メカナイズド・ハート 148話
ルーカスは吠える訓練生を無視しながらドアをこじ開けて、室内へとまっすぐ突っんでいく。
ルーカスは鉄の意志で雑魚を相手にせずに進みながらも、同時にこの程度の脅迫すらできないようなヤツが自分の時間を奪い、教官たちを危険にさらしているのかと激情に駆られて殴りつけたくなってしまう。
「おまえたちの指揮官はだれだ?連れてこい!!」
ルーカスは刃物を持ちながら周囲を囲む訓練生たちに、責任者はだれなのか明確にさせようと彼らに連れてくるように言う。その言葉に周囲の訓練生たちは一瞬凍ってしまう。
その姿を見てるーかすはさらに激情が心の中からもたげるのを感じながらも、一番弱そうな訓練生をひとにらみする。
「ひえ・・・っ、分かりました!!」
ひとにらみで彼は飛ぶように走り出し、奥へと消えていく。
「さて、待っている間に俺とお話でもするかい?」
ルーカスはちびりそうな訓練生たちの肩をほぐすためにも場に似合わない軽い口調で近くにいた訓練生に話しかけ、時間をつぶそうとするも訓練生は崩れ落ちる。
その様子をみて会話を諦める。
幸いにも待ち時間は短く、すぐに奥から人が来る。
「真の隊長は奥でお待ちしております。」
ルーカスという訓練隊長の立場にある者に、真の隊長というありえないほど侮辱的なことを言う訓練生がやってくる。ばかばかしいとルーカスは無視をしながら彼に連れられて奥の部屋へと行く。
従順なルーカスの姿を見て安心したのか、周囲に立っている恐怖に包まれていた訓練生たちが氷が解けるように安心しだしてくだらない罵詈雑言を浴びせてくる。
それらもあわせて無視しながら奥へと進んでいく。
「おいおい、王様のお出ましじゃないか?」
下品な声で注意が向く。
見れば周囲に数人の男たちが十数人の男たちに囲まれながら、どこかからもってきたのかソファにゆったりと腰を掛け、ワインを飲んでいる。
そのうちの一人、リーダー格の男が口を開き声をかけてくる。
「俺の名前はヤセク・アポモービチ、こいつらの隊長だ。」
ヤセクと名乗る男が、豪華なローブに身を包みながら聞いてもいない自己紹介を始める。
一体全体どこの馬鹿がこんな豪華なローブを着たがるのかと嘆息するほど、華美な金の刺繍が入っており室外の街灯から室内に差し込んでくるうすぼんやりとした光の中で、美しく輝いている。
厳しい軍隊生活の中でワインやソファ、ローブを隠し持っている点で確かに彼は真の隊長と言われるのだと納得する。
「なんだ?自己紹介もなしか?」
ばかばかしさと怒りが頂点に達しながらも、ルーカスはボンヤリと目の前の愚か者を見下ろす。
この途方もない馬鹿者は一体何の権利があって、まともな階級すら持たない癖にたかだか数十人の仲間を固めて王様ずらをして自分に対して横柄な態度をとっているのだろうかと問い詰めたくなる気分だ。
「まあいい、腹を割って話そうじゃねえか?ん?」




