃねえ、お前しかいねぇ。」


 「え?」


 「いいか、俺の体調が良くなり次第すぐに修行を始める。正直いってお前は弱い。転生者などを抜きにしてもだ。そこで俺以上に強くなってもらうつもりで取り組め、いいな!! 」


 「はい。」


 「とりあえず、今日は疲れたから寝る。お前はあのガキの面倒でも見とけ。静かに寝たいからな!!」


 「はい!!」


 そこから2人で歩き宿屋に戻ると、少女は原物のことに気づき抱きついていた。


 「大丈夫? ?! 怪我してる。どこかで治さないと。原物だけは絶対に死んだらいけないんだから……。絶対なんだから!!」


 「大丈夫だ、大丈夫。ただの擦り傷だ。それと、俺は疲れてるんだ、だからお前は今日こいつと寝ろ。俺は1人で寝る。」


 「でも!!」


 「でもじゃねぇ。たまにはゆっくり寝させてくれ。」


 「うん……。」


 子供みたいに下を、向きながらすごく悲しそうな顔をする少女。

 そんな少女の頭を軽く撫でて原物は階段をあがっていった。


 その少女の悲しそうな顔は俺から金を盗んだ人物と同じように見えないかった。

 そもそも、原物のことをこれだけ信用して心配している……。

 この子にとっても良かったのかもな……。


 「とりあえず、部屋に行こっか。」


 「分かった。それと、原物に何があったのか教えてもらうから!! 私も強くなって原物の役に立ちたい!!」


 強がっているように見えた少女の頭を撫でようとしたのだが、撫でる前に手で弾かれた……。

 やっぱりこいつとは相性が悪い。


 俺は少女と一緒に部屋に向かっている時、ムイとシアに出会う。

 だが、シアは呆気を取られたような顔をしている……。


 「むっ。武蔵が女の子と!! しっ。しかも、宿屋ってことは、もしかしてそういうこと?! むっムイどうしよう!! むっ。武蔵がこんな女の子と、女の子と!! こんなに小さい子なんだから、もしかして、捕まっちゃう? もしかしなくてもそうだよね!! どうしよう、どうしよう!!」


 1人慌ててるシアに冷たい目線を送る俺と少女。

 ムイはなんだか冷静な顔をしてる……。


 「シアは焦りすぎー。? 確か原物と一緒にいた子。それに、原物がこの宿屋にやってきたらしいって噂聞いたから、多分それが原因ー。今原物がいないってことはサボりちゅー。」


 「そっ。そんなことないもん!! 原物は傷だらけで……。原物は……。」


 「武蔵どういうことー?」


 「そのことについても、部屋で話すんだけど良ければくる?」


 「うんー。」 「……。」


 「シアはお留守番ー?」


 「わっ。私も行くから!!」


 慌てて返事をしたシアとムイと少女と一緒に俺が止まっている部屋へとやってきた。

 俺はそこで先程起きたことを全て話す。

 

 「そういうことー。だから、原物とこの子が分かれたのかー。」


 「むっ。武蔵は大丈夫なの? そっ。その、きっ。きっきっ。キスだってしちゃったんだし、そっ。それに、スキルの効果で私と付き合えなくなっちゃったし……。」


 「そんなことより原物は大丈夫なんだよね!!」


 「うん、大丈夫だと思う。原物に何かあればすぐに言ってくると思うし。」


 「それなら良かった。」


 「それにしても、シアは隠さなくなったねー。」


 「えっ。」


 「私と付き合えなくなっちゃうー。って言ってたー。」


 「/////」


 シアは真っ赤な顔をしながら俺の視線をずらす。

 なんだか言われてるこっちも恥ずかしいし!!


 「シアだけじゃないよー。私も武蔵のこと大好きー。でも、その魔法があるなら困るー。? 確かキリって名前だったよねー?」


 「うん。そうだけど……。」


 「それなら、キリアーナがいいかもー。確か神キリを崇めてる国だった気がするー。ここからそこまで遠くないし、強い魔物もいないはずだから安心安全ー。」


 「キリアーナ……。何か手がかりになるかも!! 原物が元気になったら相談して行けたら一緒に行こう!! さすがに俺たちじゃどうにもできない。」


 「でも、また怪我だらけにならないかな……。あんなのもう見たくないよ……。」


 「そこも含めて1度相談しよう。」


 ということで今後の方針が決まり、2人を出してゆっくりしようと思っていたのだが中々帰る気配がない。

 俺も精神的に疲れたからゆっくりしたいところなんだけど……。


 「武蔵、もっ。もし良ければなんだけどその子預かろうか? さすがに男部屋に1人はあれでしょあ。」


 「そうするー?」


 「?」


 「どうしたい?」


 「どうするー?」

 

 「うーん。私女の人達と一緒にいる!!」


 「……。」


 「確か武蔵だったよね? 武蔵はバイバイ!!」


 「はぁ。バイバイ。変なことするなよ。」


 「そのぐらいわかってる。原物に怒られるからしないもん!!」


 「はいはい。」


 みんなは俺が泊まる部屋から出ていきまた1人寂しい時間が過ぎていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。