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琥珀紅の色  作者: ぺnon
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     転校先

家を出て森林を抜けると、昨日ルカが言っていた通り街中の通りに出た事に拓雅は驚いた。

更に振り返って空を仰ぎ見ると、通りには不釣り合いな程鮮やかな朱色をした鳥居が立っている事にも気付いた。



「神崎の家は元々神主さんだったんですよ。」



「そうなんだ。」



「はい。ほら、ボーっとしてないで早く行きますよ。」



納得したのは良いがなかなか動かない拓雅の腕を波瑠が華奢な手でグイッと引っ張る。

見た目以上の力に思わず拓雅はよろめいた。



家を出る前に分かった事だが、波瑠も八百万学園の生徒で拓雅と同じ中等部の二年生らしい。

中途半端な編入で友達ができるのか不安だった拓雅にとっては、彼の存在が案外役に立った。

一人だったらこうして通りを歩く事すらド緊張しただろう。



「そういえば、波瑠が背負っているそれは何?」



気持ちに余裕が出てきた拓雅は、波瑠が背中に括りつけていた棒状の包みを示して尋ねた。

確か昨日のあの時も持っていた筈だ。



「これですか?ふふ、ヒミツです。」



波瑠は視線だけを後ろにやって笑った。



「俺と一緒に居ればそのうちわかりますよ・・・でも、あんまり人前に出す物ではありませんからね。」



最後に言った時の波瑠の瞳が一瞬だけ鋭く光った気がした拓雅は言及しようとした言葉を無理矢理腹の底に押し込んだ。


今の今まで昨日の少年と波瑠は別人ではないかと心のどこかで思い願っていたが、さっきの波瑠の瞳の変化でその考えは呆気なく砕かれた。



「やっぱり、昨日の奴も波瑠なんだな。」



「はい。そうです。」



歩道橋の上で波瑠は立ち止まり、後ろにいた拓雅を振り返った。

その瞳は澄んだ琥珀色のままだったが気迫は昨日と同じだった。



「俺は殺鬼です。この身体も俗世に溶け込むための隠れ蓑にすぎません。

 血が足りなければ同類も喰らいます。」



波瑠の殺気の籠った双眸が拓雅を完全に捉えた。

拓雅は咄嗟に後退ったがすぐ柵に背中が突き当たる。



「拓雅の血もそのうち頂くかもしれませんね。俺ではなくても、君を狙う奴なんて五万といるでしょう。」



耳元で囁く波瑠の声は、天使のように涼やかで悪魔のように纏わりつき、拭いきれない残滓を残す。



「なーんて、俺は拓雅を喰らいませんよ。安心してください♪」



「・・・。」



拓雅の反応が随分と気に入ったのか、適度な距離に離れた波瑠はふふっと和やかに笑った。



「あ、そうだ。さっき一緒に居れば包み(これ)の正体がわかるとか言いましたけど、実際問題、それは無理です。」



「え?」



「だって万が一わかったとしても、その時にはもう拓雅は死んでいますから。」



さらっと死亡予告をする波瑠はまるで堕天使(ルシフェル)のようにしか見えなかった。





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