メカナイズド・ハート 168話
「大隊各機ビビるなよ!!接近して敵艦隊の内側にもぐりこんでしまえばこっちのもんだ!!」
ルーカスは威勢よく叫びながら敵艦隊に正面から突っ込む。敵艦隊から迎撃に上がってくるフリゲートのような小型艦艇はその主砲やミサイルを次々と放って敵艦隊の頭上から降ってくるルーカス大隊の予測進路に向けて垂れ流す。しかし当たらない、いや当たってはいけない。当たれば即死であることを理解しているルーカスは機体のスラスターを全力で逆噴射させ急速に速度を奪い、保持していた速度エネルギーを枯らすことで敵艦隊よりも高高度にいるという位置エネルギーが自然に消費されるようにする。
すると自然と、ルーカス機を始めとしたルーカス大隊の機体たちはフリーフォール状態で敵艦隊のど真ん中に向けて落ちて聞く。頭上を素通りする、あるいは敵艦隊の後方に喰らいつこうとするだろうと予測し射撃された砲弾やミサイルたちはかすりもせずに宙を横切る。
もちろん、敵の迎撃に上がって来たフリゲートたち小型艦艇とポッドたちも馬鹿ではない。ルーカス大隊が反撃出る余裕がないようにチャフやフレア、ECMなどの妨害をしかけながら膨大な推力を使って、軌道をほぼ直角に変えて敵艦隊中央に向けて降り注ぐルーカス大隊の尻に喰らいつく。
ピッ ピピッ
控えめな電子音が敵の砲火にのまれて友軍機が一機また一機と飲まれていったことを知らせてくれる。
「一番乗りだこの野郎!!」
ルーカスは歯を食いしばりながらも、吐き捨てるように口にした怒鳴り声と共に敵艦隊のど真ん中に突入する。周囲の艦艇の船窓からこちらを見て驚愕している船員たちも見える。必死にルーカスのあとに喰らいついてくるルーカス大隊の仲間たち、そしてその後をおう敵フリゲートやポッドたちも見える。
「近い船から破壊していけ!!撃沈できなくても良い!!ツーマンセルで動き続けろ!!」
友軍艦隊と敵艦隊の射撃戦が続いている間に、こっそりと敵艦隊の頭上から降りかかったルーカス大隊は周囲360度全てが敵の中で、高速で移動しまくり敵艦のレーダーや射撃制御用のコンピューターが使用するセンサーめがけて砲弾を撃ち込み妨害したりスラスターノズルや噴射口めがけて砲弾を放り込み行動不能に追い込む。敵にとって面倒な動きをしていると自然と敵もやり返してくる。
バッと急にスクリーン全体が明るくなる。敵艦隊が艦の副砲やフリゲートの主砲、ポッドの120mm砲などを一斉にルーカス大隊めがけてぶっ放してくるのだ。誤射を恐れずばら撒いてルーカス大隊を追い払おうとしているのだろう。ルーカス大隊のような少数で敵艦隊内に飛び込んで敵艦隊が誤射が怖くて打てないことを想定して暴れようと考えていた側にとっては最悪の戦術だ。
「あいつら誤射が怖くないのか?」




