アウローラ騎士団、入団試験
私は母さんの冷たくなった手を両手で握りしめた
「父さんはどこ行ったの?・・・母さんだけ置いていくなんて」
母さん以外に家の中から遺体が見つかることはなかった
「おい!そこの君ここで何をしている」
後ろから声がした
振り返ると水色の騎士団の制服を着た男が立っていた。そのほかにも数人の騎士が街の中を確認して話し合っている
「ただの火事じゃねえな」
「そうだな、人も皆殺し状態だ」
私は立ち上がり言った
「魔族だよ・・・私の街も家もみんな魔族に・・・」
そこに他の騎士とは違う雰囲気を纏った騎士が近づいてきた。すると、他の騎士達が一斉に敬礼をした
「敬礼は今はいい。それよりお前、魔族と言ったがそれは本当か」
「本当です。魔王軍の幹部の配下って言ってましたから・・・」
すると皆の空気が変わった、ならなぜ君は助かったのかと言いたげだ。それはそうだ街が全焼して、こんな小娘1人だけ生き残ったのだから
「隊長、今戻りました」
「どうだった、近くに住んでいたドワーフ達は」
「全員無事です。それと、フォリアと言う女の子が街に向かったと言っていて、ベージュの髪の毛で長い三つ編みをしていて紫色の目をしているとのことです」
そっか、ドワーフの皆んなは無事だったんだ。私はそこから意識が無くなった。魔族との戦闘による疲労と母親の遺体を見たことによる精神的な負担、ドワーフ達が無事だった安心感が一気に体に伝わったみたいだ
目を覚ますと知らない所で寝ていてベットの中だった、周りを見ると雪がまだ溶けていなかった
「ここどこ?」
その時、部屋の扉が開いた。一瞬身構えたがさっき私に話しかけた騎士だった
「あぁ、起きたんだ。体は大丈夫そう?」
騎士はパンとスープを持ってきてくれて私の前に置いた
「ごめんね、看病するなら女の人同士がいいと思うんだけど、今、うちの団に女性はいなくて、僕がわかりにやることになったんだ」
「ありがとうございます・・・」
窓の外を見ると思うのは街はもうないと言う事だけだった
「・・・ちなみにここはアウローラ騎士団、第2騎士団の建物の中で君がいた街のさらに北にあるんだよ」
「そうなんですね・・・」
「今から君に言わないといけないのだけど君の家族や友達はみんな亡くなってしまったと思う」
「!」
「全焼の中ほとんど燃えてしまったことと、魔王軍の幹部の配下が来ていたと言う君の話・・・残念だけど」
話を聞くと涙止まらない、手で何度も拭っても目から溢れ出す。私は再び皆んなのことを思い出した
(母さん、父さん、常連のお客さん、リベ・・・)
いや待てよ、リベラは王都に向かって魔族の襲撃は受けていない。私はそれを思い出すと騎士の肩を掴んだ
「お願いします。王都まで連れていってください!友達が幼馴染が王都にいるんです」
「王都!?それはできないよ」
(なんで・・・)
「君がいた街は北の地方の中でも1番王都に近い街だったんだ。だから今は一時的に王都との道を全て通れないんだ」
そんなことになっているなんて、私はまた暗い顔になってしまった
「いつになったら通れるようになりますか・・・」
「魔王軍幹部の配下ともなると簡単には通れない、魔族を倒すしか」
「そう・・・ですか」
「今通れるのはアウローラ騎士団の団長達、それと王都にある騎士団だけです」
私は思い出した森で会ったあの騎士のことを
「王都の騎士なら通れるんですよね」
「うん?そうですが・・・」
魔族の行方がわからない今、王都に行く方法はこれしかない
「王都の騎士になるにはどうすればいいんですか」
騎士は驚いて言い返した
「君!王都の騎士になって幼馴染と会う気ですか!?」
私は頷いた
「君には無理です。騎士になるのはそう簡単ではありません、それも王都の騎士となると」
「構いません、私は絶対に王都に行くんです!」
