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蒼空トレイル-Aozora Trail-  作者: ふらっとん
8章 県大会準決勝

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59話 当たった

正面。

相手の機影は見えている。メタル・ゴースト含めて、密集しているようだ。

レーダーはクリア。敵のECMはクールタイム中だから、電子妨害の心配はない。

そのまま前進。もうすぐヴァイパーのロック可能圏内に相手を捉える。


レーダーを確認。敵機の1つが私たちに機首を向けた。

同時に、正面方向から光弾が迫る。各機散開。


「うそ、あんな距離から機銃を!」

驚きが声に漏れる。焦りはしたものの、被弾はない。

「長距離速射機関砲、ミツルギの特殊兵装だ。雲の中から撃ってたのはアレか」

「びっくりしました……」

でも隊列は散らされた。

「そのまま散って!左右から挟むよ~!」


ダガーを連れて右から回り込む。

狙いはフォートタートル。

「敵機、上昇します!」

当然、敵も動きを開始。妨害も入る。


「こっちはミツルギに絡まれた」

「ジャベリン、ダガー、2人で仕掛けて!」

少し離れた位置で、ミツルギが先輩たちと交戦中。

恐らく長距離速射機関砲であろう光の筋が遠くに見える。


「気をつけて!」

「そっちもな。すぐに向かう」


フォート・タートルが退避行動中、ローレライが私とダガーを狙っている。

ECM使用不可の時間帯は攻撃に回るつもりか。

でも格闘性能は低いと聞いている。

「どのみち長居はできないから。撃つよ!」

「了解だよ!」


上方のフォート・タートルを一度無視する。

相対するローレライをロックオン。

「FOX2!」

ヴァイパーの射出。ダガー機からも。計4発。

正面方向、ローレライからのミサイル射出。撃ち合いの形になった。

ミサイルアラートが鳴り響く中、急旋回で回避。

相手は動く素振りを見せない。代わりに、上空からレーザーが降り注ぐ。

4発のミサイルはあえなく狙撃され、双方ダメージなし。

こちらは一方的に動かされたことになり、相手にとっては追撃のチャンスだが。


「追ってこないね」

「多分、向こうはアルゴスの圏内から出られないんだよ」


ローレライの方向を振り返る。追ってくる様子はなく、その場で旋回している。


「いいぜ1年ども!まだだ!まだ行くぜ!」


そこにメイス機が単機で近寄ってきた。やや下方から突き上げるように。

レーダーと空を見て状況を確認する。

双方のリーダー同士は互いににらみ合っているような状態。

その隙に防空システムの弾数切れを狙う、という算段か。

でもメイス機を追ってメタル・ゴーストも来ている。

「後ろ!来てます!」

「後回しだ!FOX3!喰らいやがれ!」

メイスは後方からの追っ手に構わず、4発のミサイルを前方に射出。

糸を引くようにミサイルスモークが空に白線を描く。

その全てを、上空からのレーザーが撃ち落とした。

まだまだ、ダメージが通らない。


「あの……本当にこの作戦で大丈夫なんでしょうか。やっぱり全部防がれてて」

ダガーの声は明らかに不安そう。

私も全部の不安を拭い去ったわけではない。

それでも突破口を見出すために、今は信じるしかない。私たちのリーダーを。あの人の勝負勘を。


「大丈夫にするしかないよ、やるよ!」

「う、うん、分かったよ!」


もう一度、ローレライに向き直る。

相手のECM再使用までに、少しでも多くのミサイルを撃ち、アルゴスを使わせなければ。


「あたしは亡霊野郎と遊んでくる。頼んだぜ」

メイス機はメタル・ゴーストを引き連れて上昇していく。


「行きます!FOX2!」

「こっちも、FOX2!です!」


また、計4発射出。その全てはレーザーに迎撃されるが、今はこれでいい。

ローレライからの反撃のミサイルをフレアを使って回避。


旋回しながらローレライの動きを見る。

やはり追撃は来ない。狙い直す。もう一度だ。

「ミサイル、まだある?」

「うん、あと2発」

ダガーはヴァイパーを使い切れば機銃しか撃てない。

それでも。

「じゃあ、次で使っちゃおう」

「うん、分かったよ!」


ローレライをロック圏内に捉えた。横を向いている。角度が悪い。

調整しようと考えているうちに、ロックオンの表示が立ち消え、レーダーが真っ白に塗りつぶされた。


「時間切れです!引き上げを」

「ジャベリン待って!ECM、使います!」


ダガー機がECMを起動。双方の電波が干渉し、レーダーが回復した。


「でかした!猶予は20秒!急げ!」


ダガーのくれた追加のチャンス。


「FOX2!」


妨害電波の発信元、ローレライに向けてヴァイパーを射出。

ここでもダガーと併せて4発使う。

撃墜できれば邪魔なECM使いを潰せる。せめて削りダメージだけでも……

と考えたものの、あえなく防空システムの発したレーザーに潰された。


「また潰されました!」

「みんな、ずらかるよ~!」

そのまま加速。空域からの離脱を図る。


「OK、最後に亡霊野郎に叩き込んでやる!スウォームだ、喰らいやがれ!」


メイス機から敵機に向けて、ミサイルの射出を確認。白い煙が空に複雑なカーブを描いているのが見える。

同時に、オレンジに光る粒子がばら撒かれるのも。

フレアで防がれたか。視線を前に戻す。


「チッ、離脱する……いや」


舌打ち交じりのメイスだったが、言葉が止まった。


「当たったぞ」

「え!」


慌ててメイスの機体の状況を見るが、損傷率は0%のまま。被弾したわけではない。

代わりに私たちのスコアが増えている。

増えたスコアは25。カス当たりではあるものの、攻撃がヒットしたことを意味している。


ミサイルが、ヒットした?


「明確な穴を見つけた。こんな、こんな簡単なこと……」

「何ですか!穴って!」

呟くように告げるメイスに、思わず聞き返す。


「フォート・タートルは……アルゴスは、上からのミサイルを迎撃できない」

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