メカナイズド・ハート 154話
閃光が入り混じる中で、重厚な鉄の塊にも見えるコロニーの表面に高速で近づいてくる影の群れがある。
「ビビるなよ!!おまえら!!」
吠えるように仲間を鼓舞しながら、頭頂高20m全備重量200トンちかい金属製の巨人が他の巨人たちをリードしながら宇宙を猛進する。この戦争の主力兵器ポッドとパイロットのルーカス少佐だ。
彼がコックピット内にある無数のスクリーンのうちの一つをちらりと見れば、彼の部下たち一個大隊が彼に続き、まっすぐ敵弾がきらめく死地を乗り越えてルーカス機の尻を追いかけているのが見える。
「よし!!よくついてきた。」
ルーカスは無線越しに彼らを誉めつつ、真正面から敵コロニーの防御火器の懐に飛び込みながら120mm砲やミサイルで撃ち返してつぶせる敵防御火器を破壊する。
部下たちもそれに続いて敵コロニーに向けて撃ち返し続けるが、欲をかいてか足が止まった部下数機が敵弾で飲まれる。
「足を止めたら死ぬぞ!!外壁表面ギリギリまで加速し続けろ!!」
その言葉通り、ルーカスは機体のメインスラスターを吹かし続けさせて機体を隕石のようにコロニー表面へと飛ばしていく。後続もすこしおびえたのか一瞬躊躇するように見えたが、すぐルーカスに続いてスラスターを吹かせて先を行くルーカス機を追いかける。
ルーカス機の鼻先めがけて砲弾が数百発と飛んでくる。絶えず急加速と急減速、ロールとピッチ操作を繰り返して機体の鼻先を振り進行方向をぐちゃぐちゃにすることで、完全に死地を抜けきり死角あるいは砲の少ない位置まで逃げ込むための貴重な数秒を稼ぐ。
幸いにもこちらに指向した砲が少なかったおかげか、大隊は壊滅的な損害を追わずに敵コロニーのドックに近づく。細い切れ目のようにわずかに光があふれ出して見えるドックの影の中には、大きなガントリークレーンの姿や整備中の艦艇も見える。
赤外線カメラでロックを決める。ルーカスは最も近くにいたフリゲートにねらいを定める。
カチッ
ルーカスが引き金を引くと、対艦用に持って来た大型のミサイルが幾本もの筋となって敵艦や倉庫に向けて飛んでいく。至近距離からのミサイルということもあって次々と敵艦は破片をまき散らしながら他施設や他艦に損傷を与えつつダメージを受けていく。直撃弾をくらったフリゲートは数発は耐えつつも、スラスターの噴射口に放り込まれた一撃が大爆発を引き起こし、フリゲートは原型を保ちつつも戦闘不能になる。
「あれはもう戦闘不能だな。」
ルーカスがフリゲートの死亡診断を出したのち、周りを見渡せば自分の部下たちが退避や修理を続ける作業員たちを殺しつつ、ドックを最大限の混乱に陥れる。幸いにも気密区画外に大きく伸びる形で成長したドックなだけあり、ドック壁面を破壊すれば次々と気密区画と宇宙を分けるものがなくなり、気密区画内で逃げ回っていた宇宙服を着ていない人々が吹き出されていき戦火拡張が楽だ。




