第7話【これが姉妹喧嘩……なのかしら?】
放課後……
「く、黒川さん♪ 一緒に帰りませんか……?」
……帰宅後。
「黒川さん、お帰りなさい」
……夕飯時。
「黒川さん、ご飯ができました!」
夕食後……
「黒川さん、お風呂が沸きました!」
その女は私の部屋に入って来て、懐いたポメラニアンみたに笑顔を振りまきながら「黒川さん」「黒川さん!」「黒川さん♪」「黒川さん」とニコニコしながら顔を近付けて……
「黒川さん、先にお風呂に――」
「お前はわざとやってるのかぁああ!」
「あいだだだだ!? 黒川さん、アイアンクローはやめてくださいぃい……っ!」
そして、懇願する百合を床に正座させて、私は腕を組んで彼女を睨みつけた。
「く、黒川しゃん……何で怒るんですか……」
「家族なのに、家で苗字呼びはおかしいでしょう!」
「でも、黒川さんが……」
「このおバカ百合女! 家ではお父さん達が気にするから名前で良いって言ったでしょう!」
「うぅ……そんなこと言われても、器用に呼び方変えるのできないです……」
「貴方ねぇ……不器用すぎじゃないの?」
本当に……何でこんな女と一緒に暮らさないといけないのかしら。
まったく、せっかく湧いたお風呂が冷めちゃうじゃない。
「まぁ、良いわ。お風呂に沸いているのよね? 私はお風呂に入るから……」
「は、はい! どうぞ、ゆっくり入ってください!」
そこで、私は部屋を出ようとする足を止めて……笑顔で「いってらっしゃい」をする百合の顔を見て言った。
「因みに、だけど……百合、貴方は風呂どうするの?」
「ふぇ? お風呂は昨日入ったから今日は良いかなと……」
はぁ……そうだった。
コイツは二日に一回しかお風呂に入らない風呂キャン女だった……。
「またアイアンクローされたくなかったら、一緒にお風呂に入りなさい!」
「ふぇ……ぇええええええ!?」
そして、私は百合の頭をアイアンクローで掴みながら、彼女をお風呂場へと連行するのだった。




