第4話【女同士なのに、身の危険を感じる……】
……ヤバイ奴が家族になったかもしれない。
「まったく、鼻血なんて……今どき小学生でも流さないわよ……」
「は、はい、すみましぇん……」
パパ……お父さんの再婚相手の娘が……百合女かもしれない。
少なくても毎日風呂に入らない風呂キャン女なのは確定しているだけでかなりヤバイ。
「貴方……」
「……はい?」
てか、胸でかいわね……この百合女、私の二、三倍くらい胸あるじゃない……。
いや、この私の胸が小さいということじゃないのだけど……むしろ、この百合女の胸がデカすぎるのよ!
「えっと……どうしましたか?」
「っ!? な、何でもないわよ」
な、何よこれ!
こんなの……まるで、私が百合みたいじゃない!?
百合なのはあの鼻血女で、私は決して百合なんかじゃないんだから!
「うぅ……」
でも、何か顔が赤くなってきた気がするし、こんな顔見られたらこの百合女にどんな誤解されるか分かったもんじゃないわね。
「か、髪の毛洗うわよ! 前を向きなさい!」
「わ、わぁ……髪の毛くらい自分で洗えますよぉ?」
「嘘ね! 二日に一回しかお風呂に入らない奴の言葉は信じられないわ!」
「し、しょんなぁ……」
まったく! 理由はどうであれ、この私自ら髪を洗ってあげるって言っているんだから感謝しなさいよね?
すると、何がおかしかったのか、百合女が「フフ」と笑みをこぼした。
「な、何よ……?」
「いえ、その……」
そして、百合は何かを懐かしむかのようにこう言った。
「お母さんみたいだなって思って……」
「お母さん……」
いきなり現れたその言葉に私が固まると、その反応を感じたのか、百合女が気を使うかのように訊ねてきた。
「もしかして、お母さんって言葉……嫌でしたか?」
「……いいえ」
別に、その言葉が『嫌だ』というわけでは無い。
だけど、私の母は――
『お風呂くらい一人で入れるでしょう? ママはお店で忙しいの……』
それに比べたら、新しいお義母さんは……
『今日から、四人でこの家で暮らすことになるけど、大丈夫かしら?』
『二人とも、何かあったら、お父さんとお母さんに言って良いからね』
「貴方のお母さんは……優しいのね」
「……はい」
私がそう返すと、何かを察したのか、百合はそれ以上何か言葉を返すことはなかった。
なによ……風呂キャン百合女のくせに空気なんか読んで……
「…………」
「…………」
本当に……ムカつく……。




