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『グループ』この単語に苦しんできた人は何人もいたことだろう。これはあらゆる人物に際限なく降り注ぐ。
ある時は「自由に組んで!」とか何とか言って残った奴は晒し者に、またある時は「前にいる人と組んで!」とか言ってよく知らない奴と組まされ、小心者は拷問を受ける。
てか、何で体育は英語とか数学みたいに実力で分けないのか?そうすれば、運動が苦手な同志が 「お前、何やってんだ!」的な視線に苦しむことは無くなるだろうに。
つまり、グループを組むことは必ずしも正しいことなのだろうか?なぜなら俺は・・・・。
あの漢心を熱くした模擬戦から早いもので、1週間が経とうとしていた。1週間とは物事が進むには充分なようで、俺たちはいい意味でも悪い意味でも、前に進んでいた。まぁ、俺は入ってないけどね。
まずはいい意味の方から。
クラスの連中の修行や講義はどうやらうまくいったみたいで、凄まじい勢いで成長しているらしい。今ではウチのクラスの男子たちは軒並み騎士団並の強さになっているそうだ。早過ぎじゃね?
特に境や豪坂らのいつメンは副騎士団長に負けずとも劣らない実力になるとかならないとか。
で、悪い意味の方が幾つかあって、まず、異世界にそびえるビックマウンテンこと、富士沙織先生の魔具がやばかった。
先生は気が弱く、異世界側も戦わせるつもりはなかったようでステータスはチェックしなかったのだが、先生自らが「生徒だけに戦わせる訳にはいきません!」とか言ってしまったので、仕方なくチェックしたのだが、その時のステータスがこれだ。
富士 沙織
力 D
魂魄 B
素早さ D
頑丈さ D
運 C
魔具 A 聖水 アムリタ
先生の魔具はまさかのAランクだった。
何故これが悪い意味かと言うと他のステータスが軒並み低いため、利用される可能性が高いのだが、まぁ奴等はいきなりは何もしないだろうと予想している。
さらに1番悪いのは訓練により個々の実力がハッキリし、クラスは幾つかのグループに分けられた。
特に大きなグループは境や豪坂らを中心としたグループ。その他のグループでは、この間絡んできた え〜と名前何だっけ? あ、思い出した!森田・天根・海道を中心とした対イケメングループ。そしてその他のグループだ。
さて、異世界というわけがわからない状況に放り込まれ、日々の訓練や命のやり取りをしなければいけないという現実は確実にストレスを溜め、発散しようにも娯楽が何もない。
そんな状況に陥った場合、人はどうなるか?俺たちの場合は単純明快で、弱者をいたぶるようになった。まぁ、凄まじく弱く、クラスの人気者である泉と椿と仲が良いなんて奴がいればそうなるわな。
さらに魂術を覚えたために激しさが増している。まぁ、俺には全然大したことはないが、
それでもうざったい。
誰かを貶めたり、騙したりするなんてのは人間の性だと思うし、前世で何回も見てきたが、やっぱり慣れんな。これだから集団行動はいやなんだ。
あぁ、早く元の世界に帰りたいなぁー。少なくともこいつらからは離れたいなぁー。
この願いが届いたのか、ついにあと数日で、待ちに待った外での軍事演習をするそうだ。騎士団長が言うには余りにも早く、何かあるかもしれないから反対しているそうだが、まぁ中止にはならんだろう。何か起こして俺を殺すのが目的だろうし。
で、なんでそう思うかというと、実は魂術の講義が終わり、皆が訓練に勤しむ間俺が何をしていたかというと、この国の連中に喧嘩をうっていた。ある時はスパイまがいの行動をとったり、またある時は暴言をはきまくったり、メイドさんを観察していたり、って最後は関係ないか。
まぁ、いろいろして来たが、やはり1番効いたのは数日前のこの国の王であるガロンとの会談だろう。
ーーー数日前ーーー
「やぁ、よく来たな。勇者どの。」
「悪いな、俺は勇者なんて言われるほど強くないさ。それと何で騎士たちがこんなにいるんだ?俺はあんたと1対1で話したいと言ったはずだが?」
「すまんの。我もそう言ったんだが、どうしてもダメなんだと。心配しすぎだ、まったく。」
俺が辺りを見渡すと今にも襲いかかってきそうな眼をした騎士たちがいた。まぁ、そりゃ大事な王様をわけわからん奴と一緒には出来んか。
