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第62話 シアとのデート

 全く眠れなかった……。


 何故ムイは俺のために金貨10枚も出したのか?

 返す予定だが、いつ目処が着くか?

 一千万、一千万……。


 と頭の中でぐるぐると周り夢の中でも出てきてすぐに目を覚ます。それを繰り返した結果が、今に至る……。


 急に借金一千万円です!! ってなったらこんな気持ちなんだろうね……。


 ムイだから、無利子無期限だし、本人は別に返さなくてもって感じなのがありがたいけど、俺としてはしっかり返したいからね……。


 ほんとどうしたものか……。


  悩めば悩むほど分からなくなり、返さないといけないプレッシャーが襲いかかってくるその時!!


 トントン!!


 悪いことをしてないが、何故かドキッとして少し怯えながらドアを開けるとそこにはシアが……。


 しかも1人?

 何事?


 「武蔵、私はもう元気になったから明日出発するよ!!」


 「しゅっぱつ……。あっ。出発ね、出発!!」


 「そうだけど、どうした? なんか顔色も悪いし……。もし良ければまもう少しこの街でゆっくりする?」


 「いやいや、全然大丈夫だから。それで、明日出発するんだよね!!」


 「そう。明日の早朝出発する予定だから、買い物を済ませていっぱい寝ること。野宿生活が続くと、寝不足にどうしてもなっちゃうからね。」


 「そういえば、今日ムイ来てないな……。確かシア一緒の部屋だったけど、まだいた?」


 「もう居ないよ。国王様だったりムイのお父さんだったり、家族がいるから、そっちに会いにいくって朝出かけて行ったよ。しっかり予定も伝えたからそれまでには戻ってくると思うよ。」


 「そっか……。じゃあ、ゆっくりするか……。」


 「あっ。そうだ。大事なこと伝え忘れてた!! 予定だけど、ニッホンまで半月ってところだと思う。無理もしないで、途中にある街全てに泊まると考えるとね。」


 「分かった。じゃあ、今日はゆっくりして……。シアってなにか予定あるの?」


 「……。えっ。わっ。私の予定?!」


 「うん……。」


 何故か急にモジモジしだしたシアであったが、可愛い!! じゃなくて、トイレ我慢してる? っと思ってしまうような変わった動きをしている。


 それに、目がキラキラと輝いて、なにか見てはいけない光景を見てる感じ……。


 「もっ。もちろん空いてるけど。もしかして、武蔵も空いてたりするの!!」


 「空いてるから、シアが暇なら少し一緒に出かけないかなって思ったんだけど」


 「行く!! 絶対に行くから!!」


 「わかった、分かったから。じゃあ、宿屋の前集合で。」


 「うん、わかった。楽しみにしておくて!!」


 そう言って走って出ていったシア。

 それにしても、「行く!!」の時、すごい食い気味だったな……。

 もしかして、一緒に出かけたかったり!!


 ってシアには限ってそんなことはないか!!


 はぁぁぁぁぁ。とりあえず、日光でも浴びて目を覚まそう……。


 俺は窓を開け太陽の光をしっかりと浴びた後に着替えて向かうが、既にそこにはシアがいた……。


 女の子は準備がかかるから!! が定番じゃないの?!


 「ごめん、シア。遅れちゃって!!」


 「全然そんなことないよ。それよりも、行こっか……。」


 「うん……。」


 だが、俺はシアに目を奪われなかなか進めないでいた。


 なんで、ユイもそうだけど俺のパーティーメンバーは私服とのギャップがすごいんだよ!!


 真っ白のワンピースに麦わら帽子。最高のセットじゃないか!!

