街の酒屋娘
街から王都の貴族街の店にこの街のお酒を売る為に出発したリベラとおじさん、森の中を馬車に揺れながら何日もかけて行く王都
もちろん何日もかかるのだから行商人達も大変である。盗賊なんかに襲われたりしたら損どころか命すら危ないのだから、だから本来は戦士や魔法使いを探して報酬を出して遠出をする
ここは北の地方だから、盗賊はそうそういないがそんな者より魔物が怖いところだ
魔物だって地方によって進化してきている
北の地方には血鳥や一体でも小さな集落を壊滅させることのできる氷塊ツノ大トナカイ,雪を食べることで分裂するモアが危険だ
もちろん危険じゃない魔物もいる、暑さ寒さ関係なく体を変化させられるナレ、いろんなモノに変化するから元々どんな姿をしていたのか誰も知らない。
馬車が進むと道の真ん中に丸太が転がっていた。しかも、横ではなく普通の木のように縦に立っていた
リベラが試しに丸太を叩いてみると形が変わり白いい塊になった今度は雪玉になった横を見ると腐って倒れた木があったから真似たのだとわかった
ナレには特徴的な目があり、それが可愛いのだ
馬車に戻るとリベラはふと思った。ナレは何を食べて生きているのか。北の地方は極寒の季節が2分の1で極寒でなくとも他の地方の人にとっては今も少し寒いらしい
今は雪が溶けている途中で、雪に隠れていた木の実や果実が取れる。それらを瓶に詰めたり、ジャムにしておくのだ、辺りを見渡すとブルーベリーなんかもあった
おじさんが馬車を止めて笑いながら指を刺した
その先には人の顔とよく似た果実があった。おじさんは何個か枝から取り、目をつぶって食べた
「よっし!笑った果実だ!」
果実の表面には人の顔に似ているシワがついている、怒りや笑いの顔の動きを読み取り果実自らが味を変える不思議な物だ。笑いは甘く、怒りは辛く、悲しみは塩辛いなど味が変わる
おじさんはリベラの手に果実を1つ渡した
「目を瞑って食べてみな」
リベラはこの果実が苦手なのだ
この果実は運試しで食べるのが北の地方の遊びなのだ、この果実は感情の大きさで味の濃さや薄さが異なるのだ、リベラの実家の酒店でも雪解けの時にお酒に果実を浸して、甘さや辛さを抽出する
ただし、他人の感情を読み取った果実のお酒を飲む人は抵抗がある人とない人がいる
だから感情を読み取る前の果実がとても珍しいのだ、北の地方ではこの果実が多く生息している魔法が使えれば近づかなくても収穫できるから収穫する時はリベラも収穫を手伝う
果実は収穫すれば感情の味は変わることはない
リベラが果実を嫌う理由はおじさんみたいにどの感情の果実を渡したかわからないからだ
小さい頃、フォリアのお爺ちゃんがよく酒場で飲み比べをしていた時、たまに運試しで食べたが大人達は皆お酒の影響か本気も本気で辛いのをリベラは引かされていた
リベラは目を瞑って口に入れた、雪解けの季節だからパキッと少し硬い
「辛ぁぁぁぁぁ」
「はぁはぁはぁはぁはぁ!!」
やっぱり、辛い果実だった
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酒場で運試しをする客達
「よ〜し!皆んな目を瞑れ、見たら負けだからな」
大きなフチが内側にカーブしている木の皿に果実を何個か置き、数人で皿を順番に回す。手の感覚で当たりを引く遊び
「うん〜、これ甘い果実?」
「どれ、ちょっと貸してみな・・・これはしょっぱいやつだな俺のは甘い確率高いがどうする」
「それがいい」
2人は果実を交換した
「よ〜し、皆んな運試しだ!!」
一斉に果実を食べると当たりを引いて喜ぶ者と辛くてガッカリする者などがいた
フォリアがリベラにどうかと聞いてみるとリベラは泣きながら言った
「がらいぃぃぃぃっっ」
フォリアは泣いているリベラに水を注いで心配そうに背中を撫でた
リベラの隣におじさんが笑いながら言った
「修行が足りないな」
リベラの目がなぜか鋭く光っているように見えたフォリア、リベラはもう1回やるとやはり、悔しかったようだ
