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街の花屋娘2

 私は街の外壁までとにかく走った、森で騎士を助けたことはその頃にはすでに頭のどこかに放り投げていることにも気が付かずに


 私の実家の花屋の隣には酒店兼酒場があるのだ、門番達は定期的に酒場を利用する常連ばかりで無論私の顔も全員知っているし私も彼らの顔も名前も知っている


「やっやばい・・・いつもはもっと早く帰ってこれたのにぃぃぃ」


 顔をくもらせながら走ると城壁が見えてきた

しかし、朝日を浴びたことで目が冴えてしまった門番達は外と内側を徹底的に見張っている


 小さい頃はたとえ朝に城壁の外にいても隠し通路として使っていた小さな穴を通って中に戻っていた身長も伸びた私には到底通り抜けることはできないし、そもそもの話あの穴はすでに無くなっている


 昔、どこかの家の子犬が逃げ出した時にその穴から出てきたことあってすぐに壁が直されたのだ


「当時は隠し穴が犬のせいでバレてがっかりしたんだよな〜」


 ハッとし首を左右に振りキリリと前を見た


「流石に壁を登りきっても内側の人達に見られるのはまずいかと言って堂々と門から入るなんて怪しまれる・・・」

「ぐぁぁぁぁ どうすれば」


 頭をかきむしりながら考える。ふと、門番達を見る


「ふあ〜・・・」

「おい 朝になったからって気を抜くなマグナ、外側を見張ってる俺らが街を守る最初の段階だ」

「すみません、二日酔いでまだボ〜として」


 ダメだ、もうそろそろ店開くのにと焦っている中、1台の馬車がやってきた。


 この街もだが検問がある街がほとんどだ

「馬車のどこかに張り付くとかできるかも・・・ダメだ荷も調べられるんだ」


 門番が隅々まで調べてやっと入れるのが普通なのだ、このままでは永遠に街に戻れない


 途方に暮れ腕組みをした。私は険しい顔をしながら考えた


「入る人がいるなら出る人ももちろんいる、でもそんな都合よく私の知り合いで勝手に壁を乗り越えたことを黙っててくれる人なんてぇぇぇ〜」


私はハッとした「いたぁぁぁ!!」


 しばらくすると、馬車の蹄と車輪の音が門番の前で止まった、行商の馬車だ。

門番の1人が馬車の中を調べ終わると、門から1台の馬車が出てきた、馬の手綱を握っているのはドワーフのおじさんその隣に座っているもう1人は・・・


酒店の娘で私の幼馴染のリベラ


 私は自然と安心して道の草陰からリベラに合図を送った。するとリベラがおじさんに耳打ちをした


 馬車は門のすぐ近くで止まり、リベラが馬車からヒョイッと飛び降り、私の方に近づいた。門番の方を見るとおじさんが門番2人と話している


「どうしたの、いつもはもう家に帰ってる時間でしょ」

「ごめん、ちょっとした事件的なものに偶然居合わせたというか・・・」


 小声で話しながらリベラは私の頭に手を当てた、すると私の体がみるみる透明になって言った。これなら、門から堂々と入れる


「すまないなマグナ、門番長、車輪が急に動かなくなって後ろから押してくれないか」

「今日は月に一度の貴族街の店に酒を売る日なんだろ、いつもより多く積んでるんだ、任せろ!」

「そうそう、門番長は月に一度の貴族街で買ってきてくれるお土産を楽しみにしているんです、もちろん俺も」


 リベラは私の方を見て頷いた、私はバレないように門番達の横を通り街に向かって走った。


 街はすでに人で賑わっていた。私は人とぶつからないように気をつけながら人混みをすり抜け、家に着いた


「父さん、母さんごめん何やかんや会って遅くなった」


勢いよく裏口の扉を開け、2人を探した。しかし2人の姿が見えず、急いで制服に着替えて店の方へ歩いた。店の方から父さんの声がした、誰かと喋っているからお客さんかとチラッと顔を出すと騎士が尋ねているところだった


「なんで、騎士の人が花屋に・・・まぁ、恋人に花でも贈るんでしょ」


 そんな、軽い気持ちでその時は流していた

その時の私はそんな軽い気持ちでことの重大さを理解できないでいた


騎士が店からいなくなると私は父さんに聞いた


「父さん、さっきの騎士の人何の花買って行ったの?」

「おう、遅かったな心配したぞ。何にも買ってはいかなかったよ・・・」


 父さんは朝からなんだが疲れた様子だ。騎士の人と何を話したのか気になるが私は早いところ母さんに薬草を、と思い薬草の入った袋を開けるとあの騎士に飲ませた回復薬の瓶と瓶の中に入ってる薬草を見てうっかり父さんに話してしまった


