第21話【お友達……ですから】
翌日、優花さんと少し仲良くなれた気がするわたしは学校でも優花さんと仲良くできるのは? と思い優花さんに話しかけてみました。
「優花しゃん♪ お義姉ちゃんがよちよちしてあげますよ♪」
「桜井さん……ちょっと、こっちに来てくれるかしら……?」
その結果……
「学校でその呼び方するんじゃないわよォオオオオオオオオ!」
「あだぢだだ!? 優花さん、アイアンクローは止めてください~っ!」
速攻でシメられました
……おかしいですね。
昨日の夜はあんなに甘えんぼさんになってくれましたのに……。
「――ということなんですが、流子さんはどう思います?」
「どうっていうか……何でこんな話をわたくしに相談されているのか意味がわからないですわね」
昼休みに流子さんの教室に相談しに来たわたしを、流子さんは困った顔で見つめてそう言いました。
「だって、わたし……お友達が流子さんしかいないんです」
「ちょっとお待ちなさい。わたくし、貴方とお友達になった覚えはありませんけど?」
「でも、わたし……りこちゃんに、お友達だって答えてしまいました」
「……わたくしの知らないところで、妹にでたらめな情報を教えるの止めてくださる?」
そうは言われても、あんな可愛いりこちゃんに「お姉ちゃんは友達じゃないんですよ~」なんて言えるわけ無いじゃないですか……。
すると、流子さんがわたしに質問をしてきました。
「というか……あなたと黒川優花はそういう関係ですの?」
「そう言う関係……ですか?」
言われた意味が分からなくて、わたしが聞き返すと、流子さんは何か恥ずかしそうにしながら周りに聞こえないような小声で言いました。
「で、ですから……一緒に寝るような……関係ですの!」
「……あっ!」
『いい? 私達のことは学校では秘密だからね?』
そう言えば、わたしと優花さんが家族で一緒の家に住んでいるのは秘密にしなければいけないんでした!
バレたら優花さんに怒られてしまいます!
でも、これはどう誤魔化せば……
「えっと……わたしと優花さんは秘密の関係なんです!」
「ひ、秘密の関係!?」
「だ、だけど……学校では隠さなくちゃいけなくて……」
「そ、それはそうでしょうね……」
「だから! ここ、このことはだれにも言わないでください!」
「そんな話、何でわたくしにするんですの!?」
「る、流子さんは……お友達ですから……」
「――っ!? べ、別に……貴方とは友達でもなんでもないですわ!」
そう言うと、流子さんは何故か顔を赤くして教室の中に戻って行ってしまいました。
「あ……」
そういえば、流子さんに借りていたジャージを返しに来たんですが、返すタイミングを失ってしまいました。
まぁ、しかたないので放課後にまた返しに来ようと思ったんですが……
「流子さん、もう帰っちゃったんですか!?」
放課後、改めて流子さんのクラスに行くと、既に流子さんは教室にはいませんでした。
せっかく、帰りのHRが終わってすぐに来たのに無駄足です。
「一応、優花さんにメッセージを送ってと……」
仕方ないので、そのまま流子さんのジャージを腕に抱えて学校を出ようとすると――
「青井流子はどこだぁ!」
「山田三兄弟が出て来てやったぞ!」
「この前のお返しじゃゴラァ!」
……なんか、バットを持ったモヒカンの男性と、その子分二人みたいなのが校門の前で騒いでいました。
あの制服は……
『ザコって言ったんだけど……聞こえないの? 偏差値12の座南高校の連中が……アンタらなんて略して『座高』……つまり、ザコよ』
そうです! 流子さんがこの前、河川敷でぶっ飛ばしていた男の人達と同じ制服です!
そんなことを思い出しながら三人のザコさん達を見ていると、目が合ってしまいました。
「ワレ、何見とんじゃあ!? コラオラァ!」
「あ、兄貴!? あいつのジャージ見てくだせぇ!」
「あん? 青井やと……お前が『青井流子』か? ごらぁあ!?」
兄貴と呼ばれたバットを持ったモヒカンの人がそう言って、わたしに近づいてきたので、わたしは思いっきり顔を横に振って答えました。
「ふぇええええええ!? ち、違いますぅぅう!」
「じゃあ、このジャージはなんじゃワレ!?」
「それとも、お前、青井の友達か?」
「そうだ! 兄貴の質問に答えろや!」
「と、友達……」
一瞬、友達と言われて、今日の流子さんとの会話が頭によぎりました。
『る、流子さんは……お友達ですから……』
『――っ!? べ、別に……貴方とは友達でもなんでもないですわ!』
ここで白を切るのは簡単です。
……それに、わたしは優花さんとも約束をしました。
『分かったら『今後危ない真似はしない』って約束しなさい』
『百合は……私のこと裏切らないでね』
だから――
「はい、流子さんはわたしのお友達です」
帰ったら、また優花さんに謝らないといけないですね。