「ふーん。まぁいいや。さっそく本題にはいるけど、もう俺のステータスについては聞いただろ」
「あぁ、その件に関しては既に聞いておる。本当に済まない。君にはどれほど謝っても謝りきれんことをした。」
「いや、別にいいよ。あんたに謝ってもらったからって何か変わるわけでもないから。」
俺がそう言うと、一斉に騎士たちが鞘から剣を抜いた。
「貴様、何様のつもりだ!」
「許さん!ここで殺してやる!」
いやーこわいなー(棒)
「貴様ら辞めんか!で、それでは何をお望みか?」
「金だよ、金。後は食料があればいいや。あ、もちろん労働なしでね。」
「しかし、それでは他のものに示しがつきません。」
「エリザ宰相だっけ。あんたは37人の人生を棒に振ったんだぞ。その責任をどうするつもりなんだよ。それと俺が何も知らないと思ったら痛い目に遭うぜ。」
「何だと、貴様。言わせておけば好き勝手言いやがって。」
「まぁ、待て。」
「ですが、王。」
「彼のいうことはわからないでもない。ずっとかどうかはわからないが可能な限り我らが支援しよう。」
「分かればいいよ。じゃあそういうことで。はぁ〜ニート最高!」
バタン!
「王よ!本当にあんな奴の言うことを聞いてよろしいのですか!」
「落ち着け。」
「しかし、エリザ宰相・・・。」
「我らの王が何も考えていないわけがあるか! ガロン王よ。あれをするとしましょう。」
「そうだな。彼にはここで退場してもらうか。任せるぞ、エリザ宰相 。」
「はっ!必ずや!」
今回行なわれる軍事演習は実際の魔獣相手に戦い、屋外での戦闘を体験するために行なわれる。場所は絶対EかDランクの魔獣しか出ないらしいから安全だそうだ。
ちなみに魔獣のランクは人間と同じらしい。でも俺を殺す為にきっとAかBランクか出るんだろうな。
俺たちは今、そんな軍事演習のためにグループを組まされているのだが、絶賛ぼっち中であった。いや分かっていたよ。どうせ、誰も組まないって。しかし、あの作戦のためには今回の演習は参加必須だ。しかし・・・。
「君が剣崎君だね。」
「お前は?」
「そうだね。自己紹介をしないとね。僕の名前はアイクっていうんだ。よろしく!」
そこにはニコニコしながらアイクと名乗る細身の男が現れた。そいつは黒で統一された服を着て、狐の仮面を頭に付けていた。
何故、狐なのか? 何故、黒の服なのか?など言いたいことはたくさんあったが、こいつもイケメンだったので考えるのをやめた。
ーーー数分後ーーー
「とりあえず、僕を君のボディーガード役にして、一緒に軍事演習に出てよ。」
「何でそんなことを?」
「それはエリザ宰相からの命令だからだよ。」
「はぁ?」
「彼は君にもこの世界の現実を見て欲しいそうだよ。」
「ふぅーん。」
「で、どうかな?」
絶対嘘だな。まぁ、おれにとっても良い機会だから、ここはのっておくか。
「はいはい面倒いが分かったよ。」
「そうかい。いやー良かった。これで報告できるよ。じゃあまたね!和人君!」
そういうと彼は手を振りながら、城の方へと戻って行った。しかし監視付きの外出か、まるで犯罪者だな。しかも監視役が殺し屋とか気合入りすぎだろ。
「まぁ、なんとかなんだろ。」
いろいろ面倒くなったので、ベッドで寝る為に自室へ急いだ。
自室に向かう途中で1人の男に会った。
「え〜と、田村?」
「剣崎か。ちょうどいい聞きたいことがある。少し時間いいか。」
「良いじゃなイカ。」
「そうか。じゃあ僕の部屋に来てくれ。」
まさに圧倒的なスルー。おいおい、いくら人がいるからって、こんなの残酷すぎるだろ。思わずハートブレイクしそうになるのを堪えると、田村に着いて行った。
てか、余りに久々だったから、一瞬名前がでてこなかった。まぁ、興味なかったから仕方ないか。
田村の自室に着くと、お互い向かい合いながら座った。
「で、何だ一体?」
「その前にさっきは済まなかったな。」
「はぁ?」
え、俺何かされたっけ?もしや記憶消されたのか!なんて悪党なんだ。こんな悪党にはまだ会ったことね・・・
「いや、さっきお前のボケをスルーしてしまっただろ。本当は反応してやりたかったが、生憎人がいっぱいいたからスルーしてしまった。すまない。」
はい、全然そんなことはなかったよ。むしろめっちゃいい奴だよ。さっきは興味ないとか悪党とかマジゴメン!
