↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタク勇者の英雄伝ではない何か  作者: ヒビキ
第一章 アポロス編
12/23

勝った、第一部完!

前回までは!って、本当にいる、これ?


ひょんなことから、異世界から召喚された二次元大好き少年 剣崎 和人。前世の経験から現実の人間に絶望した彼は1人孤独に元の世界に帰ることを決意する。

そんな中、始まった軍事演習。国から派遣された暗殺者(かませいぬ)に特に苦戦することもなく切り抜ける和人。そして、国から脱出するための作戦もいよいよ終盤に突入。果たして和人は無事に脱出出来るのか?







ーーー剣崎sideーーー


さーて、どうするか。作戦通りなんて言ったはいいものの、実はピンチだったりするんだ俺。

今使ってる偽装の魔術だが決して見た目だけ騙すものではなく、ステータスすら騙してくれる代物だ。前世でもこれに何回救われたか。だからバレることはほぼないんだが、その代わりに弱点もある。今みたいに誰かのふりをする場合、ステータスも同じになってしまうから力が制限されるんだ。さっきの熊ならなんとかなるが、地竜では話が変わってくる。本当変わり過ぎて、最早原型をとどめてないレベル。


「行くぞ、地竜!弔い合戦だ!」


あっちには地竜にAランクの魔具が2つ、士気も十分、対してこっちはCランクの暗殺者。あれ、意外に強かったんだこいつ。

まぁ、今はいい。それにしても戦力でも数でも負けているとは、やばい。だが、これも全ては俺が二次元(ちえのみ)を再び手にするため。もう誰にも舐めた口は聞かせねぇ!

あれ、なんか俺の死亡フラグにしか聞こえないけど。


「うぉぉぉぉぉお!」


って、こんなふざけたことを考えている間に来ちゃったよ。仕方ない。やってやる!


「行くぞ!博士!」


今、此処に2人の漢の闘いの火蓋が切って落とされ・・・・


「「待った(待ってくれ)!」」


ようとしたところに2人の乙女の声が響いた。って、なんで?


「おい、博士よ。今なにをしようとしていた?」


「えっ、いや、和人の敵をとろうとしたんだけど?」


「何言ってるの、博士?剣崎君ならそこにいるじゃない。ねぇ、由美ちゃん。」


「まったくだ。なぁ、灯。」


そう言い、泉が指差したのは俺の方だった。って、えっ?


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


いつだ。いつばれた!


「な、何言ってんだ、2人とも。剣崎なら海に落ちたじゃ無いか。」


「そうだそうだ。 言いがかりも大概にしろ!」


「君もそう思うか。まったく今時の女子は何を考えているのか。」


「本当だよな。まったく。」


「「HAHAHAHA!」」


あれ、今俺は何してたんだっけ?


「あれ?僕もそんな気がしてきた。」


ヤバイ、最後の防衛線が。


「おいおい、博士まで何言ってんだよ。そんな訳ないじゃんか。」


「いや、その喋り方がもう自白みたいなもんだろ。」


ハッ!しまった。つい、何時ものノリではなしてた。まぁ、別にこの間話し始めたばかりだけどな。でも、ちくしょう。もう誤魔化せないか。


「あぁ、そうだよ。俺が剣崎だ。だったら、どうする?」


「和人!一体何でそんなことを「ちょっと待って。」・・・灯。」


「ごめんね、博士。私たちは彼に言わなければいけないことがあるの。」


「すまんな、博士。」


「そうか、了解した。だが、その前に何故奴が和人だと分かったのか教えてくれ。」


あれれ?俺の話が俺抜きで進んでない?

でも、確かに何故、偽装の魔術がばれたのかは知りたいな。


「そんなの決まってるよ。」










「あいつの動きは剣崎そのものだったからだ!」

「彼から剣崎君の匂いがしたから!」









「「・・・・・・はぁぁぁぁぁぁぁ!」」


ちょっと待って、あ、あれだ。お、落ち着こう。そうだ素数だ!誰か素数を持ってこい。

って、博士?おい博士大丈夫か?・・博士?

博士ぇぇぇぇぇぇ!




ーーー数分後ーーー


「だ、大丈夫か?博士?」


「あ、あぁ。」


い、今起こったことをありのままは・・(ry


とにかく、博士の慌てっぷりで冷静になった頭でさっきの2人の話を思い返した。

まだ前者は言い、いや、一応おもっきし体格やステータスは変わってる筈なんだが、まだいい。

だが、後者はどういうことだ?俺には変な匂いでもするのか?博士にさりげなく目配せしてみるも首を横に振り、否定していた。

どうやらこの話は俺のLIFEを削り取るだけだと分かったので他の話題を振ることにした。


「で、2人は俺に何を言いたかったんだ?」


泉と椿は互いにほんのり赤い顔を見合わせ、しばしそのままでいると、遂に決心したかのように、俺の方を向いた。その時の俺には2人が何を言おうとしていたのか、本能的に気づいた気がした。



ヤメロ



「私は剣崎君のことが」

「私は剣崎のことが」



ヤメロ



「「好きだ!」」



「やめろ!」


さっきまでの空気はどこへやら。俺の一言に辺りが静まる。


「頼むからやめてくれ。俺はあんたらが想っているような人間じゃ無いんだ。それに俺は人を、あんたらを信じられない。だから俺のことは諦めてくれ。」


普段なら、冗談か罰ゲームだと思い、軽く済ませていたんだが、2人の顔があの時の幼馴染と被って、俺の心をかき乱した。



本気で俺を愛してくれた女性。ちょっとヤンデレ気味だったが、俺を大切に想ってくれた女性。家族以外で俺が本気で命をかけて守ろうとしたただ1人の女性。



今、そんなあいつと同じような顔をした2人の女性を見て、俺は自分の醜さに愕然とした。だってよ、あんな顔を見てまだ信用できないんだぜ。まぁ、あそこまで言えばきっと・・・









