第61話 金額10枚の値段はまさかの……
「あの、普通の伝達だとどれぐらいかかりますか……。」
「そうですね……。銀貨1枚でできますが、如何なさいますか?」
普通か銀貨1枚で、特別が金額10枚……。
いくら原物さん相手でもさすがにこれはね……。
「普通の方でお願いします。」
「かしこまりました。では、お金を先によろしいでしょうか?」
「はい!!」
俺は収納魔法でお金の確認をするが、預り金以外無い?!
そんな馬鹿な!!
目の前に表示されているステータス画面から収納魔法を何度も何度も確認するがやっぱり見当たらない……。
こんなことはありえない、どこかにあるはず!!
どこかに……。
あれ、ちょっと待てよ……。
その瞬間、原物ととある少女の顔が頭に浮かんだ……。
俺無一文だった……。
「……。」
「?」
受付嬢はこっちを向いて、まだかなって感じで待っているが、どうする?
また、ムイに借りるか? それともやめとくか……。
いや、でも原物さんのことだからどこかであったら絶対にめんどくさいことになるよね……。
ここは借りとくか……。
「ごめん、ムイ……。」
「分かってる、分かってるー。武蔵のことならなんでもお見通しー。では、特別枠で、お金はこれでお願いしますー。」
「「?!」」
「はっはい、承りました。では、伝言の内容を紙に記入お願いします。」
その言葉と共に高級そうな紙と万年筆のようなものが机に置かれる。
そして、ムイ以外の俺たちは空いた瞳孔が閉じることなく開きっぱなし。
驚きを通り越して声さえも出ない状況だが、俺はそれだけではすまず頭まで真っ白になっていた……。
「あの……。大丈夫ですか?」
「あっ。あっ。大丈夫です。では、書きます、書きます!! って」
受付嬢によって現実世界に戻ってきた俺は万年筆を持って書こうとするのだが、高そうな万年筆を見て手紙震えてくる。
それに、どうやって書き始めれば……。
緊張で回らない頭を一生懸命動かしてみるものの、空想が固まらない……。
でも、とりあえず書かないと!!
悩みに悩んだ俺は、記憶を思い出しながら何とか書いてみることにする。
拝啓、原物様。
季節というものが存在しないこの世界に、始めの挨拶は何を書くのが適しているのか悩むところで候。
この度は連絡を入れず、街を去ったこと大変申し訳ございません。
あの方からの連絡はこちらに来ており、原物さんに連絡をしたので安心して欲しい。と仰られておりました。
今後このようなことがないように精進致します故、今後もよろしくお願い致します。
敬具
こっ。こんな感じて大丈夫だよね……。
こんなに丁寧なら、さすがの原物さんももう怒らないよね……。
「武蔵、なんか変なことばっかり書いてるー。よくわかんないー。」
「……。えっ? なんでみんなして覗いてるの!!」
「季節が存在この世界ってどういうこと?」
「えっあっ。それは、……。遊び言葉だよ。遊び言葉。俺と原物さんはこういうこと言える仲ですよってこと。うん。2人だけの合言葉みたいなこと。」
「拝啓って?」
「始まりみたいなことだったかな?」
「敬具は?」
「それは終わりってこと……。ってもう終わり!! 伝言の中身をあまり見ないで!! すみません、これでお願いします!!」
俺はこれ以上読まれまいと、紙と万年筆を慌てて受付嬢に渡す。
「では、こちらをお送り致します。1度送るとキャンセルできませんがよろしいでしょうか?」
「はい!!」
「では、承りました。それと、他の用事がおありでしたがそちらは?」
「あっ。そうだった!! パーティーメンバーの追加申請をしたくてギルドに来たんだった!! すみません、パーティーメンバーの変更でお願いします。ギルドカードはこれです!!」
「では、お預かりします。みなさんの分もお願いします。」
ということで、みんなギルドカードを渡したのだが、受付嬢はよく分からないものにかざしていた。
そして、最後にこれのギルドカードをかざすとニコッと笑いながら話しかけてくれる。
「登録完了致しました。これからは正式に5人パーティーとなります。パーティーを脱退する場合はパーティーリーダーと本人がギルドに来ていただければ手続きができます。あと、パーティーの脱退を拒否されたなどございましたら、すぐにギルドにお知らせください。調査し、ことによっては強制脱退、最悪パーティー解散もございます。今見た感じですと、そんな感じは無さそうなので大丈夫だと思いますが、何かあれば気軽に話してくだしいね。では、皆さん、また何かございましたらお声がけ下さい。」
「「はい!!」」
そうして俺たちは用事が済んだのでギルドを出る。
受付嬢は俺たちがギルドから出るまで手を振ってくれたのが印象的だったが、これは多分高額なお金を目の前で見たからだよね……。
だって、今まで一回もなかったし……。
よし、とりあえず、今日する予定は全て完了。
悩みの種はまだまだあるけど、そこはおいおいってことで!!
予定が終わったので1度宿屋に戻ろうとなって歩いているのだが、ふとあることを思い出した。
そういえば、女神がこっちのお金の価値を教えてくれたことがあったな。
金額10枚の値段でも確認しとくか。
メール、メール。
おっ。あった、これこれ……。
?! ちょっと待てよ、間違ってないよな……。
一十百千万十万百万千万……。
だよな……。
一千万だよな……。
一千万も伝達にかかるって言うのもおかしいが、それをポンと出してくれるムイもムイで何考えてるのか分からない……。
本当に、間違えじゃないよな。
だが、再度数えても一千万円……。
どうする? どうする?
返せる額じゃないぞ。
思考を回転しようと思うが、衝撃的な金額により停滞してしまっている……。
とっ。とりあえず、きっ聞かないと……。
「むっ。むっムイ!!」
「なにー。」
「なっなんで、きっ金貨10枚も出してくれたの!!」
俺はいつもの口調と違い、早口プラス、目が泳いでしまう。
だが、考えれば考えるほど分からないし、俺にそんな価値はない。
ほんと分からない。
だって、一千万だよ、一千万!!
「それは、武蔵が困ってたからー。あっ。誰でも貸す訳じゃないよー。武蔵だからー。」
「えっ……。とっ。とりあえず、何年かかっても、何十年かかっても、ぜっ。ぜっ。絶対に返すから!!」
真剣な眼差しで言う俺に対してし、ムイはのほほんとしている……。
それに、みんなもいつも通り近い「うんうん」って何度も頷いてるし。
やっぱりおれの金銭感覚は間違ってないってことだね……。
「別にいいのにー。あっ。そうだー!! 結婚しちゃえば問題なしー。資産一緒ー。」
「「……。」」
「ってムイ!! なんてこと言うの!! ほら、武蔵も何か言って!!」
「そう。シアの言う通り、そんな馬鹿なこと言わない。」
「むっ武蔵は隠れて私のことが好きなんだから、それはないはずだよね?!」
「そんなこと聞いたことない。」
「「それよりも、どうすんの!!」」
「えっ。」
みんな俺の目の前にきて、聞いてくるが、俺の頭はとりあえず返さないとしかない。
しかも、あんな大金払われたことにたいし、頭が混乱している。
「だっ大丈夫。必ずお金は返すから……。絶対に返すから……。」
俺はロボットみたいにカタコトで何度も同じことしか言えなくなっている。
「もう、武蔵ったらー。」
その後部屋に戻ったが、混乱している俺は部屋から出ず、一千万、一千万と何度も呟いていたら夜になったのでそのまま就寝……。
一千万、一千万……。
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