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第60話 シアの両親

 日が上がり朝になったわけだが、部屋はどんよりとした空気が残る。

 いずらいと感じるが、それと共にやはりシアのことも気になってしまう……。


 シアには一番最初に助けてもらったし、この武器も借りっぱなしだからな……。


 はぁ。顔洗ってくるか……。


 俺は宿屋の裏庭にて顔を洗うが、シャキッとせず……。

 ため息ばかり出てしまう……。


 なんだか、昨日のムイのお父さんみたいだな……。


 はぁ……。


 「安心したまえ!! この街は魔物の手から守られた!!」


 「?」


 何か外から聞こえてくるな?


 様子見ということで、宿屋から出てみるとそこには国王、ムイのお父さん馬車に乗り護衛が近くで歩いている光景が視界に入る。


 「先の魔物の原因も既に調査済みだ。この街は安全な街へと帰還する。我々もしばらくはこの街に滞在するつもりだ。何かあれば、領主亭まで気軽に来て欲しい。何でもしよう。」


 国王はマイクのようなものを持ちながら、そう言って去っていった。

 ムイのお父さんはなんだか疲れきった顔をしていたが、あれは多分昨日のあのせいだよね……。


 とりあえず、宿屋に戻るか……。


 「あんた聞いたか? あの、族長がこの街にいるんだから、安心安全さ。冒険者を引退してもなお、あのお方の伝説は途切れることなく何個と作っていくんだから、生きる伝説とまで言われてるからね……。あんたも昨日はありがとね。おかげで助かったわ!!」


 「いっいえ。当たり前のことを下までです!!」


 「いや、その当たり前のことをできない冒険者がおおいいんだよ。ほんと感謝してる。ありがとう。代金は返すよ。こっち来て。」


 「いや、でも……。」


 「なに、命の恩人に何もしないなんて、神様に怒られるだろう。本当にありがとう。」


 そういいながら、俺たちの宿泊代をもらい、そして、好きなだけ泊まっていって欲しい。と言われたので甘えることにする。


 女将さんは、おれが階段から見えなくなるまで手を振ってくれてすごい嬉しそうな顔をしていた。


 俺がいや、俺たちのおかげでこうやって救われる方がいるって本当に嬉しいな!!

 運が悪いなんていつも言ってるけど、こういうことを大切にしていかないとな!!


 俺が部屋に戻ると、シアは先程までの顔とは違うがいつも通りとはいかない……。


 「ごめん、武蔵にも迷惑かけちゃったね……。それにしても、みんな無事で良かった!!」


 シアはそういいながら笑うが、引きつったような笑い。

 それに、声も若干震えてるような……。


 「ごめんなさい、私が、リーダーがこんなんで……。こないだは大丈夫だったから、もうあんなことにならないと思ったんだけど……。って、あんな姿を見せたんだから気になるよね。私のこと。そんなに大きなことじゃないんだけど、私の両親冒険者でモンスタースタンピードで死んじゃったんだよね……。だから、あの警報がなったりすると思い出しちゃってあんな感じに……。ごめんね、こんなことで!!」


 「こんなことじゃないよ!!」


 「武蔵……。」


 「大切なことをこんなことで片付けちゃダメだよ……。シアはリーダーである前に1人の人間なんだよ。両親が亡くなったあの光景を思い出して平気な人間なんているはずが無い。シア、無理しないで。何かあったら俺が絶対に助けるから!!」


 「武蔵……」


 「シア、私もしっかりと守るー。シアは大切なパーティーメンバーだからー!! もはや家族ー。」


 「ほんとにそれ。私たちは家族。ひとりで抱えないで。」


 「シア、やっぱり私たちはいいパーティーメンバーに巡られたね!!」


 「うっ……。うん……」


 シアは返事をすると共に涙が溢れ、擦っても擦っても止まらない。

 

 「あれ……。泣くはずじゃなかったんだけど……。なんで……。」


 「武蔵、早く!!」


 「えっ。」


 「いいから、早く!!」


 「うっ。うん。」


 俺はリアに促されそのままシアを抱き抱えるとシアは俺の胸の中で子供のように泣いた。


 みんなは俺たち2人を残しその場から立ち去り部屋には俺とシアのみ。


 俺はシアの頭を撫でながら、「大丈夫、大丈夫。」と言うと、シアは強い力で抱きついてきた。




 「ごめん、武蔵。」


 「ごめんじゃないでしょ」


 「うん。ありがとう!! やっぱり武蔵はかっこいいね!!」


 「もうなにそれ」


 「ふふ。武蔵、これからも私のこと。いや、私たちのことよろしくね。」


 「分かってるって。それに、もう同じパーティーメンバーでしょ!!」


 「それって正式にってこと?」


 「もちろん!!」


 「武蔵!!」


 「って痛い痛い痛い痛い!!」


 シアが本気で抱きついてきたが、冒険者であるシアの本気は俺の体がたえられしうになく、何本かボキボキという音が聞こえたような、聞こえなかったような……。


 さすがにこれ以上は身のきけんを……。


 「って、武蔵ごめん!! つい、興奮して強く握りしめちゃった……。」


 「大丈夫……。大丈夫だから……。後で、ギルドにでもみんなで出しに行こっか。」


 「もう、そこは2人でって言って欲しかったけど、まぁいっか。行こ。みんなで!! でも、みんなが帰ってくるまで、もう少しだけ抱いてていい?」


 「力強くしなかったらね」


 「もう!!」


 その後、シアは俺に抱き着いてきたのだが、みんなが帰ってくるまでずっと抱きついていた。

 しかも、みんなが帰ってきたのは30分ぐらい……。


 甘えん坊さんだな!!


 「忘れてたー。もう武蔵は正式なパーティーメンバーだと思ってたー。」


 「私も私も!!」


 「みんな忘れすぎ。私は忘れるはずがない」


 「さすが、武蔵大好きなだけあるねって、痛い痛い!! わかったからやめて!! ほら、みんなで行くよ!!」


 「「おー!!」」


 俺たちは、その足でギルドに向かい受付まで到着し、問題なく手続きする予定だったのだが……。


 「武蔵さん、実は原物さんから伝言があるので、そちらからでも大丈夫でしょうか?」


 「……。……。忘れてた!!」


 「えっと、内容を読み上げでもよろしいでしょうか?」


 「はいー。」


 「ってムイ!! 心の準備はさせてよ!!」


 「大丈夫、大した用事じゃないからー。」


 「では、代読致します。武蔵、この俺になんの返事も無く街を出ていくなんて大したやろうだな。しかも、あの方からの伝達があれば連絡が欲しいといっときながら何も返事はなし。連絡があったのに、連絡をしなかったらなんてことはねぇよな。俺とお前の仲なんだ。その時はどうなるかわかるよな。この返事を聞き次第必ずギルドから俺宛に連絡をいれろ。いいな。決定事項だ。それと、わかりやすいように、特別枠で出せ!!いいな。だそうです。」


 「……。」


 「初めから、読み直した方がいいですか?」


 「いや、大丈夫です。大丈夫ですから!! えっと、伝達お願いします!! 宛名は原物さんで!!」


 「はい、では金額10枚、または大金貨1枚ちょうだい致します。」


 「……。はい?」


 「金額10枚お願いします。」


 「……。どっどうしよう……。」


 金貨10枚、無い訳では無いが、それはみんなが信用して俺に預けてるお金。

 使えるわけがない……。


 げっ原物さん、許してくれませんか?!

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