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王子の婚約者で王立魔法学園でランキング一位だった私は不正を疑われ婚約破棄をされ卒業まで「最下位令嬢」と呼ばれることになりました  作者: カルラ


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12/21

第十二章 生徒会選挙

卒業前、最後の生徒会役員改選の時期がやってきた。

全校投票によって選ばれるこの選挙は、学園における実質的な発言力を左右する重要な行事だ。

今年は特に、例年以上の注目を集めていた。

立候補者の名前が張り出された掲示板の前で、私は思わず足を止めた。

副会長候補として、セレフィナの名前が記されている。

彼女の選挙演説は、初日から大きな話題を呼んでいた。

 

「みんなが笑顔になれる学園を作ります」

 

その言葉に、多くの生徒たちが拍手を送っていた。

下級生から上級生まで、幅広い層からの支持を集めているようだった。

これまで積み重ねてきた「聖女」としての印象が、選挙戦においても大きな武器になっているのは明らかだった。

そんな中、ノアが私のもとへやってきた。


「立候補してみない?」


思いがけない提案だった。

けれど、私はすぐに首を横に振った。


「今の私では誰も投票しない」


正直な気持ちだった。

これまでの評価の歪みは、少しずつ人々の目に触れ始めているとはいえ、まだ完全に払拭されたわけではない。

今の状況で立候補したところで、票を集められる自信はなかった。

代わりに立候補を決めたのは、クラウスだった。


「俺が出る」


そう言った彼の表情には、これまでにない強い決意が滲んでいた。

公約として掲げたのは、シンプルながらも核心を突く一言だった。

 

「ランキング制度を見直す」

 

その言葉は、これまで理不尽な評価に疑問を抱いてきた生徒たちの間で、静かな共感を呼んでいった。

選挙演説の日、講堂には多くの生徒が詰めかけていた。

セレフィナの演説は、これまでと変わらぬ調子で始まった。

彼女は目に涙を浮かべながら、震える声で語りかける。

 

「私は誰も傷つけたくありません」

 

その言葉とともに、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

感情に訴えかける演説は、やはり多くの生徒の心を動かしていた。

続いて壇上に立ったクラウスは、これまでの彼らしい、率直な言葉を選んでいた。

 

「評価は公平であるべきだ」

 

飾り気のないその一言に、一部の生徒たちが深く頷く姿が見えた。

華やかさはない。

けれど、確かな信念に基づいた言葉には、それを支持する者たちの共感が集まり始めていた。

投票の結果が発表される。

セレフィナの圧勝だった。

これまでの人気を考えれば、当然の結果と言えるかもしれない。

けれど、クラウスの得票数もまた、事前の予想を大きく上回るものだった。

教師陣の間にも、この結果に対する動揺が広がっているのを、私は感じ取っていた。

これまで盤石だと思われていた支持基盤に、確かな亀裂が入り始めている。

選挙結果が張り出された掲示板の前で、私はクラウスと並んで立っていた。


「負けたが、悪くない結果だ」


クラウスはそう言いながら、どこか晴れやかな表情を浮かべていた。


「制度への疑問を、これだけの人数が共有してくれた。それだけでも意味がある」


その言葉に、私も静かに頷いた。

勝敗だけがすべてではない。

少しずつ広がっていく共感の輪こそが、今の私たちにとって何よりの支えだった。

その夜、選挙結果を受けたセレフィナの様子を、私は偶然、生徒会室の近くで目にすることになった。

扉の隙間から漏れる灯りの中、セレフィナは一人、鏡の前に立っていた。

これまでの柔らかな表情は、そこにはなかった。

彼女は自分の得票数が記された紙を見つめながら、静かに、けれどはっきりとした声で呟いた。

 

「次はもっと確実に潰さないと……」

 

その一言を耳にした瞬間、私は思わず息を止めた。

これまで抱いてきた違和感が、初めて明確な言葉として、彼女自身の口から漏れた瞬間だった。

人気が少しずつ揺らぎ始めていることを、彼女自身も敏感に察しているのだろう。

その焦りが、思わず本音を漏れさせたのかもしれない。

私は音を立てないよう、静かにその場を離れた。

心臓が、これまでにないほど速く鼓動を刻んでいる。

これまで、証拠を積み重ねることに専念してきた。

けれど今、初めて垣間見た彼女自身の言葉は、これまでのどんな採点表よりも、雄弁に何かを物語っているように感じられた。

夜の廊下を歩きながら、私は今聞いたばかりの言葉を、何度も心の中で反芻していた。

まだ誰にも話していない。

けれど、この事実もまた、いつか必要になる時が来るはずだ。

窓の外には、静かな月明かりが差し込んでいた。

その光を頼りに、私は一人、自分の部屋へと歩を進めていった。













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