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第68話 元女神キリのことが……

 ピロン!!


 「……。」


 ピロン!!


 「分かった、分かった!!」


 女神メールの音で起きた俺は、最悪の気分のままベッドの上で座り、メール一覧を見る。


 あれ?

 いつの間にかメールが溜まってるな……。

 いつもの神から2件ずつ……。


 44件目

 絶対に彼女の誘惑に負けてはいけません!! 彼女は欲しいものは必ず手に入れる主義。そして、この世界に舞い降りたのもそのためです。本当に何をするのか分からない神ですので、本当に気をつけてください!!


 12件目

 ここで……。なんで……。いつバレた……。大和の魂がこちらに来てることを……。あっ。いいですか。あれは元女神そして、人類の敵です。何があっても誘惑に負けてはいけません!! 絶対です!! 彼女は巧みな言葉を使いあなたを自分のものにしようとするでしょう。気をつけてください!!


 ……?

 大和?


 メール相手でも間違えたのか?

 でも、女神が目の前に現れたのは俺だし……。


 まっ。とりあえず次だ次!!


 

 45件目

 無事に帰ってこれたのは良かったですが、あそこまで目をつけられてしまうとは……。やはり私が召喚すべきではなかったのかもしれません。巻き込んでしまいすみません。


 13件目

 彼女は当分このニッホンには来ないはずです。しばらくはここに泊まり落ち着いてから他の場所に移動することが懸命だと思います。ギルマスの怪我は全ギルドに通知され、原物あたりがこの街に来る可能性があります。本当にそれまで動いてはいけません。嫌なことがあるとおもいますが、今は安静にしてください!!


 原物が来てくれたらたしかに助かるけどさ、ほんとなんなのこの世界!!

 

 行く先々でトラブル続き。

 しかも、今回は元女神という絶対にやばい的に目をつけられる始末……。

 最強じゃないのはもう妥協してるけどさ、せめてスローライフとか味あわせてよ!!


 「ほんとそうですよね。皆さんタイミングが悪いと言いますか。」


 「そうそう!! 結構楽しみにしてたらニッホンでさえ外に出るのが、恐怖するような生活になってるんだよ。」


 「分かります。あの女神についてどう思ってますか?」


 「昨日の?」


 「はい。」


 「恐怖しか言葉が見つからないでしょ。みんなは少し離れてたけどさ、目の前に現れた時美しいとかよりも怖い。逃げ出したい。って感情しかなかったし。てか、女神の話なんかしないでよ。思い出しただけで、ゾクゾクって体が震えてきたじゃん!! それで……。あれ? 俺誰と話して……。え……。」


 俺は昨日の夜から記憶を思い出してみるが、俺の部屋に入った人物は誰1人としていない。


 もし誰かいたとしても、女神メールをチェックしてる時に分かるはず……。


 やばい。

 本当に体が震えでした!!


 それになんだか後ろから視線が……。


 振り向いたらダメって思えば思うほど、気になる。

 ちょっとだけなら……。


 ちょっとだけなら……。



 「お久しぶりですね。」


 「ああああああ!!」


 やばい、やばい!!

 すぐ後ろに来てるじゃねぇか!!


 俺は慌てて逃げようとしたのだが、手を捕まれ後ろに押し倒され、首元に抱きしめられた。


 やばい、本当にどうする?

 叫んで誰かに……。

 いや、誰が来たところで誰も対応ができない。


 「そんなに慌てることはありませんよ。ほら、人肌ならぬ神肌で落ち着きましょう。」

 

 そう話しながら俺のほっぺに、元女神のほっぺがペタリとくっつく。


 その瞬間今まで、慌てていた俺の心が解き放たれ少しずつ冷静さが戻り徐々に心が温かくなっていく。

 

 「収まってきましたね。それにしても、神アルトがもうあなたに接触していたとは思いもしませんでした。彼女はあなたのことになると暴走するところがありますが、それは今でもということですね。あっ。それと、今まで秘密で神々とメールをしてたと思いますが、そこに私も付け加えました。しかも、私限定で返信機能も着いてます。私たち二人だけの特別なメールをしましょう。あなた様。」


 そう話しながら吐息を耳元で漏らす女神に、ドキドキが止まらなくなる。

 これは恐怖では無く、恋などといった感情のドキドキ……。


 やばい、後ろを振り向きたい。

 顔を見たい。


 見たい。


 見たい……。


 ダメだ。1回冷静になれ。

 後ろにいるのは元女神というよく分からない立ち位置の敵じゃないか。

 逃げないとやられる。

 ただそれだけだろ!!


 「逃げては行けませんよ。あなたのことが大好きな、可愛い女の子に抱きつかれているのですから。そうですね……。神々から私の嫌な噂を聞いているので不信感から入ってしまうのは分かりますが、私はあなたの味方ですよ。ほら、この感触だって天界にいる神々では感じることもできないでしょ? どうですか?」


 「?!」


 そういいながら、腕を俺の胸辺りで抱きしめ、体がぺったりとくっつき柔らかいものが若干感じるのだが……。

 骨の方が感じるというか……。

 なんというか……。


 「あっ。すみません。私胸があまりない方なので気持ちよくないですよね……。でも、柔らかさには自信があります。もちろんあなたの為に誰にも触られたことすらもありません。どうですか。1度体験をしてみては……。」


 恥ずかしそうに、しかも色っぽく話すその言葉に俺の鼓動はスピードをあげた。

 吊り橋効果とでも言わんばかりに、徐々に後ろにいる元女神のことが気になりつつあることも分かる。


 だが、危険人物ということも知っている……。


 俺はどっちを優先すべきなのか……。

 俺は……。


 俺は……。


 「あなた様。私の名前はキ・リ・で・す。もう一度耳元でしっかりと言わせていただきますね。わ・た・し・の・な・ま・え・は・キ・リ・で・す。」


 「?!」


 今までと違い、脳に直接言葉が響き渡る話し方で俺はキリのことしか考えられなくなる。

 やばい、本当にやばい……。

 それに、キリのことを考えてはけないと思えば思うほど考えてしたうて。


 「ふふ。そんなに私のことを真剣に考えて嬉しいです。そうですね。せっかくですし、神アルトが何故あなたに夢中なのか教えて差し上げましょか?」


 「えっ……。」


 「特別に教えます。ふふ」


 耳元でそう囁かれ、俺の心はキリに盗まれつつあった。

 今の段階で、神アルト以上の信頼は確実における……。


 俺は気づかない間に虜にされていたのだ。

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