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第15話【わたしはお姉ちゃんですから!】



「優花さんはケチケチのけちんぼです……」


 放課後、優花さんと一緒に帰ろうと思って声をかけたら――



『優花さん♪ お姉ちゃんと一緒に帰りませんか?』

『桜井さん♪ |姉妹ごっこは一人でしてもらえる?《ブチコロスわよ♪》』



 ――という、脅迫みたいな笑顔で断られたので、一人で寂しく帰り道の河川敷を歩いている所です。

 すると、その時――


「おねぇちゃん!」


 何やら、河川敷の下の方で小さな女の子の声が聞こえてきました。

 これは……川沿いの方でしょうか?

 そう思って河川敷を降りて川沿いの道のりを探してみると……


「あ!」

「えぇーん! おねぇちゃん……」


 そこには足元が泥だらけで泣いている幼女がいました!


「うぇええええん!」

「だ、大丈夫ですか!」

「ひっぐ……だ、大丈夫……」

「よかった……えっと、怪我はありませんか?」


 見た感じ下半身だけビショビショなので川にでも落ちたのかもしれません。

 わたしは幼女ちゃんの体に付いた泥を叩きながら何があったのかを聞きました。


「一体、何があったんですか?」

「あ、あれを取ろうとしたの……」


「……あれ?」


 そう言われて、幼女ちゃんが指さした方を見ると、川の上に浮いているトートバッグが浮いていました。


 どうやら、この子はあのバッグを取ろうとして川に落ちたみたいです。


「あれ……おねぇちゃんがくれたやつなの……」

「なるほど……」


 そのトートバッグには有名なソシャゲ『原人げんにん』の有名キャラ、フリリーナとフータンの綺麗なイラストが描かれていました。


 しかし、あの様子ではもう川に浮いて使い物にはならないかもしれません。


「あの二人が、おねぇちゃんの推しカプなの……」

「そうですか……」


「おねぇちゃん、あのキャラ出すのに五万もかきん? したって……」



 この子のお姉ちゃんはもうダメかもしれません。



「おねぇちゃんとの思い出のバッグなのに……」



……だけど、この子には大事なバッグなんですね。



「分かりました……お姉ちゃんに任せてください!」

「……え?」


 わたしはそう言うと、幼女ちゃんの頭をなでてから、川の中に足を入れました。

 幸いここの川沿いは浅いのでわたしくらいの身長なら腰……いや、ちょっと胸元まで蒸れちゃいますね。


 ……でも、あのトートバッグを取るくらいならできます!


 そして、なんとか、知らないお姉ちゃんの推しカプが描かれたトートバッグを回収すると、わたしはそれを持って川から上がって幼女ちゃんにそのトートバッグを渡しました。


「これ……濡れちゃっていますけど、乾かせばまだ使えると思います」

「あ、ありがとう……でも、おねぇさんもドロだらけ……なのに、何で拾ってくれたの?」

「え、えーと、それは……」


 幼女ちゃんの質問にしばらく考えて、わたしは一つの結論に至りました。


「わたしも、お姉ちゃんだからでしょうか♪」

「……わぁ! 本当におねぇちゃんみたい!」


 その後は、二人で泥だらけの手と泥で汚れてしまったトートバッグを握りながら、お家の道を聞いて、幼女ちゃんをお家に送り届けることにしました。


「そう言えば、お名前を聞いてなかったですね」


 わたしがそう名前を尋ねると、幼女ちゃんはハイと手を上げてそのお名前を教えてくれました。


「りこ!」

「りこちゃん、ですか!」

「うん! あおいりこ!」

「あおい……?」


 すると、ちょっと古びた一軒家の前で、りこちゃんの足が止まりました。

 その家の表札には『青井』というなんか最近よく聞いた苗字が掲げてあります。

 うぅ~ん……?


「ここが! わたしのいえ! おねぇちゃん、ただいま~!」



 そう言って、りこちゃんが家の中に入っていくと、最近聞いたような女の子の声が家の奥から聞こえてきました。



「ちょっと、りこ! 貴方泥だらけじゃないですの! ごめんなさい! ウチの妹がお世話になったみたいで――」



 そして、家の中から出て来たのは『隠れ番長』で噂の……青井流子(るうこ)さんでした。



「「あ……」」



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