富士先生、軍事演習がしたいです!
いよいよ待ちに待った軍事演習の日。今日でここから離れられると思うと、特に何も思わなかった。まぁ、当たり前か。
クラスの連中はほとんどが緊張感のない顔をして、話していた。おいおい、こいつらにはこれから命のやりとりをする自覚がないのか?
まぁ、いいや。これから行くのは始まりの草原という場所だ。そこにはEやDランクの魔獣が出現する、初心者用の場所だそうだ。
そんなところで大丈夫か?と聞いたところ、今日は、生き物の命をとることに慣れる為の演習だから大丈夫、問題ないそうだ。
「おーい、和人君。今日はよろしく。」
「おぉ、こちらこそよろしく、アイク。」
城の方からやってきたのはアイク。おそらくだが、こいつが俺を殺す役だろう。だから、今日はいろいろ世話になるに違いない。
それよりもさっきからこっちを見てくる2人が気になって仕方が無い。アイクが来た瞬間にさらに野獣の眼光になっていた。
「ハイ、これ。君の武器だよ。」
アイクから渡されたのはツーハンデッドソードだった。これは両手持ちの剣で明らかに初心者用ではない。何でこれを渡したのか?
まぁ、使えるからいいか。
「そういえばアイクはどんな魔具を使うんだ?」
「ふふっ。それは後のお楽しみだよ。」
「何だよ。いいじゃんか、教えてくれても。」
2人で話していると、さっきから見ていた2人が恐ろしい勢いで向かって来た。
「「剣崎君(剣崎)!」」
「な、何?」
泉と椿は2人で互いに顔を伏せ、なかなか言おうとしない。少し経ったころ、覚悟を決めたのか、顔を上げると真面目な顔をしていた。相当に真面目な話みたいだな。いいぜ、どんな重い話でも真剣に聞いてや・・・・
「「もしかして剣崎君(剣崎)は男が好きなの(か)?」」
瞬間、全ての時が止まった。
えっと、こいつらは何を言ったんだ?男好きかどうかだって?いや、確かにリアルの女は前世のトラウマからあまり近づかないようにはしていたが、まさかそれがこんなことになるなんて誰が予想していただろうか、いやない。しまった。つい、反語が!
「「で、どうなの(どうなんだ)?」」
すごい、なんてプレッシャーだ!今の2人は阿修羅すら凌駕するほどだ!つうか、花のJKがクラスメイトに男色かどうか聞くか?
とか、考えている間に2人はさらにプレッシャーのレベルを上げている。バカな、まだ第2、第3の変身を残しているのか!まぁ適当に答えますか。
「んな訳ないだろ。」
「そ、そうだよね。(良かった。)」
「そうだな。(助かった。)」
「それに、だいたい俺は他人と関わるつもりはないからな。もう人間の汚さにはうんざりなんだ。」
そういうと、俺は2人がおそるおそる伸ばした手に気づかないふりをして、その場を去った。ははは、最低だな、俺は。
ーーー泉sideーーー
「ねえ、由美ちゃん。さっきの剣崎君の顔見た。」
「あぁ。この間と同じ顔だった。」
悲しそうなんて言葉じゃ言い表せないほどの表情。いったいどんな経験をしてきたんだろう。
「で、灯は剣崎をどうする?」
「えっ?どういうこと。」
「だって、灯は剣崎が好きなんだろ。」
「ふぇっ////」
わ、わた、私がけ、けけ剣崎君がす、すすす好きだなんて。
「あれっ、違ったのか?てっきり灯もそうだと思っていたんだが。」
「いや、それは・・・って、今、灯 “も”って言った?」
いや、まさかそんな。由美ちゃんも剣崎君のことが、
「何言ってるんだ、灯よ。」
「そ、そうだよね。ごめんね、変なこと聞いちゃったね。アハハハハ」
「そうに決まっているだろう。///」
「えぇーーー!!!」
す、すすす、好き!えっ、えっ、それはLIKEで、それともLOVEで、どっち?どっちなのーーーー!!
「だ、大丈夫か、灯。」
あの後、いきなりの質問に混乱してしまった私は少し気絶してしまった。
「で、由美ちゃんはなんであんなことを言ったの?」
「なぁ、灯。剣崎のあんな顔を見て、どんな気持ちになった?」
「えーと、悲しかったかな。」
何であんな顔をさせてしまったのか知らなかったことや、それを彼は誰にも話してくれなかったこと、とにかく、いろいろ悲しかった。
「そうか。私は少し嬉しかったかな。///」
「えっ?」
「灯はあの時の試合を見てたから知ってると思うけど、あいつはとにかく強いんだよ。だから、私が自分の気持ちに気づいたときは私なんかじゃダメだと思ったんだ。
でも、今日の顔を見て、あいつの側にいて、ずっと支えたいと思ったんだ。///」
そっか、すごいな。由美ちゃんは。
「だから、私は今日の軍事演習が終わったら、剣崎に告白する!」
き、き、きょくひゃく!そ、そんな・・・。
あれ、なんでこんなに胸が苦しいんだろう。
「で、灯はどうする?」
「えっ?」
「私は自分の気持ちを受け入れて、進もうとしている。彼は確かに人が嫌いなのかもしれない。でも、諦めたくない!初めての恋だから!
けど、それと同じくらい灯には後悔してほしくはないんだ。灯は本心と向かいあってほしい!私の親友だから!」
「うん。分かったよ。」
私は彼をどう思っているのだろう。たしかに彼を思うと胸が熱くなって、彼の姿を見ると話しかけずにはいられない。それに・・・」
「いや、もうそれ完全に惚れているでしょ。どこからどう見ても。」
「えっ、声に出してた///?」
「すごく出てたわ!というか良く今まで分からなかったな。まったく本当に来人に劣らずの鈍感だ。で、好きなことは分かったけどどうする?灯も告白するか?しないなら、私が貰っていく・・・「します!させていただきます!」 そうか、じゃあお互いに一緒にしようか。」
「うん!あれ、でも、もし好きな人がいたらどうしよう!」
「心配するな!こう言ってはあれだが、彼を好きになる人は然程いないだろう。それにもしいても、この世界では一夫多妻制だ!だから、安心して側にいられるだろ、灯?」
「分かったよ。由美ちゃん。一緒にがんばろう!」
待ってて、剣崎君。必ず想いを伝えて、あなたの側で支えてみせるから!
彼女らの選択はまちがっていたのだが、今の彼女らにはそれを知る由もなかった。




