メカナイズド・ハート 147話
食堂で感じた書類上からは推し量れない部隊内の空気感。
本来は対処するべき問題なのだが、ルーカスも誰も他の業務が忙しくて手が離せない。
おまけにルーカスも主な教官層もみんな似たような体験をへてここまで来た立場であるがゆえに、同情したり問題だとは思っても、真剣に取り組まず自分たちも通って来たことだからと相手にしていなかった。
結果、数日後にルーカスのもとにニュースが届く。
「どうした?」
ルーカスは血相を変えて、息をハアハアと上げながら入って来た副官のミリアム少尉を問いただす。
「反乱です!!」
どの言葉を聞いてルーカスも口をあんぐりと開けて、驚きを隠せずにいる。
しかし、2秒ほどで我を取り戻して副官に詳細を訪ねる。
副官が言うには、些細なミスを教官が指摘し指導したことで言い争いとなり、殴る蹴るへと発展し今や数十人以上の訓練生が宿舎の一部を占拠して教官一人を人質に取り立てこもっているらしい。
「憲兵隊は?」
「すでに出動し宿舎を包囲しています。」
「よし!!すぐ行くぞ。」
ルーカスはデスクワークのしわが付いたままの服で、執務室を飛び出し副官とともにまっすぐ演習場を突っ切り問題の場所へと向かう。
「俺だ、状況を教えてくれ。」
ルーカスの言葉を聞いて憲兵隊の隊長が話始める。
副官が持って来た情報とほとんど同じで、どうやら状況は落ち着いたらしい。
最初反乱と聞いてどれほど激しい物が起きたのかと驚き慌てていたが、むしを暴動に近いらしくルーカス本人も落ち着く。
「その程度なら、俺が言って連中の不満を聞いて説得するのが一番だな。」
「正気ですか?上官への攻撃を行っている時点で最低でも懲罰房で強制労働、首謀者は絞首刑ですよ?」
「いまさらある程度訓練を施した者を殺して新しい者で訓練をやり直す時間も金もない。言いくるめて訓練に復帰させる方が良いだろう。ミリアム少尉だけついてこい。」
ミリアム少尉はボンヤリとした目でくつろいでいたら突然指名されて慌ててあたりを見回し、ルーカスのあとをついてくる。
ざくざくと人の群れを切り抜け包囲網を通り抜けて、四方からライトで明るく照らされている宿舎に向けて歩き出す。
コンコンッ
ルーカスは正面から建物へと向かい、宿舎の扉を叩く。
「誰だ!?」
「この場の最上級者のルーカス・マクワイヤー大尉だ、副官もいる。君たちと説得するために来た。」
「は!?」
驚きの声と共に、扉がわずかに開く。
チェーンをかけてこじ開けられないようにしながら、コチラが本当に本人か確認するつもりなのだろう。
しかし、彼ら新兵はチェーンの性能を過剰に期待しすぎている。
ルーカスはドアに隠れて死角になり見えないルーカスの左腕を使い無理やりドアをこじ開ける。
「おい!!入ってくんな!!刺し殺すぞ!!」
目の前の訓練生は小型犬のように吠えながら刃物を向けてくる。
訓練生の方がややルーカスよりも背が高く、ガタイも良い。
しかし、ルーカスは気にせずまっすぐ突っ込んでいく。




