第67話 さようなら、ギルマス
「……。」
「威圧をした程度で動けなくなるとは、くだらんギルマスですね。」
「……。」
アバトはギルマス1人に対して威圧を放っているらしいが、威圧の範囲が少なければ少ないほどその威力が上がる。
そして、Sランク冒険者である原物をなんとも思わず、ダメージも与えた存在。
そんな彼は、がっかりしながら1歩、また1歩と近づいて行くが、ギルマスは足が震え防御すらもできていない。
「そんなに怯えた顔をしていては、いじめをしているようではありませんか? 誰かギルマスを助けてもいいんですよ。」
と言っているが誰1人動く素振りは無い。
そもそも、あんな魔法を放つ主に従えてる時点で知らなくても強いということはわかる。
そして俺はアバトと原物の戦いを見たから、何をしても敵わないのは知っている。
自殺をするようなことはしないと言い訳をしながら若干、痙攣している足を手で抑えている。
そんな時間が過ぎてゆき、ギルマスの目の前にアバトが……。
未だに動かないギルマス……。
「確かここのギルマスはAランクまで行ったと伺っておりましたが、期待はずれですね。少しお遊びをしたいところでしたが、これでは相手にもなりません。ですが、ご主人様に攻撃を向けたという事実は変わりません。ですので、1本貰っていきますね。」
「ああああああ!!」
見えなかった……。
ギルマスの右腕をアバトが持っている。
そして、ギルマスの右腕があった場所は胴体から血がドバっと出てくる……。
「このままでは血を出しすぎて死んでしまうかもしれませんので、回復でも致しましょう。キュアキュール。こちらで、もう大丈夫でしょう。では、こちらは貰っていきます。では……。」
「ああああああ!! はぁ。はぁ。」
アバトも謎の空間を召喚し、そのから消えていく。
そんな姿を見たギルマスはその場で座り込んでいた……。
ギルマスの腕があった場所を押えているが、もうそこまで血は出ていない……。
だが、ギルマスといえど冒険者。
その冒険者が片腕を無くすということは、冒険者の生命を絶たれたも同じ……。
「「……。」」
そこからしばらくは誰も動けず、いや、今この世界を現実なのか? 理解できずただそこで呆然としていただけだったが、街内で待ち構えている冒険者が馬を乗りながらやってきて少しづつ意識が戻ってくる……。
「ごっ。ごめん……。俺のせいで……。」
「むっ。武蔵……。そんなことないから……。とりあえず、街に戻ろう……。」
「うん……。」
リーダーであるシアと少し会話した後みんなと顔合わせたのだが、恐怖、焦り、唖然どれも混じった顔をしていて、ただ俺たちの言葉に「うん」としか頷かなかった……。
街から来た冒険者は何があったのか全く知らず、ギルマスの姿を見て驚愕し、話を聞こうとしていたが、ギルマスはただ下を向いて頷くことしかできていない……。
ほかの冒険者もゾンビみたいに気が無く街へと吸い取られて言った。
「うっ!! スキルか……。」
現在は門番がいないので怪しまれることが無く、俺は街からハブられた。
自宅警備員のスキルを発動したので24時間はその場に居なくてはならない。
今回はこの草原か……。
「みんなは先に入ってて。またあした帰るから……。」
「いや、私たちもパーティーだから野宿でいいよ……。」
「うん……。」
「そうだね……。」
「……。」
「ありがとう……。」
「「……。」」
そして、街の近くにテントを出し順番で警備しながら野宿になったたが俺は一睡も出来なかった。
たしかにアバトが怖いというものもあるが、それ以上にあの元女神が俺の傍に来たあの恐怖を何度も思い出し手の震えが止まらなかった。
そこから朝になったが、みんな覇気が無くそのままボーッとしていたらお昼そして夜になり、12時になり時間が過ぎたので俺たちは街に戻ることにした……。
夜も遅いが、門は開いており門番にギルドカードを見して中に入るのだが、その光景は俺は受け入れることはできなかった。
「生きてるぜぇ!!」
「酒だ酒!! 飲め飲め!!」
「あと1週間は続けねぇとだよな!!」
と、どんちゃん騒ぎ……。
しかも全て市民で冒険者の姿はやっぱり見えなかった……。
「早く宿屋に行こっか……。」
「うん……」
俺たちは早歩きで宿屋に行き何とか部屋を確保し、就寝した。
せっかく寝れても、あの女神の夢しか見ない。
何度も何度も目を覚まし寝直しても……。
ほんと、なんなんだよ……。
なんなんだよ!!




