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第16話【悪かった……ですわ】



 あの後、りこちゃんをお家に送り届けると、流子さんから――



『二人共、泥だらけだし……洗っていきなさい』



 ――と、お風呂を貸していただけることになったので、りこちゃんと一緒にお風呂に入ることになりました。


「わぁー! お姉ちゃん、お胸でかーい!」

「そ、そうですか?」


 一緒に、シャワーを浴びた後、二人で浴槽に入ると、りこちゃんが抱き着いて笑顔でそう言いました。


「うん! おねぇちゃんよりも大きい!」

「あぁー、確かにそうかもですね……」


 なるほど、りこちゃんは流子さんと比べて大きいと言ったんですね。

 

 確かに、わたしと流子さんでは、わたしの方がお胸は大きいかもしれません。

 いえ、別に流子さんがペッタンコと言いたいわけでは無いんですが……



「お姉ちゃんのほうが、おねぇちゃんよりもお肉いっぱいある!」



 瞬間、無垢な幼女からとんでもなく鋭い攻撃が飛んできて、わたしの心臓が一瞬止まりそうになりました。


「ソソ、ソウデスカ……」


 ……グフッ!

 それは、きっと……流子さんが、すす、スリムなだけではないでしょうか……?



 すると、続けてりこちゃんがわたしに質問をしてきました。



「お姉ちゃんは……おねぇちゃんのお友達なの?」

「えーと、それは……」


 正直、お友達かと聞かれると難しい所です。

 同じ学校ではありますが、ついこの間まで、お互いに名前も知りませんでしたし……


 すると、その空気を感じ取ったのか、りこちゃんが悲しそうな目でわたしを見てつぶやきました。


「……ちがうの?」

「お、お友達です!」


 うぅ~、りこちゃんが、あまりにも純粋な瞳でわたしを見つめて来るので、つい『お友達』と答えてしまいました……。


 な、何故かとてもやましいことをしている気がしますぅ~っ!




 その後、りこちゃんと一緒にお風呂から上がると、流子さんが濡れたわたしの服の代わりに学校の体操着とジャージを貸してくれました。


「りこがお世話になりましたわね」

「いえいえ! こ、こちらこそジャージを貸してくれてありがとうございます……」

「それくらい気にしなくてもいいですわ。そ、それより……」

「……はい?」


 すると、流子さんは水色のハンカチを取り出して、それをわたしに差し出してこう言いました。


「ハンカチ……振り払って、悪かった……ですわね」

「あぁ~……」


 それはきっと、この前、わたしが流子さんのかすり傷についた汚れをハンカチで落そうとして、流子さんの素手で切り裂かれたハンカチのことを言っているのでしょう。

 つまり、これはその時のハンカチの代わりということなんだと思います。


「わたくし……普通の人より少し力が強いですの」

「……ですね」


 普通の人は振り払うだけでハンカチを切り裂けないです。


「ですから、普段からああいう輩にからまれることがあるのですが……つまり、あの時は巻き込んで、ごめんなさい」

「流子さん……大丈夫です! 気にしないでください♪」


 最初は怖い人かと思いましたが……今はとても優しい人に思えます。


「ありがとうございます。あと、気安く名前で呼ばないでくれる?」

「はい! 分かりました!」



 何だか……わたし、流子さんとお友達になれそうな気がします!





 そして、すっかり日も落ちて家に帰ると――


「遅い! まったく、こんな時間まで外で何していたのよ!」


 激おこ状態の優花さんが玄関で待ち構えていました……。


「えーと、お風呂入って来まして……」

「はぁ!? お風呂って何処で入って来たって言うのよ。それに、アンタそのジャージは一体……」

「えっと、流子さんの家で入って来て……このジャージも流子さんのものです」



「は……はぁああああああああああああああああああ!?!?!?」



 あ、もしかして……ちょっと、ヤバいことになったかもしれません……。



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