メカナイズド・ハート 139話
昨日は私事がいきなり忙しくなってしまい投稿できませんでした。
「訓練生!!訓練隊長どのに敬礼!!」
ルーカスの眼前に30人ほどの訓練生たちが、6列になって並んでいる。
ザッ ザッ
副官の命令で一斉にかかとを合わせて足先を適度に開いた上で、きれいなポーランド式二本指敬礼をみせる。本来ルーカスの勤めるPMCではPMCを軍と同一視を避けるために禁止されているものだが、ルーカスは特別に許可している。
「休め!!」
副官の声で再び訓練生たちが動き出し、上げていた手を下げて今度は足を適度に開き、後ろで手を組む。3週間ほど前に初めて彼らを見た時と比べて、はるかに整っている。同時に彼らの顔つきと姿勢から自らの培ってきた訓練経験に相当な自負心を持っていることもわかる。
「訓練隊長訓示!!」
副官の言葉を聞き、数秒間を置いてからルーカスも話し始める。
「諸君!!訓練ご苦労であった!!
我々は君たちを3週間でヒヨコからタカにするために相当な試練を課した!!汗をかき、血が滲み、痛みで張り裂けそうなこともあっただろう。しかし、諸君らが潜り抜けた訓練は決して無駄になりはしない!!諸君らの活躍に本社もクライアントも期待している!!頑張り給え!!」
そこまで言い切ると、訓練生一人一人の顔を見据えたうえで「以上。」と訓示を終える。
すべての訓練生相手に訓示をしたことは初日と最終日である今日だけだ。
副官が再び訓練生たちに敬礼をさせたのち、訓練生たちは班ごとに分かれて数言葉ずつ副官や教官とも言葉を交わしたのち、それぞれの部隊から迎えに来たトラックに乗り込み出発していく。
「そら、子供たちが出荷されていくぞ。」
最後のトラックにマチュイ候補生が乗り込んでいくのを見ながら、思わずルーカスはポツリとつぶやいてしまう。その言葉は自分が十分な訓練を与えることができずに、彼らが戦場へと送り出すことへの後悔と本社への批判と不満が、混ざったものだ。
「まあ、そうかもしれませんけど、あまり気に病みすぎない方が良いと思いますよ。」
黄昏ているルーカスの側から自分以外の言葉が聞こえる。見れば教官の二人組の片割れ、ヤン教官だ。彼の言葉を聞いて、ルーカスは言葉を返す。
「そうであることには同意するみたいだな?」
「これは失礼したしました、しかし遅かれ早かれパイロットは死ぬものですから、考えすぎても仕方ないですよ。」
ルーカスの言葉に正面から向き合いながらも、ヤン少尉は気の持ちようが大事だと伝える。
「そうか・・・。」
「質問させてください。」
「なんだ?」
「歴戦のパイロットだと聞いていましたが・・・、パイロットに向いていないのでは?」




