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第40話 領主の報酬は……。

 「そんなもの要らねぇ。俺たちはただ目の前に苦しんでいる人々を助けただけだ。そんな当たり前のことをしたまでだ。それに今回はギルドからも貰ってる。それプラスなんかで貰えるか。そんな金があるならまずここの住民たちの生活をどうにかしろよ。」


 「堂々と言ってますけど、原物さん。めちゃくちゃ行くの嫌がってましたよね……。」


 「おいおい、いいところでそれは言わねぇ約束だろ!!」


 「ありがとう。本当にありがとう……。」


 タナは原物の言葉を聞きながら下を向き肩を震わせながら涙をこぼしていた。

 原物はそんなタナのことを見て、誇らしげな顔をしていた。


 S級冒険者は狂ってるやつが多いって自分で言っときながら、誰よりも他人のことを考えてる良い奴じゃん。


 それに対して俺は……。


 冒険者として以前に、人間としてもまだまだだな……。


 その後、一緒にご飯だけは食べて欲しい。ということになったので、みんなで美味しいご飯を頂いた。


 なんでもタナは、牢獄から出て初めてのご飯だったらしく、食べながらまた泣いてしまっていた。


 「美味しい、美味しい」といいながら泣く姿には、心を打たれ、この当たり前の状態に感謝しないといけないな。と改めて考えさせられた。


 食事が終わった俺たちは領主亭を出て予定通り冒険者ギルドに向かっている。


 なんだか、心もポカポカしていて、今日はなんでも許してしまうほど、いい日になりそうだ。


 ピロン!!


 あっ。女神のメールか。今日はいい気分だから、さっさと開ける……。


 前のメールも開けてなかったよな……。

 怒られたりしないよな。今の気分落ちたくねぇぞ!!


 ドキドキしながら、メールボタンを押して1件ずつ読んでみる


37件目

 だっ大丈夫です。天界から特別に防御魔法を展開しました!! 死傷までは必ず行きません!! 絶対に生きてください!!


9件目

 安心してください。あなたはこんな所で死ぬなんてことは絶対にありません。だって、あなたは私の勇者様なんですから。どんな酷いことに合わされていてもあなたは必ず立ち上がり、成長する。今世でも、そんな姿を見せてください!!


1件目

 おっ。これがメールというもんか。俺はディアギラス。まぁ、お前さんたちからいえば神ってもんだ。あの原物のやろうが崇拝やってる神だわ。とりあえず、お前さんのところの女神がうるせぇから、色々原物には言っといたから安心てくれ。


38件目

 いつまで無視をしているのですか!! あんだけ心配して、天界から防御魔法まで展開して創造主からまたお叱りがあったというのに、あなたはその間一回もメールを開いてない。こんな悲しいことがありますか? いえ、有り得ません!! 崇拝している女神ですよ!! お願いします。しっかりメールを見てください。あと、崇拝するのやめた。とかは絶対にしないでくださいね。



 と4件メールが入っていた。


 歩きながらなのでざっと読んだだけだが、相変わらずの女神さ……。


 ほんと俺を召喚した女神は威張りたいのか? それとも下手に出たいのか……。

 とりあえず、信者になっとけばいいってことだろ。

 めんどくさそうな神が多そうだし、それに比べればマシなのかもな。


 そんなことを考えていたら、あっという間にギルドに着いたので、メールのページは閉じシア達について行った。


 受付にて、ギルドカードを提出するとすぐにカリアさんが頭をボリボリかきながら欠伸をして出てきた。

 もちろん受付嬢は、カリアさんの奥さんだ。


 「はぁぁぁぁ。終わったぞ。てか、ここ最近おかしなことばっかり起きてるけど、大丈夫か? この街から出ていくなら、さっさと出ていった方が身のためかもな。俺もそろそろって言うことで、みんなでパーティーでも組むか?」


