ずっと会いたかった
もうどれぐらい時間がたったんだろう。
カイは、皆はどうしてるのかな。
ここではお腹はすかないから良いけど、やっぱり一人はさみしい。
それでも何とかいられたのは、ここが私の意識の中だからだ。
たまにあらわれる光の玉にこれまでの思い出が映ってたから、皆の顔も忘れずにすむ。
でもその度に胸が苦しくなる。
もう起きられないかもしれない。
こわい。
もしかしたら私のことなんか忘れてるかもしれない。
かなしい。
もう会えないかもしれない。
さみしい。
「あ、カイがいる……!」
カイが映ってる光の玉を見つけて私はいそいで走った。
その光の玉にそっと触れると、私が大好きって言った後に『オレも』って返してくれた時のカイの笑顔が見えた。
一番、一番しあわせな時だ。
でもこれが一番、一番悲しくなる。
「カイ……、会いたい、会いたいよぉ……!」
いくら泣いても何も起こらない。
分かってるけど涙は枯れないから、私は何度も何度も泣いた。
そして最後には泣きつかれて眠りにつく。
そしたらカイの顔も、皆の笑顔も思い出せてしあわせな気持ちになれるから。
そうやって何度もくり返していた。
『見つけた!』
するとどこからか女の子の声がした。
あわてて飛び起きたけど、誰もどこにもいない。
気のせい? だけどハッキリと聞こえた。
『あなたの王子様ならそこにいるよ。 だからもう泣かないで』
突然エプロンドレスのポケットがジリッと熱くなって飛び起きた。
そこに入ってたのはカイからあずかったピアスの袋。
「カイ……?」
中から取り出したら、ラピスライトのピアスが淡い光を放っていた。
「ティルダ!!」
名前を呼ばれてハッとした。
このまっ暗な世界にいるはずのない、大好きな、大好きな男の子の声だ。
どこ? どこにいるの?
会いたいよ、会いたいよ!
『私はここだよ!!』
早くそばにいって安心したい。
『大丈夫だ』って言って抱きしめてほしい。
気づいてほしくて私はありったけの声でさけんだ。
するとまっ暗だったお空にパキパキッとヒビが入って、そこからキレイな空が見えた。
「カイ!!」
名前を呼んだら空とおんなじ水色の目をした獣人の男の子が小さな割れ目からキズだらけの手を差し出した。
とたんに涙があふれてくる。
そんな私を見て男の子は泣きそうな顔して笑ってきた。
「こんなところに隠れて何やってんだよ! 早く出てこい!」
「だってカイがおそいんだもん!」
「ちゃんと帰ってくるって言っただろ! 信じてなかったのか?!」
「信じてた! でもそういうことじゃない!」
ずっとカイといっしょがいいんだよ。
私の願いはその一択だ。
グシャグシャに泣きながら差し出してくれた手をとったら、カベのヒビが大きくなって目の前からバラバラバラ……っと落ちて消えていった。
さえぎるモノがなくなると、カイは私の手をグッと引いて抱きしめてくれた。
すごくあったかい。
大好きなカイの体温に包まれてようやく体が軽くなってきた。
「そうだな。 お前は一人でいるのイヤだもんな。 ごめん」
しがみついて泣く私の気持ちがわかったみたいで、カイは私の頭をヨシヨシとなでてくれた。
あれ、カイの手ってこんなに大きかったっけ。
身長も、体もちょっと大きくなってる気がする。
久しぶりに会ったからかな。
「もうどこにもいかない……?」
「いかない。 お前とずっといっしょにいる」
「ホントに?」
「ホントに。 ちゃんと見つけてきた」
「『私たちが《《いっしょに》》しあわせになれる方法』って言ってたよね。 ホントにあったの?」
「あぁ。 お前にとびっきりのプレゼントを持って帰ったからもう大丈夫だ」
私にとってはカイが一番のプレゼントなのに。
でもカイがうれしそうに笑うからきっとそうなんだ。
私は『たのしみにしてる』といってもう一回カイをギュッと抱きしめた。