「「だが断る!」」


「え?」


「あれ、使い方違ってた?」


「いや、由美子。そういうことではないと思う。」


「まぁ、いい。話の続きだけど私たちは諦めるつもりは無いから。」


「な、なんで?」


「だって、誰かを想うことは悪いことでは無いし、恋は難しければ難しいほど燃えるでしょ。」



「なんで!どうして俺なんかを好きになるんだ!俺は人を不幸にしか出来ない唯の化け物なんだよ!だから頼むから近づかないでくれ。」



「ふふっ。やっぱり剣崎君は優しいんだね。だって、それは誰かが不幸になるのが許せないんでしょ。でもね、私たちは好きな人といれないことの方が不幸なんだよ。」


「で、でも・・・」



ドガァァァァァァン!



俺は何かを言おうとするが、それを遮るように2人の男が現れた。


「大丈夫?3人とも。」


「なるほど。そういうことか。勇者殿は3人を連れて、みんなのもとに戻ってくれ。こいつは俺がやる。」


あれ?なんでこいつは俺に武器を向けるんだ?

「はい!フリードさん。行くよ!3人とも。」


「「ちょっと待って!」」


抵抗虚しく3人は境に連れられて戻っていった。と言うか、さっきからなんでこいつは殺気をぶつけてくるんだ?


「騎士団長様が何の用だ?」


「貴様、そばにいた剣崎の魂魄が感じられないがどうした?」


しまった、今はアイクになっていたんだ。ヤバイな、地竜どころか騎士団長とはまずすぎる。


「答える気はないか。その血がついた刀を見れば、察しはつく。」


「くそっ、“瞬脚”。そして逃げるんだよ〜。」


俺は魔具の力で分身を5体ほど出すと、フリードに向かわせ、反対方向に走った。分身で数分くらい稼げれば逃げれる。そう思っていると、


「オラァァァァァ!」


剛剣 アダマントの一振りで分身たちは愉快な肉片へと姿を変えた。・・・・って、えぇぇぇぇ!嘘だろ!


「マジかよ。くそっ、こうなりゃやってやる!」

(戦っているどさくさにもう一度崖の方に行って、海に逃げるか。)


「覚悟はできたか?だったら行くぞ!“斬刃”

“瞬脚”」


俺は分身を再び出すと、フリードの元に走らせた。


刀を様々な方向から振り下ろすものの、剛剣に防がれた。


「堅っ!」


防がれた刀は少し罅ができていた。さらにフリードは大剣を横薙ぎにするも、なんとか躱せた。どうやら分身は意識を向けることで精密な操作ができるらしい。ピット兵器みたいだ。さらに分身は死に至る怪我をすると消えていくが、少し怪我するくらいなら消えないらしい。


「ほう、なかなかやるじゃないか。だったらこれならどうだ。“剛腕”」


再び振り下ろされた大剣からは巨大な斬撃が飛び出した。ギリギリで躱すが、隙だらけの俺の腹に重い拳が入った。


「ぐはっ!」


俺は近くの木まで吹き飛び、倒れた。血が口から出るも、震える体を何とか立ち上がらせた。これが騎士団長の実力か。あくまで数値上のステータス自体は境らに比べるとやや低いが、年季の差かあいつらとは段違いに強い。


「ふっ、随分必死だな。そんなに自国の戦力が少なくなったのが悔しかったのか?」


「黙れ! 俺は自分が子供1人も守れないことが悔しいのだ!だから、せめてもの償いに貴様を捕まえる。」


「何だ?殺すのではないのか?それすら出来ない腰抜けか貴様は?」


「悪いな。誰かを殺すことに疑問を持たないような奴になるくらいなら、俺は腰抜けでも一切構わない。」


何と無くフリードのことが分かった気がする。俺たちがいた世界では誰かを殺すことはほとんどの人が経験することなく生きていく。対して、この世界では人の命はすごく軽い。なぜなら、誰もが一歩間違えれば殺すことを体験してしまう。それも国を守る騎士団ともあれば当然その数も増えていく。そのトップでありながらなお人の命を奪うことに疑問を持つこいつはこの世界できっと誰よりも優しいのだろう。だったら俺は・・・


「そうか。なら、こちらも全力で逃がさせていただく!」


なんとしてでも逃げ切る。俺の覚悟が鈍る前に。







「オラァァァ!」


凄まじい勢いで大剣が振られていく。当たりはしないものの、少しずつかすっていく。その勢いに俺は防戦一方だった。分身は結構魂魄を使うため、あんまり乱暴には使いきれない。このままの状態ではいずれ殺られる。こうなりゃ、一か八かやってみるか。覚悟を決めると単身、フリードに突っ込んで行った。


「無駄だ、諦めろ!貴様の負けだ!」


俺に合わせるように突っ込むフリード。良し、計算通り。


「残念ながら、俺はここで死ぬ訳にはいかない。だから・・・」


俺は残った魂魄で3体の分身を作ると、2体はフリードの元に走らせ、残る1体に俺の腕に持たせると、


「さよならだ!」



分身に思いっきり海に向かって投げさせた。


「な、何!」


慌てて抑えようとするも、分身がそれを妨害する。良かった、崖の方に近づいているのが気づかれなくて。


そして、


ドッボーーン!


ついに俺は目的を達成したのだっガボガボガボ!



勝った、第一部完!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。