あれ?ってことは
「もしかしてアニメとか好きなのか?」
「あぁ、皆には隠しているがな。」
「そりゃまた何で?」
オタク趣味を隠すのはイケメンじゃない奴だけだと思っていた俺にはまさに青天の霹靂だった。
後、青天の霹靂のことをずっと蒼天の霹靂と思っていたことは俺の108の黒歴史のうちの1つだ。だってかっこいいんだよ。字面が!
とまぁ、くだらない事を考えている間に説明は随分進んでいた。
「そんなこんなで、僕のせいで友達はクラスの女子たちに趣味がバレてイジメられはじめたんだ。」
「なるほど。それがトラウマになって隠すようになったのか。」
社会はいつだって残酷だ。普通という言葉で人を縛り、普通という言葉で人を蔑み、普通という言葉で人を断罪する。そんな社会じゃ好きなものを好きと言えない人は多いはずだ。きっと田村もそうなってしま・・・
「いや、その友達は究極のドMになってイジメが快感になってしまい、ある女子以外からは逆にイジメたく無いですと言われるようになったよ。僕が隠しているのはその時の罪悪感からですよ。」
「お、おう。で、結局その友達はどうなったんだ?」
「えーと、その後もそいつを唯一イジメていた至高のドSと付き合っているそうです。」
このドMとドSを育てたのは誰だ!と言いたくなるのを抑え、忘れかけていた本題に今頃気づく。
「ところで、聞きたいことってなんだ?」
突如、田村の雰囲気が変わった。さっきまでのゆるふわな感じから一変して抜き身の刀を彷彿とさせる感じになった。
「お前、何を考えている?」
「は?どういうことだ?」
いきなりの質問に面食らってしまった。今の俺の顔はハトがトンプソン機関銃を喰らったような顔っていうネタは前にやったか。
「今のお前はステータスは高くなく、頼れる仲間がたくさんいる訳ではない。はっきり言って絶対絶命だ。なのにお前の行動は理にかない過ぎている。つまり明らかに目的を持って行動している。違うか?」
「で、例えそうだったとして、それを知ってどうする?」
「別にどうもしないさ。」
「はぁ?」
「僕は来人たちと違って、興味が無いことには関わりたくないんだ。人は嫌いだしね。ただ何をしたいのか知りたいだけだよ。」
「そっか。だが、悪いが今は教えられないんだ。すまんな。」
「そうか。わかった。じゃあ今度はアニメの話をしよう。」
「あ、あぁ。またな。」
そういうと俺は田村、いや、博士の部屋から出てった。まさか俺の行動に疑問を持つ奴がいるなんて。まぁ、どうなっても作戦は行うが。今更、もうやめられないからな。
なんてシリアスに終われる訳もなく、異世界生活2度目の迷子の屈辱を味わった。
俺、今度の軍事演習から帰ったら城の製作者をぶっとばすんだぁ。(フラグ)




