メカナイズド・ハート 161話
「敵弾来ます!!」
副官の声と共に、5隻のフリゲートが火を噴きレーザースクリーン上に多数の小さい点々がブワアアと増える。光点の大きさから考えてミサイルだろうか?僚機たちも一斉に残った対艦ミサイルを放つ。
「メインスラスター逆噴射まで3、2、1。逆噴射!!」
ルーカスは、自機を含めた大隊各機にメインスラスターを噴射させるように命令する。
逆噴射に伴い、大隊各機は急速に敵艦隊との相対速度を殺していきグングンと近づいてくる敵艦隊は次第に近づいてくる速度が落ちていく。敵艦隊との距離は次第に流動的な物から固定的なものになり、敵艦隊の長距離から放たれたミサイルたちはコンピューターで発射時に計算された時よりも、はるかに長くかかりルーカス大隊から放たれる電子戦攻撃やミサイルを目標に発射される対ミサイルミサイルが放たれる。
もしルーカス大隊が進み続けていたらミサイルの雨により半壊は避けられなかっただろう。
しかし、逆噴射により距離が確保されミサイルたちは次々と無力化される。
そんな中で鋭い言葉をミサイルの破片から自機を守りながらルーカスが発する。
「隊長!!まずいです!!」
副官の声がヘッドセット越しにルーカスの耳に届く。
最初こそ意味が分からなかったが、数秒後にはルーカスもその言葉の意味を理解する。
宇宙の空虚な空間を、敵艦隊の無数のポッドとフリゲートが放つ大量の砲弾が切り裂く。
ビビビビビビッ!!
ルーカス機のコックピットは爆音でルーカスに対して、危機の飛来を伝える。
「黙れ黙れ黙れ!!」
ルーカスはその騒音に対して腹を立てながらも、飛来してくる敵弾を回避するために僚機たちに命令を出す。
「大隊!!散開しろ!!散開!!」
その命令を受けて大隊各機はそれぞれがバラバラな方向にスラスターを横噴射させて自機の軌道を乱し、敵弾をよけていく。遅れた機体たちは砲弾の雨の中に消えていく。
ルーカスのコックピットの中で次々と僚機を示す電子表示板がパチパチと光を発し、大隊のもとにいた仲間たちが消えていくことを確認する。
「くっそ!!」
ルーカスは毒づくが、自らの戦術判断のミスであることに違いはない。
散開した以上射撃戦を続けようとしても、連携が阻害され集中した火力投射は不可能で散開していない敵艦隊から七面鳥撃ちにされるだろう。逃げようにもフリゲートはポッドよりも高速で移動できるし推進剤も膨大なため長距離走で簡単に追いつかれてしまう。また敵ポッド部隊も決して足が遅いわけではなく、ルーカス大隊側が終結して編隊を組みなおして逃げる前に追いつかれてしまうだろう。
「やるしかない!!各機突撃!!」
「自殺行為です!!」
「それ以外の手段はない!!命令だ!!」
ルーカスの突撃命令に対して副官が警告を発するが、ルーカスはそれを無視して敵艦隊に対して自機をまっすぐ突っ込ませる。




