表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/59

第47話 ムイの正体……

 「それにしても、さっきの武蔵ったら剣をガタガタさせて。ゴブリン程度で……。ほんと何やってんだか。ぷっ!!」


 リアは俺の隣で口元に手を当てながらクスクスっと笑っている。


 たしかにゴブリン程度でビビった俺だが、ぶっちゃける楽勝だったし、そもそもリアが俺のところに送り込まなければこんなことにならなかったし。


 てか、リアが悪いだろ。

 そう思ってはいるものの、中々声に出すことはできず、俺は何も反応出来なかった。


 「……。」


 「リア、武蔵をいじるのは許さないー。武蔵と私は新たな1歩を進んだんだからー。」


 「「あっ。新たな1歩って!!」」


 俺たちの前にいるユイとシアが歩くのを止め、振り向くが、ムイは無表情……。


 「「えっ。」」


 その声と共にユイとシアが顔を合わせて真っ赤な顔になり直ぐに俺たちに背を向けた。


 だが、ちょっと待って。

 俺とムイは何も無いぞ!!

 思い返してみるが、そんな大イベントは一切思いつかない。


 何かあったとすれば、沢山奢ってもらったことか?

 それとも、こないだ二人で買い物したことか?

 なんだ? なんだ?


 俺も気になってムイの方を見るが、ムイと目が合いにっこりと笑ったあと


 「秘密だけどねー。でも、意外とリアも気になってたじゃんー。」


 「いや、私は全く気になってないから。シアとユイと一緒にしないでよ。そんな話してないで、さっさと行くよ!!」


 「無意識かもしれないけどー。体が私に少し近づいてきたー。体は正直なんじゃないー?」


 「うっ。うるさい!! さっさと行くよ!!」


 リアは俺たちを置いて歩いていったが、よく見ると耳まで真っ赤。

 そうなると、このパーティーは……。

 さすがの勘違いじゃないよな……。


 ドキドキが止まらなくなるが、いつまでもここにいる訳にもいかないので、俺たちは歩き始めた。


 だが、そんな時遠くからなんだか足音のようなものが聞こえてくる。


 ドンドンドンドンドン!!


 ?


 ドンドンドンドンドン!!


 ?!


 よく見ると、結構遠くに騎士たちみたいな軍団がいるな。

 おお!!

 黒い馬に銀色の甲冑!!

 かっこいい!!


 それに、1人だけじゃなくて何人もいるあの感じがたまらない!!

 腰にかっこいい剣でも備えていて、何かあった時は走ってる馬から飛び降りて攻撃とかするんだろうな……。


 おっ。よく見れば真ん中に大きな馬車があるな。

 遠くでよく見えないけど、真っ黒でところどころ光ってる。

 金か?


 まさにお貴族様って感じか。

 すげぇな……。


 ……。


 ?!


 えっ。こっちに向かってね?


 えっ。ちょっと待って、騎士たちが来るってことは……。

 俺?!

 この世界に来てから不運と共に生きてるから、絶対そうだよね!!


 もしもそうなら逃げないと!!

 でも、どこに逃げる?

 

 辺りを見渡すが、野原がただただ続くだけ。

 身を隠す場所なんかない。


 「きっ貴族達がこっちに……。避けないと!! 武蔵、こういう時は貴族の行く手をはばからないことが絶対だから!! しかも、中央エリアであるここは世界の中心にある王都がこの世界で1番偉いとされているよ。だから、貴族達と絶対に揉めては行けないわ。早く!!」


 「うっ。うん。」


 いつも口調が違い早く口になってるシアの指示に従って俺たちは今いる場所から離れる。

 だが、何故か離れた俺たちに向かっているような……。


 いや、絶対俺たちの方に向かってる!!

 なんで? なんで?


 もしかして、本当に俺?

 ちょっと待って、悪いことなんてしてないよ!!


 「あー。アレは大丈夫ー。みんな心配しないでー。」


 「「?!」」


 俺たちは一斉にムイの顔を見るが、ムイはのほほんとしていて俺たちみたいな緊張感がない。


 俺なんて焦りすぎて冷や汗までかいてる上に、なんか体が寒くなってるようにも感じてるのに……。


 一体何事なんだ?


