メカナイズド・ハート 157話
「さて、どうするか?」
ルーカスは脳をフル回転させて何か手はないかと考える。友軍の主力が十分に上陸できるように橋頭堡を拡大しなくてはいけない。
そして今ここで止まっているだけだと、いずれコロニー内部から逆襲部隊が出てくるだろう。わずか一個大隊のポッドでは容易にすり潰されかねない、歩兵部隊の援護もないためこの地点を維持し続けることもできない。
「そうか、無理にこだわる必要はないな。」
「大隊長どの?」
「ミリアム、大隊をドックの外に出す。」
「せっかく占拠したドックを放棄するのですか?逆襲部隊に占拠されれば最小の橋頭堡すら維持できません、我々の任務は失敗します。」
ルーカスの突拍子もない言葉にも副官のミリアム中尉は、落ち着いて命令を確認する。
「もちろんそのリスクはある。しかし敵がしっかりゲートを維持し続ける限り、我々にやれることはない。」
「しかしドック外に出る理由には・・・、まさか外壁スレスレの低空飛行で残っている砲座を潰すつもりですか?」
「バレたか。そのつもりだ。反対意見はあるか?」
「ありません。」
その返事を聞いてルーカスは満足そうに頷く。
ルーカスのドヤ顔が見えたのかスクリーンの向こう側にいるミリアム機の通信からため息が聞こえる。
「それじゃあモタモタせずに行くぞ!!」
ルーカスの命令で、大隊各機が素早くドック内から撤収し始める。
しかし、ドック外に出ればそこで待っているのも地獄だ。一寸の隙間もないほどに分厚い弾幕に覆われてシューティングゲームの最高難易度よりも、あたりを漂う砲弾とレーザーの数は多い。
「ビビるなよ!!」
ルーカスは一言放つと、素早くコロニー外壁表面から数十メートル前後の高度を音の何倍もの速度で高速飛行する。デコボコした外壁表面から突き出した剥離した装甲板やケーブル、フレームを右へ左へと避けながらゴツイ砲やセンサー、装甲化されたレーダードーム、ミサイルサイロへと至近距離からすれ違いざまに120mm徹甲弾を連射して撃ち込む。
スクリーンの端で次々と炸裂していく目標を横目に見ながら一つまた一つ、無力化していく。
「大きい砲から破壊していけ!!」
先頭で大隊の矛先となり、次々と目標を破壊しながらもルーカスは部下たちに的確かつシンプルな命令を出す。普段からルーカスが末端の隊員に大隊のチャンネルを使用させないおかげか、戦闘のほとんどの状況において無線は最大限静寂を保ち、敵から逆探知される前に辻斬り的に敵の防御施設を潰して回る。