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そして、今リベラの目の前で大きな口を開けて笑ってる男こそがその気と辛い果実を渡した男なのだ
森を抜けると雪はほとんどなくなり草原が広がっている。植物もさっきよりたくさん生えており、野宿をするにもぴったりな場所、ところどころ大きな岩があり、リベラ達が王都に行く時はよく大岩を雨避けや風よけに使っている
馬車を岩の横に止めるリベラは薪集めをする為にその場を離れ、おじさん地面に馬の手綱を結ぶための杭を打つ。ハンマーで杭を打ち馬を結ぼうとした時だった。馬が暴れ出したのだ
おじさんはなんとか馬を宥めようと必死に落ち着くように問いかけた。しかし、何かに怯えるように馬の脚は逃げようとしている
そんなことは知らずリベラは薪の為の枝を探しているがやはり雪解けの影響でどれも湿っていたり泥をかぶっていた。リベラはできるだけ綺麗な枝を集め枝腕一杯にしながら戻っていた
馬を宥める中で遠くから何かがすごい速さで近づいていることに気がついた。目を凝らすと4本足で喉を唸らせながら近づく狼がいた、おじさんはわかった
「スノウルフか、馬が怖がって逃げるわけだ」
そっと手綱を離すと馬は走り去って行った、大斧を取り出しお互い睨みつけながら円を描くように距離を取った
スノウルフが突進してきたと同時に走り距離を取るスノウルフは体を大量の毛と硬い皮膚で守ることでこの地方に適応したウルフ、だから一発で仕留めないといけない
しかし、やはりウルフの方が速く腹に飛び込んできた並の人間なら腹を食いちぎられておしまいだ。だが、王都までの険しく危険な旅を娘に行かせる為に弱い者が一緒なわけがない
「ドワーフの力を舐めるな!!」
飛びついてきたスノウルフの腹に蹴りを入れるとこの高原にある中でも一番高い岩の下に蹴り飛ばした。
スノウルフは仰向けになると一瞬の隙に首に斧を振り下ろした
一息つく暇もない、スノウルフは群れで行動することが一般的だ
高い岩の下で殺したのにも意味がある
上から見ればわかる、今倒したやつの群れの規模が。するとあちらこちらからスノウルフが何匹も飛び出してきた。
「1、2、10匹以上か・・・面倒だな」
スノウルフが岩の下で吠えているのが聞こえる。
見渡すと薪を持って帰ってくるリベラの姿を見つけた。大声で叫んだ
「リベラァァァァ!」
リベラが声のする方を見ると斧を持ったおじさんが立っていた、そして岩の下にスノウルフの群れがいるとこに気がついた
「仕方ない、スノウルフの毛皮は高く売れるから手伝ってよ」
おじさんが頷くと、薪をそっと地面に置き杖を出した
透明感がある綺麗な白髪に満月の光のような黄色い目を持つ、魔法使い
杖をスノウルフに向ける
「ヴァリータス」
リベラが詠唱をするとスノウルフの動きが止まった、おじさんが岩から飛び降りると次々とスノウルフの首を取った
薪を拾い、おじさんの近くに行くとしゃがんだ
スノウルフの頭や耳を触りながら言った
「これ、全部運ぶ?」
「そうだな、ここに置いてったら、他の魔物に襲われてしまう。ちょっ待ってろ」
おじさんは小刀を出した
普段は森の洞窟で仲間と鉄なんかの金属を見つけてはいろんなものに加工をしてくれる
魔法使いの杖は遠距離用で近距離なら別に杖を出さなくてもいいが手ブレや狙いを外すこともあるから魔法使いの9割は杖を使い、残りの1割は別に杖なしでもある程度は魔法を使える
杖なしでも魔法を使えるのは上位の魔法使いだけ。だけど、魔法使いにとって杖は象徴だからなしで使えても結局、杖は使ってしまう
小刀で毛皮を剥いだ、綺麗にして馬車に積む為に馬車に近づくと本来杭で繋がっているはずの馬が見当たらない
「馬がいない・・・」
毛皮を剥ぎ終わったおじさんになぜ馬がいないのかと尋ねると、おじさんは思いっきり目が開き言った
「やば、忘れてた」




