第14話【約束……しなさいよね】
「アンタ、本当に何を考えているのよ!」
「ふぃぃい! すす、すみましぇん……」
家に帰った後、お風呂に直ぐ入るとわたしは優花さんにめっぽう怒られました。
お風呂で怒られている理由は、お風呂場だとお母さん達に会話を聞かれないかららしいです。
『ついでに、アンタをお風呂に入れられるしね』
――って、優花さんは言っていましたけど、別に、お風呂くらい一人で入れます……。
「嘘おっしゃい! そう言って『明日入ればオッケーですぅ~』とか言い出すじゃない!」
「優花さん、落ち着いてください……どうどう」
わたしは優花さんに落ち着いてもらおうと思って、優花さんの胸を「どうどう」と胸を叩いてなだめ――
ポカン!? ←優花さんの鉄拳制裁の音
「ゆ、優花さん……痛いです……」
「アンタが胸をいきなり触るからでしょう!?」
「でも、流子さんといた時は胸を叩いても怒らなかったじゃないですか……」
「今はお風呂で全裸なんだから直で触るのおかしいでしょう!? あと、あの女の名前を出さないで!」
うぅ……別に、わたし達はもう一緒にお風呂に入る仲なんですから、そんな恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか……。
でも、小さいわりにちゃんと柔らか――
ポカン!? ←優花さんの鉄拳制裁の音
「ゆ、優花さん……痛いです……」
「アンタがまた私の胸を触ろうと手を伸ばしたからでしょうが!」
そ、そんなことないですよ……?
ただ、ちょっと、柔らかさを確認したかった……だけですもん。
「やっぱり、アンタは百合女よ! このケダモノ百合女!」
「わたしは決して百合ではないです!」
ただ、ちょっと……す、スキンシップがしたかっただけですぅ!
「そうだ! 良いことを思いつきました!」
「……何よ?」
「優花さんもわたしの胸を触ればいいんですよ。そうしたら、おあいこじゃないですか?」
「は、はぁ!?」
なーんて、冗談です。
流石に、優花さんもこんな動揺なんて――
「ばばばば、バカ言ってんじゃないわよ!? べ、別に、アンタの胸なんて私は触りたくなんて……なな、無いんだからね!」
「あはは、優花さんてば動揺しすぎですよ~? こんなの冗談に決まっているじゃないですか――」
ボカンッ!! ←優花さんの鉄拳制裁の音
「ゆ、優花さん……痛いです……」
「アンタがふざけた冗談を言うからでしょうがぁ!」
痛いですぅ……これ以上、優花さんにげんこつ食らったら頭が割れてしまいます。
そうだ! 話題を変えましょう。
「そ、そう言えば優花さんが言ってた『なんとか番長』って何のことですか?」
「アンタ、本当にウチの学校の『隠れ番長』のこと知らないの?」
「それって……流子さんのことなんですよね?」
「その名前は言わないで!」
そう言うと、優花さんが流子さんのことを説明してくれました。
「ウチは進学校だから喧嘩なんて御法度だし、学校にバレたら一発で停学なのは知っているわよね?」
「えっと……は、はい!」
「なんか今知ったような感じね……」
はい、ぶっちゃけ今知りました。
だけど、優花さんは『まぁ、良いわ』と前置きをして、その『隠れ番長』の噂を教えてくれました。
とある生徒曰く
『ウチの学校には他校から恐れられている隠れ番長がいるらしい』
またある生徒曰く
『隠れ番長はいる。他校のヤンキー三十人を一人でぶちのめしたのを俺は見た!』
そして、ある生徒曰く
『隠れ番長は女だ! だけど、メッチャ強い! バイクに乗った暴走族の集団を相手に五分で片付けていた』
そして、被害者のヤンキー曰く
『隠れ番長の名前は流子……青井流子だ……』
「――とまぁ、こんな感じで……アイツはそんな危険な噂ばっかりの危ない女なのよ!」
「でも、そんな怖い人には見えませんでしたけど……」
「貴方も見たでしょう? あの女が他校の男を一瞬で蹴り飛ばすのを」
「それは……見ました」
確かに、一人の女の子とはとても思えない人間離れした光景でした。
「だかっら、危険なのよ! 分かったら『《《今後危ない真似はしない》》』って約束しなさい」
「わ、わりました……約束します」
確かに、優花さんの言う通り今日のわたしの行動は危険だったかもしれません。
少し、反省しないとです。
「反省したらいいのよ……。まったく、今日はアンタの所為で怒ってばっかりだわ!」
「なら、マッサージすると良いですよ」
そういうと、優花さんは腕を組んで後ろを向いたので、わたしはチャンスと思って、優花さんの胸を後ろから鷲掴みに――
ポカン!? ←優花さんの鉄拳制裁の音
「ゆ、優花さん……痛いです……」
「アンタが胸をいきなり触るからでしょうが!」
うぅ、優花さんの方がよっぽど危険かもしれないです……。




