第17話【知らない女の匂いがする……】
百合の奴が他の女と風呂に入って帰って来た。
「ゆ、優花さん……何か怒っていますか?」
そう言う百合から知らない石鹸のような香りが飛んで来る。
『このジャージも流子さんのものです』
……これが、あの女の匂いなのかしら?
「……フン! 別に、怒っていないわよ!」
なによ! 私以外の女とお風呂入って来たくせに!
この浮気百合女!
女なら誰でもいいって言うの!?
「百合、私お風呂に入って来るから」
「あ! なら……わ、わたしも――」
「アンタはもう入って来たんでしょ!」
「はぃい……」
そもそも、何で私はこんなことでイライラしているのかしら。
別に、私と百合はそんな関係でも無いのにね……。
「でも、何かムカつくのよね……」
そう思いながら、服を脱いで浴室に入りシャワーを浴びていると浴室のドアから見慣れたボディラインのシルエットが現れた。
「ゆ、優花さん……」
「はっ! 百合!?」
そう、百合が全裸で浴室に入って来たのだった。
って……お風呂だから全裸なのは当たり前よね……なのに何で私は動揺しているのかしら……
「し、失礼しましゅ!」
――って、百合。アンタも動揺しているんじゃないわよ!
「な、なによ! 何勝手に一緒にお風呂入ろうとしているのよ!?」
私が両手で身体を隠して警戒するようにそう言うと、逆に百合はたいしてその大きな胸元を隠さず堂々とした様子でシャワーを浴びている私の所に入って来た。
「えっと……優花さんが怒っているみたいなので……な、仲直りしにきました!」
「べ、別に……おお、怒ってなんかいないわよ!」
私がそう言って否定すると、百合は「嘘です!」と言って私の手を握って壁に押し付けるように詰め寄って来た。
「ちょっ! は、放しなさいよ!」
「嫌です! ゆ、優花さんが仲直りしてくれるまで放しません!」
バカ、アホ! そう言うことを言っているんじゃないわよ! 今の自分の状況を見て見なさい! 全裸で手を握って壁に押し付けられて……全部丸見え状態じゃないのよぉおおおおおおおおおお!
そのアンタの無駄にデカイ胸も私の体も無防備過ぎるのよ!
隠せ! そして、隠させなさいよ! このドアホ!
「そ、そもそも、アンタは青井とお風呂に入って来たんでしょう!」
私が無理矢理に百合の手を振り払ってそう言うと、百合は何故か『ポカーン……』とした顔をして、確認するようにこう言った。
「えーと……一緒にお風呂に入ったのは、りこちゃんです」
「……りこちゃん?」
なんか、知らない女の名前が出て来たわね……。
そう思っていると、百合が「言い忘れていました!」と言ってその女のことを説明してくれた。
「青井りこちゃん、流子さんの妹さんです」
「い、妹? それって……いくつよ?」
「えーと……いくつかは聞いてなかったんですが、まだ六才くらいの子です」
「ろ、ろくさい……」
「はい! 泥だらけのりこちゃんを家に届けたら、それが流子さんの家でわたしも泥だらけだったので、りこちゃんと一緒にお風呂に入って来たんです♪」
な、なによ。それ……
つまり、私は六才の子に、これだけイライラして――
「ちょっと待って! じゃあ、あの女と一緒にお風呂に入ったわけじゃないの!?」
「わ、ちょ! 優花さん!? こんな場所でいきなり壁ドンされたら、全部丸見えで……わわわ!」
うるさい! この百合女!
「それより、答えて!」
「えっと……はい、お風呂に入ったのはりこちゃんで流子さんでは無いです……」
「そう……なのね」
はぁ、なんか……一気に疲れたわね。
すると、その私の反応を見て何かに気づいたのか、百合が口元をニチャリと緩めて、からかうような口調でこう尋ねて来た。
「え、優花さん、もしかして……嫉妬、ですか?(笑)」
「し、しねぇえええええええええええええええええ!」
わ、私は絶対に……嫉妬なんかしてないんだから!!




