エピローグ
作者はテストが近いため、少し休みます。もし万が一、いや億が一こんな作品を楽しみにしている読者様がいらっしゃれば、誠に申し訳ありません。
時は流れ、数日後。
ある薄暗い一室、辺りにはたくさんの資料が積まれ、明かりは机に置かれたランプだけが光を放っていた。そんな部屋には1人の美女、いや美女にしか見えない立派な男が1つの資料を静かに見ていた。その妖艶な雰囲気はまさに魔性の女と言ったところだろう。そんな彼の部屋に1人の男が音もなく侵入してきた。
「やぁ、久しぶりじゃないか。何日ぶりだい。というか、やはり生きていたんだね。和人。」
その男の名は剣崎 和人。数日前、暗殺者に扮していた彼はこの国 アポロスの騎士団長であるフリードによって殺害されたはずの少年である。
ーーー剣崎sideーーー
「やっぱり死んだ扱いになったか。」
俺は今、ネロの部屋で食事をしていた。パンに何かの肉のステーキにスープ、サラダなど何時もよりも豪勢なメニューだった。
マジかよ、いつもこんなもん食ってるとあんな感じになるのか?ネロの身体の秘密に少し近づいた気がした。
「へぇー、なんでそう思っていたんだい?確か君は騎士団長から逃げ切ったはずだよね?」
「いや、だからこそだろう。国の軍事の要である異世界人をむざむざ殺された挙句その犯人に逃げられただなんて知られたら国が崩壊しかねんからな。てか、さっきから食わないのか?」
「なるほど。あと、これは君のために特別に用意したんだ。だから気にしないでたくさん食べな。それと聞きたいことがあるんだけどいいかい?」
「あぁ、何でも聞いてくれ。」
「ところで君はわざわざこんな事をしてまで何がしたかったんだい?今回の顛末については調べがついているんだが、是非直接聞きたくてね。」
「それはもちろん元の世界に帰るためだ。俺はそのためなら全てを犠牲にするし、全てを利用する。そのためにはこの国から誰にも知られないように出て行きたかった。だからさ。」
「その割りにはあまり表情が優れないみたいだけど。」
「まぁ、いろいろあってな。ところでそこにいる奴はお前の差し金か?」
「いいや。そこにいる君!もうバレてるから出てきたら!」
そこから出てきたのは博士だった。そのいつものクールな表情からは想像出来ない怒りの感情がにじみ出ていた。
「おい、和人。今のは本気か?」
そして彼は俺の方に詰め寄ると、ガッと胸ぐらを掴んだ。
「何が?」
「このままあいつらに何も言わないで、この国から出て行くのかって聞いてるんだ!」
「悪いがもう決めたんだ。あいつらにはもっといい奴探せって言っといてくれ。」
そうだ。俺は誰かを不幸にしか出来ない。だから1人でいるべきなんだ。なんだってそんな当たり前の事を忘れていたんだろう。たぶん、いやきっとあの世界でのぬるま湯のような生活に幸せを感じてしまったんだろう。
「なぁ、和人。君には何があったんだ?今まで一体どんな目にあってきたんだ?」
「そうだな。一言で言えば、“絶望”かな。」
「・・・・・・そうか。 分かった。」
そういうと博士はそれっきり何も喋らず出ていった。俺はその時の博士の肩が震えていたのを見て見ぬ振りをしてしまった。
「これでよかったのか?君は本当は彼らと一緒にいたかったんじゃないのか?」
「あぁ、多分な。」
「だったら、」
「皆迄言うな。でもダメなんだよ。だって俺は
決して“英雄”などでは無いのだから。」
ーーー田村sideーーー
僕は和人に聞きたいことがあった。理由はもちろんだが、勝手ながら彼が僕たちに一言も無いのがくやしかった。まだ話すように数ヶ月も無いのに、ここまで彼との友情を求めるのはこんな状況だからこそなのか、同じ趣味を持つ同士なのか、それとも他の何かなのか?
