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英国式リストラ!  作者: 陸 なるみ


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4/6

自主的なリストラとは

 

 さて、同僚みんなは理解できている「自主リストラ」なるもの、私1人が蚊帳の外状態だった。


 どうしてみんなは前向きに「自主リストラ」を検討しているのか?

 リストラなんて、「お前は辞めろ」と言われるのをビクビク待つだけじゃ?


「それで、リダンダンシーペイアウトっていくらくらいなの?」

「一週間の収入掛ける勤続年数だね」


 という会話が聞こえて「ちょっと待ったーーーー!」となった。


「リダンダンシー redundancy 」という英語が日本語では「リストラ」に当てはまる。

 会社のリストラクチャー、再編成の末にどうしようもなく解雇されるのがリダンダンシーという単語。

 日本ではそれが端折られてリストラの一語になってると思う。


 でも問題は「ペイアウト」の方だ。

 お金がもらえるらしい!

 会社の都合で解雇されるんだから普通か?

 でも失業手当は別途もらえる。

 おお、それは要チェックだ!


 私はおずおずと訊いてみた、「自己都合で辞めたら何ももらえないよね?」

「オブコース・ノット」

「退職金って無いんだっけ? 定年退職でも?」

「退職金? 聞いたことねーよ。時計とかマグカップとかが記念にもらえるくらいだろ」


 わっーーそうだった!

 離職してまとまったお金がもらえるチャンスなんて、このリストラでしかないんだ!


「会社太っ腹だね?」

 と言ったら爆笑された。

 リストラされる従業員みんな(この時点で最高65人、最低でも20人だとわかっている)に「リストラ見舞金」を出す余裕があるなら、そもそもリストラになんてなってないだろう。


「出すのは国だよ」

「そ、そうなのーーーー?!」

(とある動画シリーズの、ずんだ○んみたいな反応の私)


「おそらく俺らが払ってきた国民保険が財源」


 ああ、そうか、そうだよね。

 この国民保険が産休、育休など、そしてみんなの年金になるんだもんね。

 イギリスの基本的医療は無償っていうナショナルヘルスサービスの財源にもなってると聞く。

(財源と使途がどこまでひも付きかはわからないけど)


「えっと、週給掛ける勤続年数って言った?」

「うん、そうらしいよ」


 何それ、どういう計算式?

 年収の何割とか月給の何ヵ月分でもない。

 過去12週間の、週ごとにもらってる収入の平均だって。

 ???


 イギリスなぜか、週給が話題になる。

 転職した知人が「今じゃ週給○○○ポンドももらってるよ」なんて言う。

 昔、労働者に週末封筒でお給料を払っていたって聞いたことあるけど、そのせい?


 公的年金の高さ安さを判断するのも、ニュースで1週間当たりで話すんだよね。

 1週間分まとめて買い物する人が多いせいもあるかも。

 それだけ実感を伴うのかな?


 しかし、それって得じゃね?

 健康上の理由で時短勤務させてもらっていて、勤続年数ばかり長い私。

 冬体調を崩しがちなので、夏は長めに、冬は短めに働き、年間勤務時間で辻褄を合わさせてもらっている。

 春からの平均週給は冬より高いのだ。


 まさに、私のためにあるような計算式!


 その場でGOV.comというお役所サイトを開く。

 これがまあ、わかりやすくて使いやすくて、大層助かっている。


「イギリスに住んで働いていい証明の仕方」

 とか

「家族が亡くなってしまったら」

 とか

「失業したら」

 とかが手順を追って懇切丁寧に説明されている。

 夫との死別後もろもろに対応できたのは、相続も死別お見舞金もここに全部書いてあったから。


 いつも必要項目をググったら該当部分が出てくるので、全体がどれほど大きなサイトなのかも知らないけど。


 今知りたいのは、英国政府はもしもの時に、いかほど私にリストラお見舞金をくださるの?


 いつもながら、どういうシチュならもらえるか、もらえないかの細かな規定がある。


 まず、勤続年数2年以下は対象外。

 勤続年数の上限は20年まで

(24年働いていても考慮されるのは20まで)

 22歳未満は平均週給の5割

 22歳から41歳未満が平均週給

 41歳以上は平均週給の1.5倍


 金額の上限は22530ポンド 約450万円

 すげぇ。

 それも免税、丸々もらえるらしい。


 とはいっても私のは大したことない。

 週30時間程度しか働いていないし、時給は最低賃金にちょびっと色がついたくらい。

 政府が最低賃金を上げる度に、ジリジリと追い付かれそうになる。

 庭園ってほとんどがチャリティー団体とか財団になっているので、庭師稼業ってほんと低収入なんだよ、自営業でやる以外はね。


 私の場合、今の年収の6割分くらいいただけることがわかった。


 この「リストラ見舞金」は、自主リストラでも強制リストラでも金額には変わりないので、もしもの時にすぐさま路頭に迷うわけではないとわかりホッとした。


 こんな制度があるってやっぱり英国好き。


(人気沸騰中の極右政党が政権取ったら、外国人には生活保護無しにするって言ってるけど、こういう労働者の権利的制度は残して欲しい~。日本の生活保護も似たような問題で揉めてるみたいだね)



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i1275698
かぐつち・まナぱ様作成
― 新着の感想 ―
よその国の制度ってまったくわからないので、すごく勉強になります。 しかし、ストレスがたまるでしょうね。 どうかお身体ご自愛ください。 ずんだも○に反応してしまいました(笑)。 『ぴえん』『ふっざけん…
英国には、働いてきた人を支える、そんな公的な制度があるんですね!(≧▽≦)<リストラという、どうしても暗い気持ちになりそうなお話の中で、制度の仕組みを知ることで少し先に光が見えるような、ほっとする気持…
いい制度ですね。働いてきた人をちゃんと救済するのはいいことですよね。 働かなくても半年くらいは生活ができる計算ですね……。
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