 近づいて分かるが、光っている装飾は金でできている。

 黒ベースで金の装飾……。

 ということは絶対に身分の高い方……。


 シアが膝を着いて頭を下げたので、俺は慌ててシアの真似をする。


 お願いします。

 何もありませんように!!


 ドンドンドンドンドンっという馬の足音が大きく聞こえるようになるたび、緊張感が走る。

 心臓音さえ聞こえず、思考が全てあの足音に消されていく。

 何も考えられなくなり、俺は呼吸が荒くなる。


 ちらっと横を見るが、シアは目をキョロキョロとしていて手も少し震えていた。


 それほど貴族は……。


 ヒヒーン!!


 その声と共に足音が突如止み静寂が走る。

 今までの足音がまるで嘘かのように……。

 だが、この静寂こそ恐怖を突き刺してくる。

 顔をあげないんじゃない。あげられないんだ。


 現実に向き合いたくない。

 どうしてこんなことに……。


 ガチャ。コツコツコツ。


 降りてきた……。

 ほんと、なんで、なんで。いや、何か言わないとか。

 どうする。シアはなんて言う?

 ここでちらっと見るのは無礼か。


 殺されないよな。

 どっどうなるの……。


 「お久しぶりね、ムイお姉様。もしかして、ここにいる方々があなたのパーティーメンバーかしら?」


 言葉を発するだけで気品があるのがわかる。

 清楚系な声で聞きやすい。

 ゆっくりでもなく早くでもなく本当にちょうどいい。

 いつまでも聴きたくなるような声。


 だが、それだけじゃない。

 風の音、草の摩擦音さえも支配するような、感じたことの無い威圧感……。


 それにしても、ムイお姉様?!

 まって、今までずっと一緒にいたムイが王女ってここ?

 えっ。あれだけ奢ってもらって、一緒にお出かけしたのな王女様……。


 まって、俺不敬罪とかで殺されるんじゃないか?

 えっ。

 どういうこと……。

 

 「そうだよー。私のパーティー。みんな頭なんてあげなくていいんだよー。せっかくだから紹介するー。ティアだよー。」


 俺は頭をあげるとそこには、太陽の光によって神々しさがます金髪に女神と比べるぐらい美しい女性が目の前に立っていた。

 しかも、白色のドレスで俺たちに向かって、スカートの端をつまみしっかりと挨拶までしてくる。


 だが、その少し後ろにはスーツまではいかないが、似たような生地で綺麗に着込んでいる男性がいる。

 腰には剣を構えているが、見ただけでなんとなく感じる。


 原物みたいに勝てないと……。

 だが、威圧を放ってないし、細身……。

 意味がわからない。


 俺は唾を飲むことも忘れていた。


 「ごきげんよう。第2王女のティア・ファースサラでございます。ムイお姉様には幼い頃よく遊んでもらいました。皆様もどうぞお気軽にティアとおよびください。」


 「「はっはい!!」」


 「そうでしたわ。ムイお姉様、おじ様が悲しんでいるのでお時間が空きましたら会ってはくれませんか? おじ様がよく王宮にいらっしゃってお父様によくお話をいたしますの。お父様はお仕事が溜まってしまいますし、おじ様も中々手が付かないご様子でして……。せっかくですので、このままご一緒に王都まではいかがかしら?」


 「それは無理ー。今から東国エリア行くー。お父様は今度手紙でも送っとくー。」


 「ありがとうございます。手紙があれば喜んで自分の仕事に励んでくれると思います。それと、王都に来た際は私とも少しお話をしましょうね。いっぱいお話したいことがございますゆえ。」


 「わかったー。」


 「では、失礼します。パーティーの皆様。ムイお姉様のことをよろしくお願いしますね」


 「「はっはい!!」」


 その後、コツン、コツンという音を鳴らしたあと、ヒヒーンという声と共に騎士達が離れていった……。


 よっ良かった生きてる……。


 ……。


 一安心した後ムイがお姉様と言われていたことを思い出し、ムイの方に振り向くが相変わらずのほほんとしている……。

 

 ムイ、王女って嘘だよな……。

火木土更新予定

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