メカナイズド・ハート 170話
ミリアム機に肉薄している敵機を見て副官のミリアムを失うわけにはいかない。理性がそう判断する前に、友軍機に気を取られている敵ポッドがいると本能的に判断して素早く飛んでいく。
「もらった!!」
「大隊長!!」
ルーカスは無線越しに声を出してミリアムに参戦を伝えながらもスラスターの加速に任せたレーザーブレードによる突きを放つ。
しかしその一撃を敵機は後ろに回避することで避けて逆に上段からの振り下ろしで、ルーカス機を狙う。スラスターの加速がついていてもなお逃げきれずにルーカス機は喰らってしまうかもしれない。
そんな敵機の回避と的確なカウンターに驚きつつも、ルーカスも暇をしている左脚部を繰り出してスラスターの加速を乗せながらの逆襲を放つ。
途端に猛烈な衝撃が訪れ自機と敵機が同時に揺れる。
素早く慣性をスラスターの細かい噴射で抑えた後に、一気にスラスターをまた吹かし姿勢を整える最中の敵機に肉薄する。息もつかせない連続した攻撃的なルーカスの振る舞いに敵機はおかしな動きを見せる。その場にシールドを置きながら背後に逃げるようにスラスターを吹かして飛ぶのだ。
「逃げても無駄だ。」
敵の動きに一瞬期待外れと感じた直後、シールドに近づいたルーカスはスクリーン越しにシールドをレーザーブレードで真っ二つに破りながら突っ込んでくる敵機が見える。
「シールドは目眩しと剣先を隠すためか!!」
敵の戦術に驚愕して口にしつつ、素早く右ロールを繰り出してコックピットへの突きを避けつつ片手に持つシールドで相手のレーザーブレードを持った腕部を押し除ける。
この体勢だと逆に敵機が不利な位置である。不意打ちの一撃を外し、シールドも失い、射撃兵装は腰部に懸架しているためにすぐに撃てない。
「いまだ!!」
ルーカスが言うよりも先に、敵機の意識外にいたミリアムはトリガーを引き片腕部に懸架していた120mm砲を連射する。
その砲の炸裂をスクリーンの画面端に見て、ルーカスは勝利を確信する。しかし敵機は今までと違った。
「クソ!!そんなのありかよ!!」
敵機は飛んできた砲弾に対してハードキル型アクティブ防護システムを起動して数千発の鉄球からなる散弾を打ち出し、飛んでくる120mm砲のAPFSDSのいくつかを砕き逸らす。それだけでは止まらない。
さらに敵機はレーザーブレードを腕部の手首にあたる位置からクルクルと扇風機のようにぶん回してレーザーブレードの刀身で飛んでくる砲弾を切り刻んでいく。
あんな腕部の使い方をすればオーバーホール地獄は避けられないだろうし、一か八かの神技だ。
しかし敵機が生き延びたのも事実である。ルーカスとミリアムは一瞬だけ思考が停止して両機は静止する。その一瞬の隙をついて敵機は飛ぶようにして逃げていった。




