初登校の日
今日は魔法学校初登校日である。目が覚めるといつもと違う場所だと改めて認識する
服屋で仕立ててもらった魔法学校の制服に着替え鏡の前に立つ。鏡に映ってる女の子は街娘でもない魔法学校の生徒だ
リベラは鏡の自分の目がこちらに力強く見られている事に気づいた
部屋の扉が叩かれ、扉を開けると先生らしき人が迎えに来てくれた。先生についていき、部屋を出た
廊下の窓を歩きながら外を見るとここが別世界に見えた
先生が教室に入るリベラは呼ばれるまで壁に背を当てながら待った。その時間は長いようで短かった
「リベラ」
名前が呼ばれ教室に一歩踏み出した。教卓の隣に立つと自己紹介をした
「初めまして、リベラと言います。今日からよろしくお願いします」
自己紹介はなんの問題もなかった、問題なのはこのクラスの態度だ
「今日からって俺らは苦労してこの学校に入ったのに」
「それも、試験も何も受けてないって」
この魔法学校に入るなら本来、試験を突破して入るものだがリベラは騎士の推薦で入ることなったので疎ましく思われているようだ
その中の1人が席を立ち実力が知りたいと言って来た。それは波のように周りの人へと伝わりクラスの半数が言い出した
先生は呆れて皆をある場所へ連れ出した
着いた場所は学校の中庭にある大きな湖だった。試験の中にもある飛ぶ魔法をやらせる事になったらしい
「この湖を制限時間以内に周れば本来の試験と同じだ」
(これ、本当に湖なのか?向こう岸が見えない)
それくらいなら簡単だと思ったリベラ。しかし、それに加え往復して戻ってくる事が追加された。騎士の推薦で入学したのならこれくらい簡単だと言うわけだ
リベラは笛の合図と共に湖の上へ飛び出そうとした。しかし、いきなり何かに躓いてしまい転んでしまった。足を見ると地面からツタが生えてリベラの足に絡まっていた。生徒達を見ると杖をこっそり向けている、どうやら妨害する生徒もいるようだ
「どうした?早く行かないのか」
先生がリベラに言うとツタを振りほどいて、湖の上へ飛び出した。今ので数秒無駄にしてしまった、湖の上を高速で飛んでいると背後から何かが飛んできた。振り返ると何人かの生徒がリベラの後を追いかけていた、他の生徒も魔法で妨害をはかっいるみたいだ。
「面倒だな・・・」
リベラは体を捻ったり動きにフェイントをつけたりして、避けた。湖を一周した。制限時間まであと少し、折り返し地点に着くと遠くにある校舎の大きな時計を見た
「残り5分か・・・」
5分でまたスタート地点に戻るとなると時間を大幅に超えてしまう。生徒の何人かが呟いているのが聞こえた
「あれじゃ絶対無理だな」
「大した事ないな」
再び折り返すと目の前に魔法が飛んできた
リベラは軽くかわすと飛んでいる生徒達の隙間を通り抜けた。その速さはさっきまでの速さではなかった。さっきよりも早く飛んでいった。皆、目を点にして見ていた、仕方がないさっきの速度が全力ではないのだから
「速すぎる・・・」
残り時間2分のところでリベラはスタート地点に着いた。到着して数秒後に強い風が吹き湖の水が大きく何かにえぐられたかのように一瞬なくなり、それを埋めるかのように波が起こった。波は高く跳ね上がり、リベラや生徒達に強い雨のように降り注いだ
「これで満足してくれた?」
リベラは濡れた髪を手でかき上げて言った
中に悔しがっている者もいるが中には拍手をしてくれる者もいる教室に戻ろうとしたところで先生がふた呟いた
「そういえば、今日は魔力の測定の日だったな」
教室に戻り、教卓に魔力測定の道具を置くと生徒達が魔力測定器に手を置いた。リベラは魔力を測ったことはなかったのでどんなものか不思議そうに見ていた
「次、リベラ」
名前が呼ばれると手を魔力測定器に置いた
魔力は2000から中級魔法使いレベル、3000を超えれば上級魔法使いと言われている。魔法学校1年生の平均生徒の魔力量は100〜800くらいと言われている
魔力が少しでもあれば魔法学校に通うこともしくは魔法の資格を取ることが義務なのだ。
それを聞いたリベラはどのくらいの数値が出るか少しワクワクした
(妨害もあったけど無事に湖を往復できたから300、良くても400くらいあったら嬉しいな)
魔力測定器は時計のように数が割り振られていて針が何周してどこで止まったかで決まり、それが水晶玉に映し出される
