元勇者
グランと軽くバトったあと。ファラス姫に見つかり。逃げようとしたらグランにつかまり。魔王候補も合流で大ピンチ……ではないけど。
ぶっちゃけグラン来たら話すつもりだったし。
「それじゃあ俺の話をしてあげよう」
俺はそう切り出すと謁見の間とかいうグランが偉そうに玉座に座っている部屋で話し始めた。
部屋には今ファラスとギルメルアとアルマ、それと閃、鈴歌、落雷がいる落雷は心なしか顔が暗い気がする。
俺は今まであったことをみんなに話した。世界を救ったこと、裏切られたこと、転生したことなどを。
「そうか………お前にもいろいろあったのか」
グランが真剣な顔でうなずく。
「なあ、お前ってなんで顔老けてないの?」
マジでこれはは思う。
「知らなかったか?俺たち魔王の家系は代々成人したらほぼ成長しないんだぞ。大体、魔族はみんなそんな感じじゃないか」
「いやでもさあ」
限度ってものがあるでしょ。
「まあそんなことより今の話をしよう」
「俺の暗い過去を流すのかお前」
「それを踏まえての話だ」
いつになく真剣なグラン。
「お前は人間族を滅ぼすのか?」
そう来るか………いやこの世界に来てから考えてきたけどね。確かにあの巫女さんと王様は憎いよ。でもそれと今の王族とか国民は罪はないし。
俺の中で答えを決める。
「俺はそれを望まないよ」
「そうか」
俺の答えにグランは短く返答する。
「俺の妻は人間族に殺されたんだ」
そう切り出す親友。
「俺はその人間を消したよ。文字の通りその場で神魔法を発動させてだ」
悲しそうににやり切れないように。
「どこで殺されたか教えてやろうか?」
自嘲気味に笑う。
「和平条約を結びに俺と妻その他の部下とキリシカ王国に行った時だよ」
「なっ!」
俺はその時に言葉を失った。
「言っておくが今の王族も腐ってるぞ」
目に強い意志を宿らせたグラン。
「そうか……でも」
戦いの先にある平和なんて、意味がないじゃないか。
俺はそう口にしようとしてできなかった。最愛の人を失ったグラン俺は知らない人だけどあいつが気に入る魔族なんていいやつに決まってる。
俺はアルマが死んだらどうなる?怒りに任せて殺したやつを殺すか?いやそれだけじゃ足りないきっと国ごと消す。
俺とアルマの短い付き合いでこうだ。グランはよく一人殺すだけで耐えたな。
「いや、でも、俺は」
どうするんだ俺は………ここで答えを出さなきゃ。俺は呼ばれた人間としてこの国を平和にしなきゃ。
俺は、俺は、俺は俺は俺は平和にしなくちゃ。
俺が、俺が俺が俺が俺が俺が平和にしなくちゃ。
俺が俺が俺が俺が―――
「もういい」
ふと呼ばれた方向を見るとグランが首を振っていた。
「あ」
その顔には失望が。
違う失望じゃないグランはそういうやつじゃない。違うのに。
俺には今のグランは落胆しているように見える。ほんとは俺のことをいたわってるのに。
「いや、違うんだグラン」
俺がグランに無意識に手を伸ばす。
ぎゅっという圧迫感俺を包む。
「少し休めクロキ」
アルマが俺に背中から抱きついてきた。
俺は少し冷静になれた気がする。
自室で俺はベットに横になっていた。
アルマが一緒にいるといってきたが今は一人になりたいといっておいた。
キリシカ王国は俺だけじゃなくグランさえ裏切った。あんな国に価値はあるのか?
そんなことばかりを考えていた。
こんこんと扉をたたく音。
「どうぞ」
少し落ち着いてきたので通すことにする。
「わたし、だけど」
太陽のような金色の髪を背中までのばしたきれいなサファイアの瞳の美少女が部屋に入ってきた。
落雷は部屋の中に入ってくるとこう切り出した。
「実はね、私も………元勇者なんだ」
頑張ります




