魔鉱石
リベラが王都へ出発した数日後、フォリアは変わらず夜に起き、こっそり壁を超えて森の中に薬草を探しに行っておりました
森に入ると木の枝を使い軽々と奥へ奥へ入っていた
少し休憩しようと木の上で水を飲んだ
ふと、上を向くと月が昇っていた、私は手で数を数え始めた
「リベラが帰ってくるまで後1、2、・・・13日か」
私には余り友達がいない、いないと言ってもリベラしか友達はいない
この街は元々、ドワーフ達が作った小さな村だった
ドワーフ達は遥か昔、人が近づかないであろう北の極寒の地に住んでいた。月日が経ち、村は徐々に大きな村へとなった
ドワーフ達は鉱山で鉄や鉱石を掘ったり酒作り、様々な物を作り出した。森を切り開き、その頃は道も整備されてなく何十日もかけて人との交流をしていた
それから何年かして、珍しい物や酒、鉱石のことを聞いた平民や行くところが無くなった人達が生きるか死ぬかの賭けで険しい道と魔物を退治しながらドワーフの村まで来た
最初は上手く打ち解けられなかったドワーフも人間達の元いた街や村のことを聞き徐々に心を開いて行った
そしてドワーフと人間との大きな街ができた
しかし、ドワーフ達は彼らの元いた東西南、王都の話を聞き自分たちもその地へ行きたいと街から去って行った
今、街にいるドワーフ達は北の地方に残った者の子孫たちなのだ
なので、今はドワーフより人間達の数の方がずっと多くなった
私は遥か昔に移住してきた子孫である母さんと偶然この街に来た父さんから生まれ。リベラは他の地方から来た夫婦から生まれた
今街で大人になっていないのは私とリベラ、それから近所に住む夫婦の女性達が妊娠をしている。なので私はリベラ以外の歳の近い人と喋ったことがない
「お〜い!」
聞き覚えのある声が聞こえた、この力強く低い声はドワーフの
「フォリア!」
「フェルムじぃさん!」
「じぃさんじゃない、お兄さんだ」
「いゃ・・・見た目完全におじぃさんじゃん・・・」
フェルムじぃさんはドワーフで3人兄弟の次男でいつもは森の洞窟で仕事をしている
鉄の兜を被っていて顔は兄弟なこともあって3人全く同じなのだ。
長男はカリュプス、末っ子はクプルム
私は木から飛び降りるとフェルムじぃさんに連れられ洞窟の中にあるドワーフ達の家に入って行った。フェルムじぃさんが息良いよく扉を開けると中には数人のドワーフがいた
「おぉぉ、フォリアじゃねぇぇか!?」
「久しぶりじゃの50年くらいかの会うのは?」
「お爺ちゃん、まだそんなに経ってないと思うわよ」
相変わらず賑やかだ、中には女性のドワーフと多分お爺ちゃんのドワーフ達がいた
ドワーフの家と言ってもただの小屋でドワーフはどこでも寝れる、洞窟中でも何人か寝ている、お爺ちゃんが起き上がるとこっちを見た
「フェルム、あれを」
「はい。フォリア」
フェルムは私を洞窟に案内し始めた
階段を下り洞窟の中に入って行き、倉庫に案内した。洞窟は魔物が多いいのか魔鉱石がところどころキラキラ光って行った
倉庫の錆びついた扉を重い音を立てながら開けると箱に鉱石が入っていた
「あぁぁ、これね」
「いつもより多いいけど大丈夫か?」
「うん、これくらい平気」
箱を持ち上げると階段を上がり地上に運んだ
ドワーフ達が採掘したものの中には貴重な魔鉱石がある、高く売れるが一箇所に多く置くと魔物が寄ってくる。そもそもの原因、魔物がたくさんいると魔鉱石ができる、だからすぐに小さく砕いて捨てるか売ってお金にするかのどちらかだ
地上に着くと箱を一度置いた
