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第56話 次はムイのお母様……

 「お母様ー!!」


 「もしかして、お隣にいる方はボーイフレンドさんかしら?」


 扇子をパチンっとたたみ少しにやけ顔で俺たちにそう告げるムイのお母さん。

 だが、後ろの護衛は全く笑ってなく怖い。


 「違うよー。一緒のパーティーメンバーの武蔵ー。私のお気に入りなんだー。」


 「それはいいことね。冒険者として心配な部分があったけれど、しっかりできてるみたいで安心したわ。せっかくですし、どこかでお茶でもどうかしら?」


 「やったー。久しぶりのお母様とのお茶!!」


 「……。もっ。もしかして俺もですか?」


 「もちろん。」


 にっこり笑顔で返答してくれたが、ムイのお父さんの次はお母さんか……。


 お母さんは、そこまで俺のことを否定的な感じじゃ無さそう。

 ひとまず安心だが、何か一つで顔色が変わるかもしれないから気をつけないと……。



 俺たちはムイのお母さんについて行き、とある喫茶店に入った。


 だが、人数も人数。

 護衛が5人にムイ、ムイのお母さん、そして俺。


 従業員だけでなく、お客さんまでこっちを見てきて、何やら落ち着かない。


 「こっ。こちらがメニューです!! ごっごゆっくりとお過ごしくださいませ!!」


 「ありがとう。」


 「はっはひ!!」


 少し走って逃げていった従業員をよそに俺たちはメニューを見る。


 テーブル席2つを占領し、ひとつは俺、ムイ、ムイのお母さん。

 もうひとつは護衛用だ。


 それに、ムイは俺の隣に座って俺の目の前にムイのお母さんが座るという軽い地獄絵図……。


 ほんと、どうなってんだよ。


 「まずは、なにか頼みましょうか。遠慮せずに好きな物頼みなさい。」


 「はーい!!」


 「はっはい!!」


 「そんなにかしこまらなくていいわ。ただのパーティーメンバーの母親でも思ってちょうだい。ん? それでも緊張してしまうわね。それなら、お友達でも思ってちょうだい」


 「……。分かりました。」


 「敬語も使わなくてもいいわ。」


 「さすがにそれは……。」


 「慣れてきてからでも大丈夫だから、頑張ってね」


 「はい……。」


 完全にムイのお母さんのペースに飲まれたな……。

 とっ。とりあえず飲み物でも飲んで落ち着くか。


 「どれにするー。」


 「そうだね……。ぶどうジュースにしよっかな。」


 「それなら、私はオレンジジュースー。少しだけ分け合おっかー。」


 「さすがにそれは……。」


 「大丈夫、大丈夫ー。ちょっとだけだからー。どっちも飲みたかったんだよー。」


 「ムイが気にしないんだったら……。」


 「あらあら、仲良しさんね!!」


 「でしょー。武蔵とは仲良しなのー。」


 「では、私はりんごジュースにでもしましょうかな。すみません。」


 「はっはひ!! ただいま!!」


 緊張している従業員に注文したのだが、従業員が帰ると共に別の従業員が注文したドリンクを持ってきてくれるという激速っぷり……。


 「おっ。おっ。おっ。お待たせしっしました……。」


 そういいながら、コップを置いてくれるが、手が震え机に置く時にガクガクと音が鳴り響く。


 ムイのお母さんがにっこり笑顔で感謝を述べると、従業員は一礼して帰っていった。


 とっ。とりあえず、これ飲んで落ち着くか……。


 「それで、何時付き合うのかしら?」


 「ゲホッ……。あっ。すみません……。」


 「いえいえ、急に話を進めてしまって驚くのも当然だわ。でも、そういう恋バナ、気になってしょうがないのよ。ムイが気にいるってことは、そういうことでしょ。武蔵さんはどうなの?」


 「えっと……。とっ。とりあえず、パーティーメンバーとして一緒に過ごしてるかっ感じです……。」


 「そうなのね。ムイ、これからだわ。頑張りなさい。」


 「分かったー。」


 「それと、フィジにもあったのよね。どういう反応だったのかしら?」


 「それがねー!! いきなり武蔵と戦って、卑怯なことまでして勝ち取ったのー。だから、怒ってギルドから出ていったー。本当に、お父様は自分勝手なんだからー!!」


 「愛娘が取られそうになってるから、そうなってしまうのかもしれないわね……。私は、ムイには世界を知って結婚して欲しいところだけどね。それもそこまで長くないうちに叶いそうだから嬉しいわ。」


 そういいながら俺に向かってウインクをしてくるが、どうすればいいのか……。


 「武蔵、ひとくち貰うよー。」


 「あっ。ムイ!!」


 「うん。美味しいー。ちゃんと絞ってるからしっかり味がするー。たまに薄いヤツがあるけど、ここはしっかり濃くて美味しいー。」


 「むっムイ、大丈夫なの?」


 「えっ。何がー?」


 「気にしないんならいいけど……。」


 「まさに、夫婦みたいだね!!」


 「いいコンビー!!」


 「すみません。キユ様。そろそろ次のお時間がございますので、そろそろ。」


 「そうだったわね。ムイにあってすっかり忘れてしまったわ。私たちはそろそろ行くから2人とも仲良くするのよ。あっ。パーティーメンバーによろしくね。私たちは今日旅立つけど、また会えることを楽しみにしてるわ。ムイ、それまでに落としなさい!!」


 「頑張るー。」


 「むっムイ!!」


 「武蔵さんは恥ずかしがり屋ね……。家族になること楽しみにしてるわ。では。」


 そう言ってムイのお母さんは小さな袋を机に置いて護衛と一緒に喫茶店を出ていった。

 

 「とっ。とりあえず、ゆっくりしよっか……。」


 「そうだねー。あっ。お父様」


 「……。」


 ムイのお父さんはガラス越しにこっちを見てすごい嫌そうな顔をしてそのまま去っていった。


 本当に真逆の性格だよね……。

 未だに緊張が止まらないし、はぁ。

 今日はゆっくりしたい!!

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