メカナイズド・ハート 149話
横柄な男を見下ろす。
よくみれば髪の毛も訓練生は男女問わず強制される短髪を無視した長髪で女性訓練生にすら許されていない長さだ。おまけに内側を染めてすらいる。
「まあいい、腹を割って話そうじゃねえか?ん?」
目の前のヤセクと名乗る男がそう言い、周囲の男たちが下卑た笑いを口元に浮かべながらルーカスを取り囲む。
ローブを着たヤセクが王だとすれば、テーブルを囲みソファにヤセクと同じようにすわる者たちは貴族、さらにその周りを囲み立っている十数人の男達は彼らを守る騎士だろうか?
「話すことなんてない、これは上官命令だ。今すぐに訓練に戻り教官を解放しろ。」
ルーカスの言葉を聞くと一瞬の静寂が訪れた後、笑い声が暗い室内を揺らす。
「隊長さんよお、誰がお前の命令を聞くんだ?それとも今の状況が見えてないのか?」
ヤセクは片手をヒラヒラと動かし頭に手を当ててツンツンと中身が入っているのかと煽る。何が受けたのかさらに周りの馬鹿笑いはうるさくなる。
馬鹿笑いで限界に届いたルーカスの怒りは、即座に行動に繋がった。
「上官の前で座るなよバカヤロウ!!」
ルーカスは怒鳴りながら、ヤセクの馬鹿みたいな色の馬鹿みたいな長さの挑発的な長髪を掴み上げて思いっきり引っ張る。
手元で数本髪の毛がぶちぶちと抜ける音がしながらも、腕力で相手の頭部を髪の毛ごと捻り上げる。
怒りは収まらず追撃でルーカスは右膝で、伸びた相手の体に膝蹴りを喰らわせる。
突然の暴行に周囲に座っていた貴族然とした取り巻き達も、その周りを固めていた男達も、呆気に取られていたがすぐに飛び上がり襲い掛かろうとする。
ルーカスはクルッと振り返り再び怒鳴る。
「座りやがれバカヤロウども!!」
ルーカスの罵声で出鼻を挫かれたのか、周囲の男達も止まる。
ルーカスは近くに立っていたヤセクの取り巻きの1人からワインボトルを強奪すると、痛みで未だにうめいているヤセクの顔面に叩きつける。
彼はうめくが、彼を傷みつけることがルーカスの目的ではない。ルーカスは無数に転がるガラス片の中から、ちょうど良いものを見つけると拾う。
「ヒッ!!お前何をするつもりだ!!」
鋭利な刃物を持ったルーカスを見て、最悪の考えが浮かんだのかヤセクは逃げようとするがルーカスが彼の長いローブのスソを踏むことで逃亡できないようにする。
「生意気なクソガキに散髪をしてやるだけだよ、動くなよ頭を切り落としてしまうかもしれない。」
ルーカスはヤセクが放ってくるパンチをスッと横に回避しながら、逆に彼の手を掴み上げて手を回して背後を取る。
数分後には彼の頭は軍が要求する綺麗な丸刈りになり、同様に反乱も彼の頭のように丸く治った。