リベラがそう思っていると魔力測定器の針がぐるぐる回り始め水晶玉に4370と数学が出た
「え?」
リベラは目を大きく開け心の中で思った
(ウッソでしょ!?さっき先生が説明してくれた数字、思いっきり超えてるんですけど)
先生の方を見るとつまらなそうな顔で呟いた
「ふ〜ん、珍しいな」
その日はすぐに寮の部屋に戻った
床に倒れ込み口をぐっと閉じて叫んだ。それもそうだ、今まで魔力なんて数値化したことがないし街の中で魔法はよくよく考えれば使ったことがない。いつも、魔物や魔族と戦う時にしか使っていなかったから
その時、扉が叩かれてリベラは驚き立ち上がった。もしや、クラスメイトが来たのではと。扉をゆっくり開け隙間から扉を叩いた人物を見た
「ノクスさん!」
「何やってんだ、それより今いいか?」
ノクスは箱を持ってやって来た
「初登校はどうだった」
「なんか、どっと疲れた」
「すごい顔だな・・・」
すると箱を渡して来た、どうやら寮が決まったので服屋からローブが届いたようだ
今いる寮は一般人いわゆる平民が住む寮で他にも2つ程寮があり、成績優秀者が住む寮,名家など家柄が良い者が住む寮
リベラは箱を開けると黒いローブが出て来た。どうやらこの寮のローブは黒色らしい
ちなみに優秀者の寮のローブの色は暗めの緑色で名家達の寮は白色らしい
「そういえば、今日は何をやったんだ」
この顔、おそらく想像しているのは良い知らせなのだろう
「湖で追い駆けっこして、後は魔力測定くらいで」
「駆けっこ?それは後々で聞くにしてもそうか、今日だったな魔力測定」
リベラの顔が曇った
「4370って出ました」
「えっ?」
(まぁ、そうだよねそんな顔になるよね・・・)
「いや、さすが聖女候補者、魔力が高いのはわかっていたが思っていた2倍高かったな」
「なんで、魔力が高いってわかったんですか?」
どうやら、聖女の石を持った中でも光が飛び出して形を変えるのは魔力が高い人らしい。リベラの他にも何人か同じようなことが起きて、その全てが2000以上を超えているらしい
その時だった、窓からバンバンと音がして、振り返り見ると枯ら煤が窓を嘴で叩いていた。窓を開けると枯ら煤が部屋の中に入りぐるぐる部屋の中を飛び回った
「これはいったい?」
「枯ら煤だ!?魔力は魔物の魔力だけど・・・」
枯ら煤はリベラの手に乗り、体の形を変えて文章を浮かべた
「何が書いてあるんだ?」
言った瞬間、リベラは膝から崩れ落ちた
「どうした!?しっかりしろ!?」
リベラの前に立ち肩を掴み軽く揺すった。すると、リベラの手がノクスの騎士の制服を掴み泣き崩れた。リベラ達の街が壊滅した事が今届いたのだ
聖女になって、街のみんなに再び会う目的が一瞬にして音を立てて崩れていってしまった。
「みんな、いなくなっちゃったよっ、どうしてっっ」
ノクスはそんな姿を見て、ある行動に出た
「お・ち・つ・けぇぇぇ」
なんと頭を後ろに反らしたと思うと床に力一杯の土下座をしたのだ。リベラはその姿に驚いた
「見覚えあるだろ、この土下座、お前が聖女候補だとわかった時に俺にやった土下座だ」
それがなんなのだと言うのか、ただの土下座なのに
「俺はあの土下座をされた時、驚いたと同時に聖女騎士としての確実にお前を聖女候補として認めさせないといけないと言う役目を一瞬忘れさせてくれた。それは目の前にいるのが聖女候補ではなくリベラと言う1人の女の子である事を改めて分からせてくれたからだ」
「なに言ってるの・・・いまは、そんなの」
「今のお前もこの行動を見て一瞬、驚いて目の前に何が見えるのか変わったはずだ」
それはリベラの心に強く響いた。確かに目の前の暗闇が一瞬、目の前にいるノクスに変わった。今、本来見えているものに変わった
リベラは落ち着き何が書かれていたのか話した
「なるほど・・・書かれているのはそれだけか」
確かにリベラは最初の文しか読んでいない続けて読むとまた、涙が出て来た
「待て、もう、よまな」
「違うのこれは嬉しいから・・・だから出ている涙」
文の続きはフォリアがアウローラ騎士団に入り閉鎖された王都までの道を必ず通る立場に立つ。それまで、王都で待っていて欲しいと言う内容だった
立ち上がると机の引き出しから煤を取り出し枯ら煤を出した。リベラの伝言を枯ら煤に託すと枯ら煤は暗い夜の中を飛んでいった
リベラは嬉しそうな表情で目の周りを少し赤くして街があった方角と枯ら煤を見ていた