 その可愛さに、眠気なんて一瞬で覚めた。


 「なんか、武蔵の視線エッチな気がする……。」


 「そっ。そんなことないから。怪しんでる目してるけど、本当だから!!」


 「はいはい、分かったから。分かったから。じゃあ行くよ。エスコートしてくれる?」


 「うん」


 手を出してきたので、俺は手をつなぎながら街の散策をする。



 この街のパン屋、武器屋、甘味処などなど色んな場所に行ったが、どこに行ってもシアは幸せそうな顔をして俺に向かって笑いかけてくれる。


 この表情に虜になり、俺の鼓動が早くなった……。


 ユイにムイにシア。

 俺の心がパーティーメンバーに奪われていく。

 ほんと、俺がこんなことになるなんて思ってもなかったからな…。


 「よし、だいぶ暗くもなってきたから戻ろうか。今日はいっぱい寝て、明日に備えるよ!!」


 「分かってるよ。」


 「そんなこと言って、本当は今日という日が終わって欲しくないんじゃない?」


 「そんなことないし!! さっさと行くよ!!」


 「分かった、分かった。」


 笑顔になりながらからかってくるこのシアの顔がたまらない……。

 これが本当に俺自身に言っているのか? とやはり何度も思ってしまう。


 その後も手を繋ぐのだが、手汗大丈夫だよね? や変な顔してないよね? なんて考えていたらすぐに宿屋に着いてしまう。


 まだ、この時を終わらせたくないが、明日から野宿だから今日は早く寝ないとだよね……。


 「じゃあ、こっちだからおやすみ。」


 「おやすみ、武蔵。へへ。なんか、こうやって言い合えるのいいよね!!」


 「うっ。うん」


 「顔真っ赤にして〜。武蔵ってそういう所かわいいよ。」


 「そっ。そういうシアの方がかわいいよ」


 「えっ。可愛い……。そっ。そんなこと急に言わないでよ!! じゃあ、またね!!」


 そう言ってシアは部屋に入っていったので、俺も自室に戻ってすぐさまベッドに倒れ込み足をバタバタさせてしまう。


 はぁぁぁぁぁ。

 今日幸せだったな!!


 とりあえず、今日は最高の1日をすごせた。

 あんなに眠かったのが嘘のようだ……。


 眠かったのが……。


 あっ。借金……。


 1000万円……。


 不安を思い出し、現実逃避の為、就寝……。




 そして、早朝。

 集合場所の宿屋の前に行ってみるが、相変わらずみんな早くまた俺がビリ……。


 「ごめん、遅れた。」


 「問題ない。まだ早朝。」


 「それに、私たちは色々と準備があるー。だから、気にしないで大丈夫ー。」


 「それなら、良かったけど……。また、徒歩だよね?」


 「もちろん!! と言いたいところなんだけど、ムイのお父さんから人数分の馬の契約魔法のスクロール貰ったから馬移動なんだよね……。ムイ、本当にいいの?」


 「だから、大丈夫だってー。シアは心配しすぎー!!」


 「それならいいんだけど……。とりあえず、外に出て契約しに行くよ!!」


 『うん!!』


 俺たちは入ってきた時みたいに門番に身分証を見せ馬を引きながらすんなりと外の草原へとやってきた。


 だが、やってきたのは門から遠く離れて人影もない場所……。


 「なんでこんなところでやるの? 近くでやって早く行った方が楽で済むんじゃない?」


 「武蔵はスクロールの値段知ってる?」


 「それは、知らないけど……。もしかして、高いの?!」


 「そう。しかも、契約魔法は1つ金貨1枚は最低ってところ……。それと、用意してくれた馬は冒険者がそこら辺で買ってくる馬と大違い。筋肉量や持久力を持った馬だから、値段なんて分からない……。」


 「……。金貨1枚……。100万円?! それプラスと考えると……。」


 「シアと武蔵はすぐにお金ばっかりー。そんなんじゃ楽しく生きられないよー。ほら、契約やって行くよー。」


 「「うん……。」」


 シアから値段を聞いた俺達は馬を触るだけでさえ、緊張し若干手が震えていた。


 スクロールはシアが初めに見本を見してくれたが、文字が書いてある方を馬に見せ「我が力へ」と言うだけだ。


 俺もやってみたが、なんだか馬と意思が取れてるような感じがしたし、馬を召喚したり戻したりと色々実験をした。


 こんな便利なものがある異世界なら、何故たかが伝達で金貨10枚も取るのだろう? という考えが頭の片隅から離れなくなったが……。


 「みんな、準備はいい? それじゃあ行くよ!! 目指せニッホンへ!!」


 「「おー!!」」


 俺達は手綱を引き馬を走らせた。

 シア曰く、ニッホンまでは半分の時間で着くみたいだ。

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