第39話 領主亭へ
俺はドキドキしながら部屋を出て、泊まっている宿の玄関に向かう。
というのも、本日は領主亭にお邪魔した後に、冒険者ギルドにて換金したお金をもらいにいくのだ。
それにしても、ついこないだも魔族騒動でお金をもらったばっかりだと言うのに、こんなに運がいいことが連チャンで続いて大丈夫か?
一応、手持ちを少なくする為に借金は全額返したけどさ。運が上がると下がるって言うじゃん……。
今日に限って何もありませんように……。
そんなことを思いながら重い足を動かし、やっと玄関に着いたのだが皆勢揃いだったのでそのまま領主亭に行くことになった。
領主亭と言えばタナ。
そして、タナと言えば一緒に牢獄に入った仲間……。
ほんとこの街に来て何やってるんだろうね……。
この街に来てみたものの、運が悪く捕まって、脱走経路教えて貰って逃げて、最大の敵全て倒してもらっただけだ。
はぁ。こないだのところでもそうだったけど、なんて運がないんだか……。
はぁ。
そんなネガティブ思考になってしまい、領主亭でもやらかしてしまう。と考えてしまい、そこから足が重くなる。
行きたくない、帰りたい。ただそれだけを思っていたのだが、そういう時に限って早くついてしまう……。
現在領主亭の目の前まで来てしまったのだ……。
「武蔵どうしたー? 今日の領主と会うのは、原物と炎帝も一緒だから変な緊張しなくても大丈夫ー。なにかあったら、原物に頼めば万事解決ー。」
「まぁ、そうなんだけどさ、俺が行く先々本当に運が悪いことばかり起きるから心配なんだよね……。はぁ。」
「問題ない。そのお陰で強く慣れた。」
「そそっそうだよ!! ユイの言う通り。もっと元気だして!! ね!!」
「でも、武蔵といると本当にトラブル続きだよね」
「……。」
リアに留めを刺され、さらに不安になる俺だった。
こういう所には、高級な花瓶が飾られていたり、よく分からない絵画などが飾られているんだろうな……。
とりあえず避けながら行くしかないよね……。
そんなことを思っていると、メイドさんが俺たちがいる玄関までやってきてくれた。
「武蔵様方ですよね。領主様がお待ちです。こちらからどうぞ。」
「「ありがとうございます。」」
玄関が開かれ、ドキドキとした気持ちで領主亭におじゃまする。
領主亭には綺麗な花々が咲き誇っているのだが、現在は優雅に感想を言う余裕はなく、「あっ。綺麗な花。」としか考えることができなくなっていた。
下を向きながら歩いていると、急に止まったので上を向いてみるとお屋敷の前で止まっていたみたい。
メイドさんは、お屋敷の前にたっている2人組が軽い会釈をする。
すると、ドアを開けて貰え中の様子がゆっくりと見え始める。
本当にタナが住んでるのか? と疑問に思ってしまうほど豪華だ。
入ってすぐ中央に2階に上がれる巨大な階段。
天井にはシャンデリア。
中一面に真っ赤な絨毯がひいてあるが少しも汚れていない。
ほっ本当に入ってもいい部屋なの?!
なんだか変な汗をかきはじめているのを自覚し、目をキョロキョロと動かしてしまう。
メイドさんは靴のまま中に入り、絨毯を踏みながら普通に俺たちを誘導しているのだが、その勇気が。俺には無い……。
本当にどうにかしてるよ。
そんな時
「おっ。みんな来たか!! こっちだこっち!! みんな揃ってるから、さっさと会議始めようぜ!!」
部屋中響き渡る声を放ちこないだとほぼ服装が変わらない原物。
その隣に冒険者ではなく、貴族かと思うほど服装をただし、綺麗な顔立ちをしている炎帝……。
そのままみんなが進んで行ったので俺は少し遅れてみんなの後を、ついていった。
だが、下を見た時に絨毯を踏んでしまってる現実が未だに信じられずどこか夢ではないか。と思っている。
それに、廊下は想像とは全く違い、一切花瓶やらなんやら飾られているものは無く、なんだか広いだけ。
だが、俺は体質的に何もない。と少し安心感が芽生えたので、本当に良かった。と心から安心したのであった。
「ここだ!!」
道案内してくれた原物の後に続いて俺たちも部屋に入る。
すると、既にタナはいて少し高くてやわらかそうな真っ黒な椅子。
まさに一人ソファに座り込んでいた。
だが、金一色や、高級な物が飾ってある!! とはではなく少し殺風景。
だが、シンプルイズベスト。
なんだか安心するな……。
「やっと来たな。想像以上にこいつらが早く来すぎたから、なんだかすごい待った気がしたわ。こんなことなら、剣の1本でもうって暇つぶしでもすべきだったな。まぁ、そっちの椅子にでも座ってくれ」
「「はい」」
そうして案内されたのは、ソファ。
タナが座ってるソファみたいにいい素材なのかな? と思ってまず手をついてみるが、包んでくれるような柔らかさを感じる。
期待が増し実際に座ってみるとおしりが少し沈むが支えられてるのがしっかりと分かり、やすらぎを味わえる。
ソファ1つでこんなにも違うのか……。
感動し、不安要素を忘れていた俺。
そんな事は知らずタナは話し始めた。
「まず、魔族討伐本当に感謝する。一生牢獄で住むもんだと思ってたから、またこうして外に出られているのが嬉しいな。それに、武蔵。お前と会った時はもう終わりだ。と思ったが、お前に期待して本当に良かった。まさか、S級冒険者を、連れてくるなんて誰も予想もしなかったことを成し遂げたんだからな。おかげで魔族は全員死亡。やっと明るい未来が戻ってきた。ということだ!! 原物もありがとう。」
「ああ。」
「そこでだ、なにか報酬をやろうと思うのだが、何がほしい? もうなんでも持っていると思うけど、必要なものならなんでも言ってくれ!!」
おいおいおいおい!!
ちょっと待てよ!!
何この展開? こんな展開予想できる? 出来るわけないよね!!
今までのこの世界に来てからのこと考えてよ!! クソスキルのせいでゴブリンに襲われそうになったり、何度死にかけたことか!!
やっとこれで報われる!! この世界に来て良かった!!
だが、問題は何も貰うかだよな。
金はいくらあっても問題ない。だが、ありすぎるとなにかトラブルの元になる。
なら、この街にちょっとした土地は?
これなら、一見してバレないからそこまで目立つこともないし、何かあっても賃貸といって逃げることも可能。
そもそも、商人の街ということで、値は上がり続けるだろう。
魔物の素材なんかよりも、そっち優先でいいだろ!!
よし、これで行こう!!
いつも間にか変な汗もやみ、俺は自信いっぱいに拳を握り閉めていた。
だがこの後、予想もしなかったことになるのであった。
今週は火木土更新予定