 「本当に私を困らせないでください。さっさと換金のお金を渡してまた解体作業に戻ってください!!」


 「はぁ。相変わらず厳しいね。家ではあんなに優しいのに」


 「//」


 相変わらずの夫婦で何よりだが、受付嬢は真っ赤な顔をしながら少し下を向いていた。


 そんな受付嬢をカリアさんが頭を撫でると、顔を手で隠して走ってどこかに言ってしまい、そんな様子を見ながらゲラゲラと笑っていた。


 なんだか、こっちも恥ずかしくなるって言うか……。

 ちょっと視線をずらすとたまたまユイと目が合ってしまい、ユイも顔を赤くしてすぐに目を逸らした。


 なんだか、こっちがあの光景をしているみたいな……。って何考えてんだか!!


 「お前ら顔真っ赤にして何考えてんだよ。おりおり!! ってそんな場合じゃねぇんだよな。さっさと金が欲しいんだよな。で、ゴブリン20匹、オーガ3匹、トロール3匹。合わせて金額10枚ってところだな。冒険者ギルドにこんな大金なんてないから、色々とめんどくさかったんだから感謝しろよ。」


 「えっ。金額10枚……。」


 「そうだ、嬢ちゃん。分かりやすく言えば、そうだな……。この街で1番高い宿屋の激安部屋に1日泊まれるぐらいだな。あそこは冒険者に人気だからすぐに埋まるんだよな……。いつかおれも嫁さんと一緒に行きてぇんだよな……。まっ、そんなことは置いといて、大事に持ってろよ。物価が上がったせいで、盗みをする子供まで出ちまった始末だからな。ほんと領主は何やってんだか……。」


 そういいながらトレーの上に麻袋と金額10枚が置かれたのだが、この輝き目を奪われてしまうのがわかる。


 こんな金貨を金持ちどもは当たり前のように使っているのだろう。

 やっぱり感覚狂っている証拠だね。


 「シアたちは……。」


 「「!!!!!」」


 ムイ以外は目の前に置かれた金貨に目を奪われ、俺の言葉なんて聞きもしなかった。

 ムイは俺の言葉に気づき、俺の顔を見ながら軽く首を傾け謎めいた顔をしていた。


 それに、ユイなんか口まで開けちゃって……。

 シアたちのランクでもあまり見ることがない。ということは俺には相当縁が遠いはず。


 だが、1枚ぐらいは分けてくれるよね。毎日磨いて、大切にしたいからな。


 「おいおいおい!! いつまで妄想に浸ってんだよ。さっさと金もらって行かないと混んでくるだろ!!」


 そう言ってはいるものの、ギルドには誰もいない。

 まっそんなことはどうでもいっか。


 「とっとりあえず、武蔵持ってて!! でも、絶対に収納魔法でね!! そうじゃないと、無くした時が怖いから。絶対に一回も出しちゃダメだからね!!」


 「そうそう。1枚でも無くしたら大損だからね!! 重大だよ!!」


 「武蔵、絶対に1人になったらダメ。私といるべき。」


 「私もー。てか、みんなで一緒に行動しよー。」


 「ああ。」


 俺は収納魔法に麻袋に入れた金貨をしまった。

 その後近くの喫茶店でゆっくりしようとなって移動しているのだが、ドキドキが止まらない。


 本当に大丈夫だよね……。

 無くさないよね……。


 だが、そんな時……。

 いたっ!!


 「ごめんなさい……。ちゃんと前見てなった。」


 「こっちこそごめんね。大丈夫? 怪我してない?」


 「うん!! バイバイ!!」


 かわいい女の子とぶつかってしまってた。

 どちらにも怪我もなく良かった。なんて思いながら喫茶店に到着。

  とりあえず、持ち金を見てどれ頼むか決めるか。


 ……。


 ……。


 あれ?


 ポケットに入れた財布が無い……。


 おい、嘘だろ。


 全財産だぞ!!


 慌てている俺だが、みんなはメニューを見て全く気づいていない……。


 どうしよう……。

火木土更新予定

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