「父さん、騎士といえば私森の中で騎士にあったよ」

「うん〜? 寝ぼけてたんだろ、騎士があんな魔物だらけの森にいるはずないだろ」


 父さんは私が見間違いをしたのだと決めつけている、なんだか、私が成長するにつれ父さんの性格というものがつかめないのだ。


 昔、母さんがまだ足を怪我する前に聞いたことがある。その日は、街のお祭りで父さんは飾り付けとパレードの手伝いの為、一緒には周れなかった。母さんとランタンの光の中を歩いているのが薄っすらとしか覚えていない。


▷


 この街の祭りは夜に行われる。オレンジ色の炎のランタンが宙に浮き、見ると不思議とジャンプしていた


「フォリア、父さん見つかった?」


 後ろを振り向くと母さんが立っていて迷子にならないように手を繋いでくれた


 大きな肉串を私には大きすぎるからとわざわざ、屋台の人に言って小さくきってもらって、父さんの部屋で見つけたサイコロくらいの大きさになってしまって、がっかりした。私は母さんと全く同じものを食べたかった


 頬を膨らませ、母さんの方をじっと見て怒った

他にもいろんなものを小さくしてもらって、損をした気分だった。母さんから見るとその顔が愛らしくて仕方ないのだろう


 だけど、歩き疲れて寝しまって起きた時には母さんの背中にいて起きたことに気づいた母さんは肩車をしてくれた。今更、肩車で許して貰おうなんとムッとした


「ほら、フォリア前見てごらん」


前に顔を向けると眩しくて薄目になってしまいゆっくりと目を開けた。すると、今まで人混みで見えなかったパレードが遠くまで見えた、私に母さんが見ている景色より高い景色を見させてくれた


遠くまで綺麗でキラキラしていた


▶︎


母さんは今はベットから出ることはできない、だから今は花飾りやお金の管理をしてくれている


この店は母さんのお父さん、私のお爺ちゃんが初めた店で父さんと出会って後を継いだ。お爺ちゃんは平和主義で父さんの前の仕事にかなり悩んだらしい


▷


 白い髪に白くて長い髭の老人で街の子供達が髭で遊んでも怒らなかった人だ。隣が酒場でよく父さんと話をする為に使っていたらしい、後、酒の飲み比べで誰もお爺ちゃんには勝てなかった


(ぐっぐっぐっっっ)

「ぷはぁぁぁ!!なんだ、お前達もうおしまいか?」


 お爺ちゃんはすごい酒豪だった、10人以上と飲み対決をしても顔色一つ変えなかった

 そんな、お爺ちゃんをいつも止めていたのが父さんだった、母さんにバレないうちに店に戻るように説得するがいつも失敗して母さんが2人を引きずりながら帰って行った


そんな、お爺ちゃんも母さんが怪我をするずっと前に亡くなった。皆んな、もう飲み対決ができないと泣いていた


亡くなる何日か前、私がお爺ちゃんと遊んでいた時


「おじいちゃんはなんでおしゃけがすきなの?おいしいならのんでみたい!」


笑いながら頭を撫でてくれた、大きな手で頭をすっぽりと覆ってしまう大きさだったが怖さと言うより優しさの塊みたいだった


「フォリア、にはまだ早いな少なくともわしには勝てないよ」

「かつよ!つよいよ!!」


▶︎


夜になると外に置いてある花や看板を店の中にしまった。酒場は賑わっている声が聞こえる、普段はリベラに会う為顔を出すが明日にならないと戻ってこない、明日が楽しみだ


[酒場]


昼の門番達が仕事終わりに飲むのが日課だ


仕事終わりの気の抜けた声と酔いが回って顔が赤くなる門番達


「そういえば、今、王都で聖女を探してるんだと」

「聖女?なんでだ、今、聖女様?・・・なんの話だ?」

「今の聖女様が歳で亡くなられて、今、王都や街の騎士達が聖女を探してるんだと」

「そんなの俺たちに関係ない!関係あるのは疲れを癒す酒だ!!」


時間は遡りフォリアと別れたリベラの馬車は王都の貴族街へ向かっていた



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