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終末世界の管理業務。人材より人命が足りていません――欠勤事由:死亡のため  作者: ぶらっくそーど


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28/51

臨界点の翌日は、修繕依頼と反省会と、少しだけ穏やかな午後③


 夕方、メルトに新しいノートを渡した。10冊、まとめて。


 メルトは10冊のノートを両手で受け取り、しばらくじっと見つめてから、ノートに書いた。



『1000日分の声。ありがとう。』


「いえ。次は切れる前に申請します」


『つかさ。』


「はい」


『わたしの声は凍るから、誰にも届かない。でも、ノートに書いた言葉は届く。だから、ノートはわたしの声なの。声をくれてありがとう。』



 メルトの無表情が、ほんの少しだけ緩んだ。笑顔、と呼ぶには微か過ぎるが、目の奥に温度があった。



「ただの業務用品の補充ですよ」


『ただの業務用品が、わたしの全部なんだよ。』



 返す言葉がなかった。



 管理者マニュアル(灰嶋版)に、新しい項目を追加した。



 第四項:メルトのノートは絶対に切らさないこと。

 第五項:ラグナが怖がっていたら、一緒に走ること。

 第六項:セラの力は壊すだけじゃない。

 第七項:ノクスの銀紙は捨てないこと。

 第八項:カイムの予言は、信じたほうがいい時もある。



 少しずつ、マニュアルが埋まっていく。


 83年間、誰も書けなかった共生の方法が、一行ずつ、形になっていく。


 表紙しかなかったPDFファイルの中身を、俺が書く。



 50億2025年。太陽が死んだ世界の地下117階で、怪物の少女たちと一緒に生きる方法を。



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