そんな彼が死んだと言う知らせが来てから数日後、何故彼に呼ばれた気がした。それに従ってネロさんの部屋に行くと、そこには和人の姿があった。
彼の話を聞くうちに怒りが湧き上がり、つい強い口調で怒鳴ってしまったけど、その後の彼の目を見て気づいた。彼は強い。それこそ僕たちじゃ何人束になっても敵わないほどに。そしてきっと僕たちの何倍も苦しい目にあって、僕たちの何倍も高い場所にいるんだろう。だから僕は・・・・
バン!
「2人とも話がある。」
強くなる。まずは再び彼に会うためにこの世界で生き延びられるくらい。
ーーー椿sideーーー
私は今、灯の部屋で2人っきりでいた。私達はともに愛する者を失った悲しみで落ち込んでいた。食事も喉を通らず、目には隈ができていた。このまま死んでしまってもいいかもと思ったのは一度や二度ではない。
そこに博士がやって来たのは剣崎の死から数日後の話だった。彼からの話ではどうやら彼はさっきまで剣崎と話していたらしい。何と羨ましけしからん。まぁ、ともあれ今は彼の元に行くことが最優先とばかりに向かおうとするも、博士が私たちの前に立ちふさがった。
「何のつもり?」
私でも驚く灯の声に、辺りが緊迫した雰囲気になるも、博士はゆっくりと言葉を発した。
「おそらく、過去に何らかのことがあったのか和人は僕たちの何倍も強い。今のままの僕たちでは和人の側にはいられない。現に和人から2人には俺のことを諦めるように言ってくれと言われた。」
剣崎からの言葉は私たちにはショックだった。まぁ、好きな人から嫌いと言われるよりはましだが、やはり傷つくなぁ。
「これは僕の勝手な推測だけど、きっと彼はトラウマのようなものを抱えていて、それ故彼は極端に人を自分の側に置きたくないんじゃないかと思ったんだ。だから、和人は僕たちが嫌いだと言う訳では無いと思う。」
そんな博士の言葉に少しだけ心が楽になった気がした。しかし、結局私たちには彼の側にいる資格が無かったということだろう。
「でも、それは今の僕たちだからだ。だからこそ、僕は強くなる!それで和人の元に行く。まだまだ話したいことがあるから。それで2人はどうする?」
「灯!」
「由美ちゃん!」
「「絶対強くなって、和人とイチャイチャするぞ!」」
もう私たちには迷いがなかった。人は目的無しには生きられないと思っていたが、今日ほどそれを実感したことは無い。フフフフフ。漲る、漲るぞ!今の私たちなら何でも出来そうな気がした。
その時の博士の「あれ、やり過ぎた?」みたいな顔は気にしないことにした。
ーーー剣崎sideーーー
「さて、俺はそろそろ行くよ。」
俺はそう言うと座っていた椅子から立ち上がった。
「そうか。 あっ、ちょっと待ちたまえ。」
そう言うと、紙の束から何かを探すために強引に手を伸ばした。
「あったあった。これだ。ハイ、これはこの世界の地図だよ。どうせこれから旅に出るんでしょう?」
「おぅ。サンキュー。よし、これで準備は完了かな。」
「異世界に帰る前にまた是非来てくれ。いつでも歓迎してるよ、和人。」
「はいはい、了解しましたよ。ったく、じゃあな、ネロ!」
俺はネロの部屋の窓から勢いよく飛びだした。後ろからネロの笑い声が響く中、暗い王城の庭に降り立ち、最初の目的地へ思いを馳せながら俺は新たな冒険の一歩を踏み出した。
俺たちの冒険はこれからだ!
えっと、何で外からかと言うともちろん城の中で迷わない為である。うわぁ〜、かっこ悪、俺!
剣崎「次回、シリアス死す!でデュエルスタン 田村「言わせねぇよ!」




