メカナイズド・ハート 166話
私生活が少し忙しく、なろうを触れることができませんでした。申し訳ありません。
本日からふたたび毎日投稿になります。
「なんだよくそったれ・・・、なんなんだ?っておいおい。」
叩き起こされて副官の指差す方を見てみれば、ルーカス機の胴体部上部前面、ちょうどコックピットが来るであろう位置に、大きな白いギザギザの歯を見せつけるシャークマウスと一対のまんまるお目々が描かれている。お目々だけでも一つで直径60cmほどありそうだ。
無邪気そうなまんまるお目々と、ギザギザの歯を見せながらニターッと口を開いているシャークマウスは絶妙にイライラさせてくる表情を生み出している。
「整備兵たちが隊長殿がお休みの間に描き上げました。どうでしょう、気に入っていただけましたか?」
副官はしきりに評価を聞いてくるが、ルーカスは押し黙る。自分がPMCに入って初めて乗った機体にエミーやベルなどと共に描いたシャークマウスを思い出したのだ。ペンキの色のように色鮮やかに過去のことが思い出される。
「ああ、良いね。」
「・・・それだけですか?」
ルーカスの反応が気に食わなかったのか少し不満げにほほをぷくっと膨らませながら副官は、聞き返す。しかし、ルーカスはノスタルジーの大波に押し流されないように必死で「ああ」とか「うん」としか言えない。
「隊長殿?なぜ泣いているのですか?」
「んん・・・、少し懐かしくてな。」
ルーカスは本人が気が付かないうちに涙を流し始めていたらしいことを知る。彼らとの思いでは今やはるか遠くにあり、戦場でばったりと出会うこともないだろう。
「これを見せたいがために俺を叩き起こしたのかい?」
自らの涙と記憶を押し込めるためにも副官を問い詰める。わずかな間沈黙が訪れた後、副官は申し訳なさそうに肩をちぢめながら肯定する。
「・・・・はい。」
「そうか。」
その後、また一瞬の沈黙が訪れる。重苦しく一瞬が永遠に感じられるような沈黙。
「ありがとう、よくできているよ。」
ルーカスは少し小さい声で、何でもない様子で感謝の言葉を口にする。その言葉で副官はほほを緩める。その無邪気な様子に元気をもらいつつ穏やかな気持ちでルーカスは二度寝を決め込む。固くゴツゴツした感触の弾薬箱もだいぶマシに感じるようになる。
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ジーーーーーーーーーーー!!
鈍いサイレンの音でドックは一瞬のうちに熱気に包まれる。ドックはいままで照らしていた従来の白色灯から青白い電気に切り替わる。戦闘態勢だ。
「ルーカス大隊各機!!発進準備命令です!!」
艦内放送で安っぽいスピーカーから、発着管制官の声が響く若干ポーランドなまりの入った英語にルーカスは飛び起き、シャークマウスのついた自機に向けて走り出す。最初見た時はノスタルジーを感じさせるだけの塗装もだいぶ似合っていると認めざるをえないなとルーカスは思う。
「副官!!各機の状況は!!戦況は!!」
「各機3分で出れます!!戦況は芳しくありません!!」