「魔鉱石がこんなに・・・」
「姉さん、最近倉庫周辺にも魔鉱石が出始めたってうちの旦那が・・・」
「子供達からなるべく目を離さないようにしないと・・・」
ドワーフの女性達は怯えている、確かに魔鉱石が箱いっぱいになるなんなて
「森の危機かもしれないの」
女性達はビクッとしてお爺ちゃんの方を見た
「魔鉱石が最近よく森のあちこちから発見されている、今は価値が下がらないくらいの大きさに砕いているがこれは異常じゃ」
皆、息を飲んだ
魔鉱石は暴走状態の魔物が出す魔力が鉱石となった物、暴走状態の原因は未だわかっていない
現場わかっているのは暴走した魔物はその身が朽ち果てるまで暴れ続ける、強い魔物ほど自我を保てる傾向にある
しばらくすると、洞窟から男集が戻ってきた。お爺ちゃんはみんなを集めて話し出した
「魔鉱石の量が日を追うたび多くなってきている、今回、フォリアを連れてきてもらったのは聞きたいことがあったからじゃ。フォリアよ、最近森で変なことはなかったか?」
(変なこと、確かに最近は魔物の数が多かったけど気にするほどじゃ・・・!)
思い出した、あの騎士のことを
「そういえば、数日前に血鳥に襲われてる騎士がいました」
「騎士?」
「ここら辺にいる騎士といえば、アウローラ騎士団かの?」
「いえ、血鳥達に囲まれていて姿は余り見ていないんですが・・・確か」
(朝日が昇ったとき見た騎士の服の色は)
「確か・・・白色」
皆、目を大きく開けて驚いていた。何かとてつもないことが起きている事だけが私の頭の中でぐるぐる回った
「おい!白の騎士の制服って、王都の聖女騎士団と王宮騎士団の制服だぞ!」
私は驚いた、ここから王都まで何日もかかる。しかも今は雪解けの時期で魔物が冬眠から起きる冬眠しない魔物もいるのにくる時期を間違えている
リベラがこの時期に王都でお酒を売りに行くのは雪解けがないと王都までの道を馬車で通れないから
それまでは大雪がつもり外から来るのは考えられない
だから、北の地方で生まれたドワーフを護衛兼お酒の運搬を手伝ってもらうことにした
ここで生まれたドワーフなら雪解けや凍った道や雪崩に詳しいから。王都にいる騎士団が北の地方に来ることは1度もない、彼らは広い王都の中で動く
「もちろん、王都以外で動くことはある・・・」
お爺ちゃんが口を開いた、切り株に座り手を握りしめた
「実に300年前、王都の上位の騎士、王宮騎士団が王都の外で戦った魔王軍・・・
しかし、魔王軍の方が遥かに強かった、民衆が絶望したとき、そこにある女が現れて王宮騎士団に味方した。彼女こそが聖女だった、聖女の力で魔王軍は倒された・・・しかし」
(うん?)
「聖女もまた死んでしまっていた、力の全てを騎士団に与えてしまい生気までも使って」
今の話は魔物と人間のむかし話、その話を聞くとすでに魔王軍も聖女もいないことになる。悲しい物語だ
「爺さん、それだけじゃないんだろ」
振り向くとカリュプスが後ろから出てきた。お爺ちゃんは小さく頷き話し続けた
「魔王軍はまだ今も残っている、魔物は人間とは違いほぼ不死身の存在。聖女の力を使っても上位の魔族は生き残り今もなお生きている」
私は騎士の言葉を思い出した。彼がなぜこの地にやってきたのかを
「あの騎士、上司の名で調査に来たって言ってた・・・」
「おい!魔鉱石の異常な発生に王都の騎士団・・・」
もしその話が本当なら、王都の騎士団が北の地方にわざわざ来たのは
「魔王軍が動き出すのかもしれない・・・」