「そもそも、王都の騎士団に平民がなるには王都以外の騎士団に入り、実力がある者だけが王都の騎士試験を受けられるのですよ!?」
その時、外から複数の声が聞こえた。窓の外を見ると何かをしているようだった。窓の外を指さして尋ねた
「あれは何をしているんですか?」
騎士が窓の外を見ると言った
「あれは今年の騎士団試験ですね、そうか街のこともあって試験事態遅れたのか」
それを聞いた私は窓を開けていた。冷たい風が一気に部屋の中を冷たくした、騎士は驚き、私は窓から飛び降りた
「それではこれよりアウローラ騎士団入団試験をはじめ」
開催の言葉が終わろうとした時、空から女の子が雪の上に着地した
いきなり降ってきた女の子に他の受験者達も驚きを隠せない
「飛び入りですが私も入団を希望します!」
他の受験者達の中には驚きや嫌味を言う人達もいる
「飛び入りってあいつ騎士を舐めてるだろ」
「そうだな」
「女の子って危なすぎるだろ、今すぐ辞退しないと最悪死ぬぞ」
その時、開催宣言をしようとした騎士が場を沈めた
「静粛にしろ、たとえ飛び込みだからと言ってこの試験は甘くない命を落とす覚悟があるものだけ口を閉じろ」
その言葉で皆静まった
「それでは、アウローラ騎士団入団試験を始める」
試験の内容はD~C級の魔物を討伐して持ってくること、2つ目は騎士との模擬戦闘で決まる
皆んなが一斉に散らばると私は取り残された、私は街の北側の地に来たことがないのでどこに魔物がいるかわからない、ひとまず私は森の中に入った
周囲の魔物を何匹か討伐したもののあたり手応えと言うものがないそう思いながら歩き進むと氷塊ツノ大トナカイが現れた突進してきてかわすと大木を頭突き一発で折った大きさは普通のトナカイの3倍程度、私は氷塊ツノ大トナカイの上に飛び込みツノを足で叩き折り剣を刺して倒した
すると討伐終了の鐘が鳴り皆会場に戻ってきた。試験管に討伐した魔物の一部を渡しそれぞれ結果言った
「C級の魔物討伐合格、D級の魔物合格、C級D級、最後に君かどんな魔物を狩ったんだ飛び入りだかなんだか知らないがせいぜい弱い魔物を倒してきたんだろ見せろ」
私が氷塊ツノ大トナカイのツノを見せると試験監督の1人の顔がみるみる青ざめた
「ひぃぃぃぃ、お前それをどこで見つけた!?」
「いえ、見つけたのでなく倒したんです」
「嘘をつくな、これは氷塊ツノ大トナカイのツノじゃないかS級だぞ!」
(えっ?そうだったの??)
最初の試験が終わると最初の半分の人数になっていた次の模擬戦闘試験は明日行われるのでその日は解散した
私が部屋に戻ると部屋の中で鬼のような顔つきで私を待っている騎士が待っていた
(やばい、どうしよう、今戻ったら怒られるかも今戻るのはやばっ)
私はまた倒れた。目を覚ますと鬼のような笑顔で私の隣に騎士が座ってた
「また倒れていましたよ」
「すっ・・・すみません」
まずはご飯を食べなさい、食べないまま飛び込みで試験なんて倒れるに決まってます。
確かに・・・わざわざまたベットまで運んでくれていて世話しかかけていない
「はい、あ〜ん」
「?、いえ自分で食べられます」
「自分の手をよく見なさい」
手を見ると何故か包帯が巻かれていた、怪我をしたと思ったが原因は氷塊ツノ大トナカイのツノを素手で触ったせいだとわかった
氷塊ツノ大トナカイのツノを素手で触るとしばらく手が動かせなくなるそうだ
「だから君は今手が使えないから食事が自力で食べられないのです。食べないのですか?」
「なんか・・・ちょっと恥ずかしいと言うか」
その時、お腹が鳴ってしまいもっと恥ずかしくなった。
素直にご飯を食べさせてもらいお湯で手を温め続けた
次の日、模擬戦闘試験の時には手を自由に動かせるようになっていた。
「それではこれより模擬戦闘試験をはじめる」




