第44話 胸の苦しさ
「はぁ。全然わかんねぇな……。」
そろそろこの街から出ていきたいので次なる候補を探しているのだが、全くわからねぇ。
そもそも、土地勘がないからな……。
俺は机に世界地図を広げながらあちこち見ているのだが、頭を抱えている。
はぁ。もうしょうがないし、誰かに相談するしかないか……。
てか、そもそも、どこにいるんだ?
そんなことを考えつつも、地図とにらめっこを止めない武蔵。
そんな時トントン。とドアがノックされる。
誰だ?
「どうぞ!!」
椅子に座りながら振り返ると、シアが入ってきた。
シアが見えた瞬間、もしかしてみんなで作戦会議か? と思ったが、なんとシアのみ……。
一体なんの用事なんだ?
シアは部屋に入るなり、何やらモジモジしてなにか落ち着かないようにしている。
? 本当に何しに来たんだ?
「とりあえず、そこにでも座って。」
とベッドを指さすとさらに顔まで真っ赤になり、そのまま腰を下ろす。
その瞬間、やってしまった!! と思ったが、もう遅い……。
この後の展開って……。いや、シアに限ってそんなことは……。
なんだか微妙な空気が流れるが、その中またトントンとドアが叩かれた。
俺は驚いて肩を上げて反射的に「どうぞ。」と言ってしまったのだが、次はユイがやってきた……。
しかも、今日のユイはいつもみたいな身軽な格好ではなく、白がベースで青い花が書いてあるワンピース……。
可愛い……。
それに、いつもと服装が違うせいか、目が離せない……。
あれ、なんだかドキドキが止まらない……。
「武蔵、これから……。あっ。シアいたんだ……。それに……。私の事は気にしないで……。」
そういいながら帰って行こうとするユイ。
だが、一瞬見えた横顔は悲しそうな顔をしており、このまま帰しては行けない。と思い、つい声が出てしまう。
「ちょっと待って!!」
「でも、シアと2人っきり……。私は気にしないから……。」
振り返らないユイだが、涙声になっていた。
その声を聞いた瞬間、俺の心は穴が空いたように喪失感を得た。
絶対にこのままにしてはいけない。
ちゃんと説明しないと……。
「ゆっユイ。そういうことじゃないから。今後の予定について先に話そうと思っただけ!! 武蔵は私たちと違う旅をしてきたから、何か知ってるかなって思って!! だっだから、なんにもないから!!」
最後の方は声のボリュームが大きくなるシア。
その言葉を聞いたユイは振り返り俺のことを見てくる。
「そっ。そう。武蔵、この会議の後予定ある? なかったら出かけよう。」
ユイは相変わらずあまり表情には出ないが、いつもと違いほっぺが少し赤くなっている。
それに、よく見るとワンピースの裾を握って目が泳いでいて、こんなユイは見たことがない……。
俺はシアの方を見ると、うん。と頷いてくれたので、そのまま返答をする。
「この後は時間があるから、せっかくだし一緒に出かけよっか。」
「いいの!!」
「うん。ちょっとかかるかもしれないから、待ってて。」
「うん!!」
シアは嬉しそうな顔をしながら部屋から出ていった。
だが、俺の頭の中はユイのことしか考えられないでいた……。
いつもはこんなことないのに……。
「んん!! 早く終わらせよっか。」
その声と共に俺はシアと作戦会議を始めた。
少し悲しそうな声になっているシアだったが、俺の頭の中はユイのことしか考えていなかったので、気づくことはなかった。
「それで、私が来た理由なんだけど、今後のことを色々決めたくてね。武蔵のことだから、そろそろこの街を出たいとか考えてるでしょ。」
「よくお分かりで……。」
「武蔵はすぐに顔に出るからね。で、武蔵はどこか行きたいところでもある?」
「それが……。」
俺は世界地図を見せ、まさに困っていることを話す。
これは冒険者あるあるらしいが、ユイたちは何度も色んな都市に行ったりしているのでこの地図のことは詳しいらしい。
「今わたしたちがいるところがこの中央エリア。エリアは全部で5つに別れて、東西南北、そして中央がある。それぞれ特徴も違うから、下準備が必要になるけど、いちばん安全って考えると東かな……。」
「東エリア?」
「うん。東国エリア。最近はニッホンっていう地域のカタナ? っていう武器が人気なんだって。1回見てみたいって思ってたから、私的にはおすすめなんだけど、武蔵はどう?」
「刀!!」
「うっうん。カタナだよ。」
ということは、もしかして日本みたいな場所なのかもしれない。
刀の他にも魚が中心としたご飯が食べられるかもしれない。
この世界に入ってから和食を食べられず、恋しくなってきたところなんだ!!
それに、ユイにもいっぱい食べさせてあげたいな……。
って、どんだけユイのこと考えてるんだ!!
今は、作戦会議に集中、集中!!
「武蔵、結構気に入ってるでしょ。楽しみって顔してるよ。まぁ、そうだね……。安全なんだけど、結構距離があるから、野宿の連泊になるけど、なんやかんや言ってそれも楽しいから大丈夫でしょう。武蔵襲ったりしないでよ〜。」
「すっする訳ないよ!!」
「冗談だから……。まぁ、本当に襲ってもいいんだけど?」
「? なんて言った?」
「なんでもない!!」
最後の方が聞こえなかったけど、大して聞くことでもないか。
「じゃあ、私もう行くからユイと楽しんできてね!!」
「あっ。待って。ちょっと聞きたいんだけど、俺と2人で決めてよかったの? みんなも行きたいところがあると思うけど……。」
「いいの。いいの。みんなと話すと絶対に違う方向を言うから、行き先を決めるだけで何日もかかるからね。だから、今回は武蔵に助言を頼みに来たってわけ。これからも続けると思うから、覚悟しといてね」
「うん。」
「それじゃあ……」
「?」
最後なんか寂しそうな声に聞こえたのは気のせいだろうか……。
あっ。ユイ待たせてるんだった!!
行かないと!!
俺は急いで部屋を出るのだが、何故かシアはまだ俺の部屋の近くにいて胸の当たりにぎゅっと押さえていた……。
何かあったのかな?
とりあえず、今はユイとの約束だ!!
俺はユイが泊まっている部屋をノックした。
火木土更新予定
すみません、投稿した気でいました!!




